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2010年3月28日 (日)

本 「ソウルケイジ」

好評だった「ストロベリーナイト」の姫川玲子刑事シリーズの第二弾です。
前作はかなり陰惨で生々しい事件が題材ではありましたが、本作はどちらかといえばしっとりとした情感がある作品になっています。
「ストロベリーナイト」は人間性が欠落したことによる事件でしたが、本作の事件は人の善意、人間性ゆえに引き起こされる事件となっています。
出だしの少年の一人称は「ストロベリーナイト」の冒頭を彷彿させるところがあり、またこの少年が悪意にさらされ歪んだ犯罪に向かっていってしまうのではないかという悪い予感を持ちます。
けれどもこの少年は、父親代わりとなる男に愛情を注がれ真っすぐに育ちます。
前作は人の悪意に端を発する犯罪と言えましょうが、本作は人の善意がきっかけになるというところは対称的であると言っていいかもしれません。
ですから派手さという意味では前作に及ばないところがありますが、なにか哀しい、しかし暖かい気持ちにもなれる情感があるように思えます。
そういう点で姫川シリーズというのは懐が深い作品群であると言えると思います。
前作も本作も少年少女が事件に関わります。
けれどもそれは彼らたちに真の原因があるわけではなく、周りの大人たちがそのきっかけを作っているように見えます。
少年犯罪が増えてきていて問題となっていますが、けれどもそれは大人たちがしっかりとした範を若者に見せられていないからかもしれません。

姫川玲子シリーズ「ストロベリーナイト」の記事はこちら→
姫川玲子シリーズ「シンメトリー」の記事はこちら→

「ソウルケイジ」誉田哲也著 光文社 文庫 ISBN978-4-334-74668-1

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姫川玲子シリーズ第二弾! 「ストロベリーナイト」がとても気に入ったのでこのシリーズ追って行きます♪ 「多摩川河川敷、放置された車から人間の手首が見つかった。 姫川玲子班は馬の合わない日下と合同で殺人事件として捜査にあたることになったが・・」 面白... [続きを読む]

受信: 2010年3月30日 (火) 09時54分

» 読書日記195:ソウルケイジ by誉田哲也 [書評:まねき猫の読書日記]
タイトル:ソウルケイジ 作者:誉田哲也 出版元:光文社 その他: あらすじ---------------------------------------------- 多摩川土手に放置された車両から、血塗れの左手首が発見された!近くの工務店のガレージが血の海になっており、手首は工務店の主人のものと判明。..... [続きを読む]

受信: 2010年4月 7日 (水) 20時48分

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