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2010年1月30日 (土)

本 「ハゲタカⅡ」

真山仁さんの「ハゲタカ」の続編になります。
やはりこのシリーズは鷲津と芝野という二人のキャラクターの魅力に尽きると言っていいでしょう。
鷲津は「ハゲタカ」と呼ばれる外資ファンドのトップであり、「ハゲタカ」として世間には振る舞おうとします。
彼自身の内面にある熱い思いであったり、葛藤であったり、そういうものは彼の行動だけをみている世間には伝わりません。
鷲津は時に大胆に、そして多少の非情な手段を持ちいって行動します。
けれども彼の周りにいるアランやリン、サムなど周囲の者には、鷲津の大胆な行動の裏にある、とても壊れやすく繊細な心を感じ取っているのが、小説を読んで伝わってきます。
芝野は鷲津の反則手とも言えるような行動に対して、とても正攻法に企業再生を行っていきます。
彼は非情に理知的であるため、断固としたリストラなども厭いません。
会社は個人のものではなく、ステークホルダーのものという信念に基づき、行動します。
彼の行動も下から見ればクールに見えるかもしれませんが、やはり熱い心情を彼の中に感じることができます。
そして彼も完璧な人間ではなく、自分のためにアルコール依存症になってしまった妻を抱え、途方に暮れることもあるのです。
鷲津と芝野は、強い信念をもち、それに基づき行動できる意志を持っている強い男ですが、完璧な人間ではなく、弱いところも持っています。
このあたりが彼らに感情移入をさせやすくしているのでしょう。
一作目の「ハゲタカ」では鷲津と芝野は互いに鍔迫り合いをするライバルのような関係ですが、本作では正真正銘のハゲタカであるアメリカのファンド、プラザに対し、手を組みます。
それまでのライバルが大きな敵に対し共同戦線を張るというのは、よくある話ではあるのですが、やはり読んでいても熱くなります。
鷲津と芝野というライバル同士の二人は切磋琢磨しながらも、互いにリスペクトしている。
この関係性がオーソドックスでありながら、思い入れを深くして読んでしまいます。
結局、本作の冒頭でアランを殺した犯人は謎のままに。
それは東洋系の女性らしい。
ここから次回作「レッドゾーン」に繋がっていくのでしょうか。
こちらも読んでみたいと思います。

前作「ハゲタカ」の記事はこちら→

「ハゲタカⅡ<上>」真山仁著 講談社 文庫 ISBN978-4-06-275687-7
「ハゲタカⅡ<下>」真山仁著 講談社 文庫 ISBN978-4-06-275689-1

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