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2010年4月 3日 (土)

本 「重力ピエロ」

伊坂幸太郎さんが原作の映画はよく観ているんですが、実は原作を読んだことがあるのは「アヒルと鴨のコインロッカー」だけ。
本作を読んでみて思ったのは、伊坂さんの文章はとても気が利いているんですよね。
これはセンスがいいというのともちょっと違うんですけれど、登場人物、特に泉水と春との会話などでそういうことを感じます。
二人の会話はたわいもない掛け合いに見えながらも、そこには二人の繋がりというものがそこから伝わってくる、そういう感じがします。
説明的な台詞は無粋なものですが、そういうところはいっさいありません。
物語としては非現実的であるのですが、会話のやりとりからなにか登場人物の人生、人生観みたいなものがにじみ出てくるんです。
そしてその中で、ポンと印象的な台詞が出てくる。
これが気が利いていて、極めて印象的なんですよね。
それは春の言葉であったり、父親や母親の言葉であったりするのですが、ちょっとありそうでない一言であったりするのに、その意味合いというのがすっと心にはいってくるというか(うーん、上手く表現できないのですが、わかってくれる方いらっしゃいますよね・・・?)
こういうところが伊坂さんの言葉のセンスがいいところかなと思ったりします。
扱っているテーマはかなり重いのに、読後の印象がそれほど口当たりが悪くないのはこの伊坂さんの言葉のセンスによるところが大きいと思います。
改めて伊坂さんの作品の良さに気づいたので、他の作品も読んでみますね。

映画「重力ピエロ」の記事はこちら→

「重力ピエロ」伊坂幸太郎著 新潮社 文庫 ISBN978-4-10-125023-6

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コメント

にくきゅ~う★さん、こんにちは!

「モダンタイムス」は読んでいる方が多いですねー。
みなさん、いろいろな作品をお薦めくださったので、順番に読んでいこうかと思います。
ありがとうございました。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年4月 8日 (木) 06時11分

こんにちは~♪

伊坂ファンの一人です。
2月に「砂漠」と「モダンタイムス」を読みました。

「砂漠」は大学生活に起こった出来事で、「モダンタイムス」は”ネット”に関係してる話で怖ろしかったです。
井坂さんの作品に出てくる人物は魅力ある人ばかりですね~^^
両方面白かったですよ~^^

「重力ピエロ」は私も大好きな作品です。
映画も面白かったですよね。
「アヒルと鴨のコインロッカー」も映画も原作も面白かったです。
ただ猫のシーンは猫好きの私にはきつかったです。

ひろちゃんが言ってるように、他の作品に出てきてた人物がチョコチョコ現れて、探すのも面白いですよ。

伊坂さんつながりで「モダンタイムス」をTBさせてもらいますね。

投稿: にくきゅ~う★ | 2010年4月 6日 (火) 18時29分

ひろちゃんさん、こんにちは!

伊坂さんの作品はファンの方が多いですねー。
映画化が多いのもわかる気がします。
お薦めいただいた作品、読んでみますねー。
感想お待ちください。
ではでは。

投稿: はらやん | 2010年4月 6日 (火) 05時40分

こんばんは☆彡

伊坂さんの本は、それなりにみんな私は
好きですが、短編集で良いなら、『死神の精度』『チルドレン』が私は好きです^^

他に読んだのは、『陽気なギャングは地球を回す』、『グラスホッパー』『ラッシュライフ』『オーデュポンの祈り』だったかな・・
それぞれにやはり好きです(^^ゞ

今のところ、1番好きなのは、『重力ピエロ』なんですけど(笑)

読書家のはらやんさんにお薦めなんて
おこがましいのですが、一応コメント
させて頂きました♪
こにさんがおっしゃっているように初期の
作品からと言うのがいいかもしれませんね(^_-)-☆

伊坂さんの本のはらやんさんの感想が
楽しみです♪

投稿: ひろちゃん | 2010年4月 5日 (月) 01時14分

こにさん、こんにちは!

「アヒルと鴨のコインロッカー」は読みましたが、確かにちょっと動物虐待のところはぐっとくるところがありましたよね。
そういう行為に対する純粋な者の怒りや憤りみたいなものが伊坂作品には通じているのかもしれないですね。
初期作品から順繰り読んでみます!

投稿: はらやん(管理人) | 2010年4月 4日 (日) 16時26分

こんにちは♪

アヒルと鴨のコインロッカー
での動物虐待

オーデュボンの祈り
での殺害シーン
など

ヘビーだなぁ
と思いますが
はらやんさんの仰る通り読後は爽快感が残る
不思議な作家さんですよね

他の作品を読まれるのなら
初期の作品から順に読むことをお薦めします


(*^.^*)

投稿: こに | 2010年4月 4日 (日) 10時10分

ひろちゃんさん、こんにちは!

けっこう扱っている題材は非現実的なんですけど、それでもとても人の気持ちが描かれているのが、伊坂さんの魅力ですよね。
文章も読んでいて気持ちいいですし。
次は何にしようかなー。
お薦めありますか?

投稿: はらやん(管理人) | 2010年4月 4日 (日) 06時30分

こちらにもお邪魔します♪
私が伊坂さんにハマったのは、この
作品からでした。実はこの本、友人に借りたのですが、手元に置きたくて譲ってもらっちゃいました(笑)

>うーん、上手く表現できないのですが、
わかってくれる方いらっしゃいますよね・・・?)
すっごくよくわかります^^
ほんと、すっと心に入ってきますよね(^_-)-☆

伊坂さんの作品全部は読んでいませんが
この本を読んでから、たて続けに10冊
くらい読みました(笑)

伊坂さんの作品ってその作品に出てきた登場人物が、別の作品に出ているって言うのも
たくさん読んで行くと出てくるので、また一つの楽しみになってます♪

はらやんさん、伊坂作品、次は何を読まれるのかな?

投稿: ひろちゃん | 2010年4月 4日 (日) 01時27分

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