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2010年5月 1日 (土)

「ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-」 よくぞここまで膨らませた!

前作「ゼブラーマン」から15年後の世界、東京はゼブラシティと名を変え、毎日朝晩5時からの5分間はゼブラタイムと呼ばれ権力者が市民に対して銃を向けるなどの暴力を行っていいという特殊な社会となっていた。
かつてゼブラーマンとして地球を救った市川新市は記憶を失った状態でゼブラシティで目覚める・・・。

というところまでは本作を観る前から聞いていて、しかし前作のあのラストからどうやってこういう世界設定に繋げるのだろうかと、やや懐疑的な気持ちでいました。
「バットマン ビギンズ」みたいに別の話ということでと仕切り直すのかなと思ったりもしましたが、いや〜、見事に話を繋げましたね。
というより「白黒つけるぜ!」という前作のキメ台詞がなければ、本作はなかったわけで荒唐無稽な設定ではありますが、納得ができる流れでありました。
前作ではシマウマをモチーフとしたゼブラーマンにかけた単なるキメ台詞であったのですが、本作ではあえて白黒というのは善と悪に読み替えられています。
この読み替えの発想が見事であったと思います。
ヒーローの内なる2面性の戦いといった同様の試みは「スパイダーマン3」でもみられますが、世界設定全体にもその試みを反映させ変えてしまうという荒技を放つというのは、三池監督とクドカンならではというところでしょうか。
それを新たな話としてではなく、しっかりとした継続性をもっているところが巧みだと思います。

考えてみれば人というのは善人、悪人とばっさりと分けられるわけではありません。
一人の人のなかにも白い部分と、黒い部分があって、それがゼブラ柄のようにまだらになっているというのが、人の心なのかもしれません。
確かに社会のルールや法律というのは悪を防ぐために作られるものです。
ただそれが厳しすぎれば、窮屈になるというのもその通りです。
まさにゼブラタイムというのはそのガス抜きとして機能しているわけです。
中世のヨーロッパのギロチンにしても、江戸時代の磔獄門にしても、公開処刑であり、これは犯罪の抑止という面もありますが、なにぶん庶民のガス抜き的な役割も担っていたということに共通点を見いだすことができるかもしれません。
このあたり荒唐無稽であるように見えても、やってしまいそうな人間の社会の怖さも感じたりもします。

もともと前作を作るにあたり、シマウマモチーフを持ってきたというのは、このような善悪の物語にしようという算段があったとも思えません。
しかしそのような可能性を自分たちで、自分たちが創作した物語に発見し、怖がらずに世界設定すら変更するという冒険を行ったのはたいへん勇気があるなと思いました。
よくぞ、話をここまで膨らませた!と感心しました。
相変わらずの三池監督とクドカンのシュールなギャグ、小ネタは冴え渡っておりました。
「合体」のくだりはやけにその言葉を繰り返すので、「もしや・・・」と思ったらえらくストレートに表現していたのが三池さんらしい。
おじ樣方には大ウケでした。
普通のヒーローものだと思ってお子さん同伴の方は説明に苦慮したと思いますが・・・(なんでお布団ひいてるのー?とか言われたりして)。

最後に。
仲里依紗さんは公開前から話題になっていましたが、今までとは全く違う悪女でけっこうな迫力がありました。
衣装などばかり注目されますが、仲さんの芸域の広さは素晴らしかったです。

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コメント

rose_chocolatさん、こんばんは!

ゼブラタイムは鬱憤を晴らすのが上から下ですからねー、下の方はさらにストレスフルになるかもしれません。
下克上だったら抑止力にはなるかもしれないけど。
お金をかけてA級にするのではなく、あくまでB級な感じが三池監督らしいなと思いました。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年5月27日 (木) 21時54分

何かで嫌な目に遭った時に、表面上は丸く収めたとしても、
心の中ではもんのすごいストレス溜まっていくことってないですか? 
そういう日ごろの鬱憤を、もしもゼブラタイムみたいなのがあったら、
アイツとコイツはめっためたにするのに。。的な願望が
満たせるのかもしれませんが(実際はあっちゃいけないけど)。
そういう矛盾点の出し方としてのゼブラタイムはなるほどと思いました。

仲里依紗ちゃんの衣装で散々宣伝あって、どんなのかなと思いきや、
オチが、がくっ・・・ この、あーあみたいなチープさがどうにも予想通りでした(笑)

投稿: rose_chocolat | 2010年5月25日 (火) 23時34分

KLYさん、こんにちは!

プロデューサーさんとお知り合いなんですね!
僕はかなり楽しめましたよ!(一般的ではないのですけど)
ワルノリは三池監督&クドカンのいつものことで、そしてまたこれが好きなので。
前作もそこそこヒットしているので、守りに入りたくなるところを、攻めにでている構成で、プロデューサーさんも勇気あるなあと感心しました。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年5月 2日 (日) 11時12分

ご覧になって頂いて有難うございます。実はプロデューサーと知り合いでして、楽しんで頂けたようなのでほっとしてます。本人も「好き嫌いが分かれるとは思うんだよね。」って言ってましたので^^;

しかしホントけっさくですよね。善と悪の分離が遠心分離機で、合体がそれかよ!って。(笑)仲里依紗さんはめっちゃエロいし。あの触手なんかやりすぎじゃないかというぐらい…(笑)でも、多分みんなすっごい楽しみながら作ったんだろうなって思うんですよね。現場の楽しさが伝わってくるような作品でした。

投稿: KLY | 2010年5月 2日 (日) 00時26分

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