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2010年7月10日 (土)

本 「マドンナ・ヴェルデ」

今度映画化される「ジーン・ワルツ」と表裏一体となる作品になります。
舞台となるのは産婦人科医院マリアクリニック。
本作の主人公となるのは「ジーン・ワルツ」にも登場する産婦人科医であり、「クール・ウィッチ」という異名をもつ曽根崎理恵の母、山崎みどり。
みどりは実は、体外受精によって理恵の子を身ごもっています。
つまりは彼女は娘の代理母となっているのです。
今現在、代理母は日本では法律では認められていません。
産婦人科医の理恵は日本のそういった制度について反対であり、自らの子供を体外受精し、実の母親で代理出産をすることにより、まっこうからその制度へのアンチテーゼとしようとします。
「クール・ウィッチ」と異名を持つだけあって、彼女の行動は論理的ではありますが、冷徹であり、そこに母親の意志、そして生まれでる子供の将来ということを考えるというところが欠如しているように見受けられます。
たぶん彼女のキャラクターは医療について論理的に考えようとすることの、擬人化でしょう。
それに対するみどりは、感情として人の生を考えるということのキャラクター化であると考えれられます。
情に流されては解決できなことがある。
また論理だけでは納得できないことがある。
冷徹なまでの論理と、温かな感情は時に対立をします。
その間に現実に生まれでる子供という存在がいたときに、どこに着地点を求めるのか。
本作は代理母が良いか悪いかということの結論は出していません。
議論はこれからもしばらく続いていくのでしょう。
けれど著者が提示しているのは、その議論の際に、生まれでてくる子供の将来についても考えてほしいという希望なのでしょう。
そんな気がしました。

海堂尊作品「ジーン・ワルツ」の記事はこちら→

「マドンナ・ヴェルデ」海堂尊著 新潮社 ハードカバー ISBN978-4-10-306572-2

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