「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」 初しんちゃん
先日、親しくさせていただいているブロガーさんの方々と飲む機会があったときに、強くお薦めされた作品です。
ご存知の通り、昨年実写作品として公開された「BALLAD 名もなき恋のうた」のオリジナル作品になります。
「オトナ帝国の逆襲」と並び、名作だという話は以前より聞いていたのですが、なにせ「クレヨンしんちゃん」そのものを一度も観たことがないということもあり、なんとなく避けていたのです。
ノラネコさん、えいさん、やっと観ましたよ。
「BALLAD」を先に観てしまっていたのですが、とてもオリジナルに忠実に作っていたのだなと確認できます。
又兵衛と廉姫の悲恋が主軸となっている物語は、実写版で結末は知っているとはいえ、やはりラストはとても切なく感じました。
本作と実写版で大きく異なる点は、やはり主人公しんちゃんの年齢でしょう。
その年齢そしてそもそもの性格の違いにより、物語での役割が違っていたと思います。
実写版の真一は小学生という年齢からくる客観的視線を持っているということ、またとても理性的な性格として描かれているので、ある意味観客と物語とを繋ぐ役割を持っていたと思います。
基本的には真一主観で、彼が観たこと、思ったことを描いている物語に「BALLAD」はなっていたと思います。
オリジナルのアニメではしんのすけは幼稚園生であり、そしてあのような性格であるがゆえに、この戦国時代の物語においては闖入者という立場になります。
けれども彼のもつある種の無垢さというものは、戦国時代のルール、すなわち人の生き方というものに率直に疑問を投げかけます。
実写版と大きく異なるのはこの点で、実写版はその疑問を真一自身が自問自答します。
それはそういう疑問を持てるほどの年齢に真一がなっているということです。
アニメのしんのすけは、そういう疑問を持つことはなく、逆に彼の素朴な一言により自分たちの生き方というものを見つめ直すのです。
その素朴な物言いは、戦国時代だけではなく、現代の自分たちにおいても、自分たちで気づかないルールに縛られているのではないかという疑問を起こさせてくれるような気がします。
あと驚いたのは、戦国時代の合戦の描写の緻密さ。
鉄砲隊・弓隊・槍隊の各隊の役割分担、攻城戦、陣触れ陣払いの描写など、本格的な時代劇でもここまでしっかりと描くのかというほどに細かかったように思います。
「クレヨンしんちゃん」でここまでやるかと思うほどにしっかりと時代考証をしていたことに驚きました。
なるほどみなさんがお薦めしてくださる意味がわかりました。
これは「オトナ帝国」も観ないといかんかな・・・。
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コメント
ノラネコさん、こんばんは!
お薦めいただいたので、観てみました。
もとの「クレしん」を知らないのですけど、映画としては完成度が高かったですね。
設定を使いつつ自分の世界を膨らませるというところでは、押井守監督の「ビューティフル・ドリーマー」に通じるものを感じます。
あちらも賛否両論ありましたよね。
しんちゃんの年齢設定は違いましたが、実写版は思いのほかオリジナルに忠実だなと思いました。
「オトナ帝国」の方がおもしろいですか〜。
そちらも観てみますね。
投稿: はらやん(管理人) | 2010年2月15日 (月) 21時54分
こんばんは。
気に入ってくれた様でうれしいです。
原恵一のクレしんは、実は本来のファンからは「はたしてこれはクレしんなのか?」と賛否両論あるみたいなのですが、映画としての描写力は圧巻ですね。
実写版もまあ頑張っていたし、部分的にはアニメよりベターな表現と思える所もあったのですが、やはりトータルでは超えられなかったという印章でした。
私はどちらかというと、「オトナ帝国」の方が好きで、もし日本アニメ映画ベストを選ぶなら確実に上位に来ます。
こちらも是非ご覧ください。
投稿: ノラネコ | 2010年2月14日 (日) 22時57分
こにさん、こんにちは!
初クレしんだったのですが、皆さんが絶賛されているのがわかりました。
思ってたしんちゃん(ちょっとお下品な)のイメージと全然違う〜。
臼井さんは残念でしたね。
原作も読んだことないのですが、今度読んでみようかな・・・。
投稿: はらやん(管理人) | 2010年2月14日 (日) 15時36分
こんにちは
別の記事ですがトラバありがとうございました
こちらからも幾つか送らせてもらいました
実写版映画の原案になるアニメを観たのはかなり前ですが、やはり泣けました
原作者、臼井さんがお亡くなりになったのは本当に残念なことです
失礼しました
m(__)m
投稿: こに | 2010年2月14日 (日) 14時28分
sakuraiさん、こんばんは!
sakuraiさん、評価高いですねー!
「金丁」は実写版にはなかったですよね。
僕もこのエピソードは好きです。
アニメ版はこれがあることで、最後に又兵衛がしんのすけに脇差しを与える意味というのがより深くなっていたと思います。
しんちゃんのお父さんもお母さんも今時の夫婦という感じでしたが、ここぞというところでしっかりと家族のために活躍してくれて。
「しんちゃん」ってただのオバカなアニメかと思っていたら、こういう深みがあるのだなと感心しました。
投稿: はらやん(管理人) | 2010年2月13日 (土) 21時00分
こちらにもお邪魔します!!
この間、ここ10年間のベストを選出して見たのですが、どうどう第二位ですよ!!
これはやっぱしんちゃん・・というよりも、原恵一氏の力量ですね。
彼の創作のすごさは、しんちゃんという最強のキャラを借りて、思う存分活躍させた!!そう思います。
6年くらい連続して、ずっとしんちゃんを見てきましたが、その精神はいつも崇高。監督が違っても、野原家のパワーが、この映画のいいエッセンスだと思います。
ま、ここ最近は、どうしても見る気が起きず、卒業させてもらいました。
また原さんが監督したら、見ますけど、監督も卒業して、しんちゃんではない、別のキャラで、描こうとしている・・と思います。
そんなことはどうでもよくて、これはほんと最高ですよ!!
あの戦いの場面とか、細かい描写、なんといっても「きんちょう」ですね。
うちの子らは、しばらく「きんちょう」ごっこをしてましたよ。
映画館で見たときに、みさえの活躍で、場内拍手喝采!!長年映画を見てきましたが、あんなのは、あとにも先にもあれきりです。
とうとつにお邪魔しました。
投稿: sakurai | 2010年2月13日 (土) 17時55分
NAOさん、こんにちは!
そうなんですよ〜、まったく「クレしん」は観たことがなくって。
皆さんがお勧めしてくださるので、ようやく観てみました。
ラストは子供のアニメじゃないような結末でしたよね。
これは大人の方がぐっときます。
「大人帝国」も観てみようかと思います。
投稿: はらやん(管理人) | 2010年2月13日 (土) 15時18分
こんにちは~、はらやんさん♪
はらやんさん、この作品初めてだったんですか~。
私はもともとアニメが好きなので、この作品も
親子で映画館で観たのですが、私が大泣きしてしまいました。^^;
個人的には、「クレしん」シリーズでは最高傑作だと思っています。(大人帝国は第2位)
戦国の合戦の、緻密さにも驚きましたが
まさかあんな結末になるとは思いもしませんでした。
しんちゃんの無垢さが逆に大人の心にほろ苦く突き刺さります。
私も、アニメでお勧めのは?って聞かれると
これをいつも勧めています。
「クレしん~」と侮ってはいけない作品ですね。
「大人帝国」もぜひご覧ください!(^▽^)b
投稿: NAO | 2010年2月13日 (土) 14時49分