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2010年6月 5日 (土)

「仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE BLUE 派遣イマジンはNEWトラル」 小林靖子脚本の真骨頂

まさに東映の思うつぼなのですけれど、怒濤の「電王」の3連続上映の2回目「EPISODE BLUE」に行ってきました。
それも朝一の回・・・。
何やってんだ自分、と思ったりもしますが、朝一だけあってお子様は少なく大きなお友達ばかり。
騒がしくない分よいか・・・。

「EPISODE RED」が「電王」の懐深さを見せるラブストーリーで変化球だったのに対して、「EPISODE BLUE」は「電王」らしさが強く出ていた作品だと思いました。
「電王」のメインライターである小林靖子さんは「電王」にしても「シンケンジャー」にしても年間を通しての大仕掛けをうまくまとめあげる手腕に注目されますが、キャラクターの描き方もとても深く魅力的、それゆえに登場人物たちに観る側を感情移入させるのが得意なのですよね。
その手腕はメインのキャラクターだけではなく、一回だけのゲストについても発揮されます。
テレビシリーズの「電王」も最初の方のエピソードは、ゲスト登場人物はそれぞれに過去に対する後悔や想いを持ち、それゆえにイマジンと契約してしまいます。
彼らのエピソードはなにか切なく、だからこそ観る側が感情移入してしまうのです。
平成仮面ライダーを多く手がけられている井上敏樹さんのキャラクター造形がどちらかというとアクが強い強烈なものだとすると、小林靖子さんのそれは優しく切ないイメージがあります。
「EPISODE BLUE」の主人公は、野上良太郎の孫、野上幸太郎。
幸太郎は今までの「電王」の劇場版に登場してきましたが、それはゲスト的な立場が強く、あまり掘り下げられることがありませんでした。
良太郎の孫である幸太郎も祖父と同じく運が悪い星回りだということ、けれど良太郎がそれを受け入れるのに対し、幸太郎は悪運に立ち向かうというのが二人の違うところだということがわかりました。
良太郎がすべてを受け入れるのは彼の強さであるのですが、幸太郎が悪運に逆らおうとするのもまた強さ。
二人の血がつながっているがゆえの共通点、そして違いなどはうまくキャラクター作りをしたなと感心しました。
相棒のイマジンであるテディも、他のイマジン(モモやデネブ、そしてジーク!)があまりにキャラ立ちしているため、やや存在感が薄いというところもありました。
本作ではその幸太郎、そしてテディのキャラクターを掘り下げ、良太郎とモモタロスらイマジンたち、侑斗とデネブの関係とはまた違った、二人の関係を上手に描いているなと思いました。
幸太郎とテディ、そしてゲストである美来とおばあちゃんの関係の対比も上手でした。
この二組の関係のセンチメンタルな余韻はさすが小林靖子脚本の真骨頂といったところです。
そう、小林靖子さんの脚本はトリッキーな設定も料理する腕前、魅力的なキャラクターを想像する力だけでなく、このセンチメンタルさが魅力なのではないかなと思いました。
ラストの幸太郎とテディの別れなどは、かなり切ないところがありました。
この場面は同じく「時」をテーマにしたアニメの「時をかける少女」の別れの場面にもひけをとらないんじゃないかな。

幸太郎のキャラクターが確立したことによって、なんだかまだまだ「電王」はいけるような気がしてきました。
おそるべし。
しかし、ジークは登場してきて何もしないのに印象度は高い。
おいしいキャラです。

ここまできたら当然のことながら「EPISODE YELLOW」も観に行きます。
まさに東映の思うつぼ。

「仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE RED ゼロのスタートウィンクル」の記事はこちら→
「仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー THE MOVIE 超・電王トリロジー EPISODE YELLOW お宝DEエンド・パイレーツ」

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