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2010年6月19日 (土)

「FLOWERS -フラワーズ-」 普通の女性たち、それでも彼女たちは輝いている

予告を観たとき、「まるで『TSUBAKI』のCMみたいに豪華な顔ぶれだなー」と思っていたら、製作委員会に資生堂とADK(「TSUBAKI」の担当広告代理店)の社名を発見し、「なんだ、広告プロモーション映画じゃん!」とやや引き気味目線で観賞しました。
とはいえ、まさに花のような女優陣はやはり観る価値がありますし、また年代ごとの映像テイストを変えるところなどは興味がありましたので、観に行ってきた次第です。

といった斜めな視線で挑んだんですが、けっこうじーんときてしまいました。
物語は昭和の初めから現代までのある一家の女性たちの生き方を描きます。
改めて考えてみると昭和から平成という時代は最も日本という国が変化をしたと言えるかもしれません。
国民のライフスタイルも時代の変化に伴い、変わってきました。
なかでも女性の生き方というのは、大きく時代の影響を受けるのかもしれません。

凛(蒼井優さん)は昭和の初めまだ太平洋戦争が始まる前に青春時代を送りました。
女性が男性に従うのが当たりまえの時代に、親が決めた結婚に反発をします。
けれどもまだ時代は彼女のような進歩的な考えを受け入れられる状況ではありませんでした。
凛の娘である薫(竹内結子さん)、翠(田中麗奈さん)、慧(仲間由紀恵さん)の時代は日本は高度経済成長期です。
女性の社会進出も行われてきた時代ですが、まだまだ旧来の価値観が残っています。
翠は自立した女性を目指しがんばっていますが、女性としての幸せな結婚という選択肢の間でゆれます。
薫は愛する男性と幸せな結婚をしますが、不慮の事故で夫を亡くしてしまいます。
そして慧は結婚し、二人の子供をもうけますが、出産の際に亡くなってしまいます。
凛の三人の娘はそれぞれに自分の生き方を送っていますが、この時代が女性が生き方の選択肢を選べるようになってきたということなのでしょう。
そして現在、凛の娘である奏(鈴木京香さん)、佳(広末涼子さん)の時代。
奏はたぶん自分のやりたいことをずっとやって生きてきたのでしょう。
これは現代女性らしい生き方ですが、気がつくと自分は一人でいるということを寂しく思います。
そしてお腹には別れた恋人との間にできた子がいることを知り、その子を産むかどうかを悩みます。
佳は自分の命と引き換えに母親をなくしたという心の傷を持ちながらも、生きることに感謝しながら幸せな家庭を築きます。
現代は奏のように女性が自分の力で生きることができる時代です。
でも最近では佳のように家庭に入り専業主婦になりたいと思っている女性も増えているようです。
このあたりは女性の価値観も多種多様になったということがわかります。

そのような時代とともに変わってきた女性の生き方を、ある一家の各年代の女性を通じて描くというのはうまくいっていたと思います。
時代時代でどうしても女性の生き方は影響を受けざるをえませんが、それでも変わらないものもあります。
それは女性だけが子を産み、育てることができるということ。
たぶん自分のお腹をいためて子を産み、その成長を見るという幸せの感覚は、たぶん男性は想像することはできてもその本質はわからないような気がします。
たぶんそれはとても重く(慧が決断したように)、でもそれゆえに自分がいる意味というのを見いださせてくれるのかもしれません。
だからこそ、いつの時代は女性は強く、そして美しく輝くのかもしれません。
この物語に登場する女性たちは誰も特別な人はいません。
その時代その時代の普通の女性の代表的なイメージが彼女たちなのでしょう。
普通の女性たち、それでも彼女たちは輝いて見えるのです。

6名の美しい女優さんたち。
それぞれ異なりますが、それぞれが花のように美しく良かったです。
個人的には広末涼子さんが好みなのです。
彼女はアイドル的であった10代より、今の方がずっときれいですね。

ところどころ「椿」のインサートが入るのは、やはり資生堂がスポンサードしているからなんでしょうねえ。
ちょっとここだけ鼻につきますが。

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コメント

sakuraiさん、こんばんは!

どうしても一般的な男性から見るとそういうところがあるのは否めないですけれど・・・。
子供を宿すというのは女性だけで、それぞれの時代時代でそういう事実と女性がどう向かい合っていき、輝いていけるのかというのを描いている気がしました。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年7月 3日 (土) 19時16分

あははは。
ひねたおばさんはダメですね。
はなっから斜めに見てましたから。
女性は結婚し、子供を産んで(結婚しない人もイマしたが・・)、幸せになりましょう・・・という風に見えて・・。

投稿: sakurai | 2010年6月28日 (月) 12時43分

ノラネコさん、こんにちは!

僕はもっとプロモーション要素が出て来るかなーと思ったのですが、思ったよりそういうのは感じられなくて、物語を楽しむことができました。
想像していたよりもじーんときてしまいました。
おっしゃるように慧の手紙のくだりは良かったです。
命を繋いでいくっていう感じが伝わってきました。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年6月26日 (土) 08時58分

まあ判りやすいタイアップのスピンオフですね。
もうオープニングのクレジットから舞台裏が見えましたけど、制約が多すぎたのかいま一つ中途半端な感じでした。
六人を描くのに110分は流石に短すぎた様な気がします。
それでも慧の手紙のくだりは泣かされましたけどね。

投稿: ノラネコ | 2010年6月25日 (金) 21時13分

rose_chocolatさん、こんばんは!

仕事がね、広告関係なもので余計に気になっちゃうのかもしれません。
でも観始めたら全然そういうのは気にならなくなりました。
想像以上にいい作品だと思いました。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年6月22日 (火) 22時31分

この映画、どうしても、スポンサーが頭をよぎると、
その分鼻白んでしまうような気がします。 
(特に男性はそう感じるのかも)
雑念を払って、共感できる部分があればあるほど味わえる映画ですね。

投稿: rose_chocolat | 2010年6月21日 (月) 07時35分

KLYさん、こんにちは!

そうそう想像していたよりずっといいお話でした。
その時代時代の女性の生き方を描いて、それがずっと繋がっているというのが、静かな感動を受けました。
特に佳は、平凡な主婦ですが、自分が母親によって生かされて、そしてそれを知っているからこそ、自分の子供にも溢れんばかりの愛情を注いでいます。
その姿は平凡でありながらも美しく輝いて見えました。
そうやって繋がっていくのだなと、じんときてしまいました。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年6月20日 (日) 15時34分

私も最初そう思いました。
CMの6人がいい女優さんだから、それで映画一本撮っちゃえってことか?
なんで思ってたんですが、コレが意外にも泣かされてしまって。
3世代にわたって続いていく家族の絆を女性の視点から辿る、今まであり
そうでなかった作品かなと思います。
個人的には凛のお母さん、文江さんも入れた7人の女性の物語だと言って
あげたくなりました。

投稿: KLY | 2010年6月19日 (土) 23時56分

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