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2010年4月16日 (金)

本 「ブラックペアン1988」

桜宮サーガとも呼ばれる一連の海堂尊さんの作品群の中で物語の時代の中では古い時代になる作品となります(最も古い時代を扱っているのは「ひかりの剣」)。
「田口・白鳥」シリーズでは狸親父っぷりを発揮している高階院長の若かりし頃が描かれています。
高階院長の若かりし時代については先にあげた「ひかりの剣」でも描かれていますが、彼が手練手管に富んだやり手になっていくというきっかけというのは本作で描かれた佐伯教授との出会いが大きかったのであろうと思われます。
「田口・白鳥」シリーズでは高階院長はすべてを見通しながらも、飄々としているイメージがあり、決して熱い男として描かれているわけではありません。
けれども本作の高階は才気あふれる若手として描かれ、少なからず自分の才への自信を感じている男として描かれています。
けれど本作で描かれる事件を通し、彼は医療というものの奥深さを痛感したように感じます。
それゆえに彼は「田口・白鳥」シリーズに描かれている男になっていったのでしょう。
確実に彼は、佐伯教授の意志を継いでいると言えます。
ある意味、桜宮サーガというのは高階という男の人生を描いているシリーズとも言えるかもしれません。
高階院長以外にも桜宮サーガに登場する、キャラクターが随所い顔を出します。
「チーム・バチスタの栄光」の田口が手術嫌いになったわけも描かれますし、「ジェネラル・ルージュの凱旋」の速水も才気あふれる若者として登場します。
ラストのブラックペアンの謎が解き明かされる場面は、初期の「チーム・バチスタの栄光」を彷佛させる緊迫感があり、ページを繰る手が早まりました。
このあたりの見せ方というのは海堂さんはやはり上手ですね。

本著の続きとなる「ブレイズメス1990」の記事はこちら→
海堂尊作品「ひかりの剣」の記事はこちら→
海堂尊作品「チーム・バチスタの栄光」の記事はこちら→
海堂尊作品「ジェネラル・ルージュの凱旋」の記事はこちら→

「ブラックペアン1988<上>」海堂尊著 講談社 文庫 ISBN978-4-06-276525-1
「ブラックペアン1988<下>」海堂尊著 講談社 文庫 ISBN978-4-06-276526-8

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コメント

たいむさん、こんばんは!

こちらの作品を一番最初に読むと高階院長のイメージは大きく違いますよねー。
僕は「バチスタ」からだったので「古狸」イメージが強くて、若かったときはけっこう血気盛んだったんだなあと思いました。
いろいろ経験して百戦錬磨な古狸になったのでしょうね。

ココログもいろいろ新機能をつけてきてますが、全然使い切れていないんですよ〜。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年4月22日 (木) 22時28分

こんにちは!
TBが埋もれてまして、遅くなりました。

私はバチスタではなく、この本を一番最初に読んだんですよー。
だから、高階はもっとカッコ良い印象を思っていたのだけど、
バチスタでは映画もTVもおっさんでねー(^^;
でも、後のキーマンたちがたくさん登場して、嬉しくなる本ですよねw

この作品までは一般大衆向けな作品として勢いがあったけれど
イノセント・・・などはもうマイワールドに走り始めた海堂さんという印象です。

ところで、テンプレがすっきりしましたねー。
リッチテンプレもいじれるとかなんとか。
でもいじれないのもあるとかないとか。
もう少し分かりやすいと良いのだけど。

投稿: たいむ(管理人) | 2010年4月21日 (水) 22時44分

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