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2010年2月11日 (木)

本 「虐殺器官」

ふと、タイトルが気になって手に取った本です。
帯には「宮部みゆきさん大絶賛!」とのコピーが。
作者は伊藤計劃(いとうけいかく)、ふーん、聞いたことがない作家さんだと思いつつも、僕が好きな宮部さんが推奨しているし、好きなSFだし、読んでみようとレジへ。
読み始めると、確かに凄い作品です。
僕はSF好きですが、優れたSF作品とは人間や社会の本質を描いている作品だと思います。
SFというと「スター・ウォーズ」などのいわゆるスペースオペラとか、タイムトラベルとか、なんとなく派手なアクションものという印象の方は多いかと思います。
それはそれでおもしろいのですが、SFの真骨頂は現在はない世界を作ること。
そしてそれにより人間のありようや、社会のありようをシミュレートすることだと思うのですよね。
現実にはない世界においてよりものの本質を浮かびあがらせようとすることができるのが、SFなのです。
そういう意味で本作は成功していると思います。

9・11後の世界で、テロ対策としてセキュリティのために個人情報が管理された社会。
ですが、世界各地で紛争はとぎれることはなく、それどころか大虐殺が各地で起こっています。
首謀者を暗殺するためにアメリカの情報軍が紛争地域に派遣されますが、そこにはいつもジョン・ポールというアメリカ人の影が。
なぜ彼が行くところで虐殺が起こるのか。

この作品で描かれるのはうんざりするほど重苦しい人間の身勝手な暗部です。
それを見事にSFという手法で描ききっていると思います。
ラストもかなり衝撃的でありました。
伊藤計劃さんはこれがデビュー作であるとのこと。
デビュー作とは思えないほどの、筆力だと思いました。
この記事を書くにあたって、ほとんど知らなかったので伊藤計劃さんのことを調べました。
そうしたら昨年の3月に34歳の若さで亡くなっているとのこと。
これだけのSF小説を書ける人は日本にはそうそういないので、非常に残念です。
長編ではもう一冊「ハーモニー」という作品を出されているということですので、こちらも読んでみたいです。

「虐殺器官」伊藤計劃著 早川書房 ソフトカバー ISBN978-4-15-208831-4

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