「ルー=ガルー」 京極ファンとしては食い足りない
京極夏彦さんの小説「ルー=ガルー 忌避すべき狼」の映画化です。
この日は奇しくも「カラフル」に続き、小説のアニメ映画化作品を観賞ということになりました。
「ルー=ガルー」は京極さんの作品としては珍しく、未来を舞台にしています。
今回パンフレットを読んで知ったのですが、この未来設定は公募によるものなのですね。
なるほど・・・。
とはいえ、小説は虚実の境目が曖昧になるような雰囲気が他の作品と共通していて、ある種の不安定感というか不確実感みたいなものを持っていて京極さんらしいなと思った記憶があります。
さて、その映画化作品である本作ですが、京極さんの作品の持つ虚実が曖昧になる不安感みたいなものはかなりオミットされているように感じました。
悪く言うと、近未来の管理社会に対する反抗というよくあるパターンの物語になってしまったような感じがします。
もともとはバーチャルによるコミュニケーションによって人との関わりが希薄化した近未来における実体と虚像の曖昧さみたいなものを描いていたように記憶しているのですが、そのあたりは省かれているように感じました。
京極さんらしさはなくなりよくあるアニメになってしまっているというのが、観終わったあとの感想です。
キャラクターデザインもシンプルな分、そもそも実在する存在である葉月、歩未などのキャラクターも、どうもアニメキャラ感が強すぎてそれこそバーチャルな存在のようにも見えてしまいました。
「カラフル」を観たあとだったから、余計にそう感じたのかもしれませんが。
個人的にはこの物語であったら、キャラクターデザインはもう少しリアル系でもよかったのかもしれないと思いました。
ま、マーケティング的には、いわゆるアニメファンを狙っているように思われるので、いたしかたないのかもしれません。
もしくは「けいおん!」を意識しすぎたか・・・。
京極ファンとしてはやや食い足りないという印象でした。
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