さてさて今年も一年の映画の総括の時期になってきました。
今年は例年に比べて良作が多かった気がします。
ですのでベスト5はほとんど悩まずに決められました(その中での順位は悩みましたが)。
悩みどころはベスト10に入れるか入れないかのラインあたりでしたね。
他の年だったら確実にランクインしそうな作品もありましたが、運がなかったということで。
今年の劇場での観賞本数は133本で、昨年よりもまたまたアップ。
どんだけ劇場へ行っているんだか・・・。
ちなみにランクの対象は劇場で観た映画になっています。
2009年公開でも僕がDVD等で観た作品は選考外にしていますので悪しからず。
では今年のベスト10の発表です。
1.「アバター」
2.「母なる証明」
3.「ヱヴァンゲリヲン劇場版・破」
4.「グラン・トリノ」
5.「スラムドッグ$ミリオネア」
6.「グッド・バッド・ウィアード」
7.「3時10分、決断のとき」
8.「沈まぬ太陽」
9.「サマーウォーズ」
10.「ウォッチメン」
次点(観賞順)
「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
「チェンジリング」
「レッド・クリフPart2Ⅱ 未来への最終決戦」
「バーン・アフター・リーディング」
「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」
まずは1位の「アバター」。
年末最後になって一気にごぼう抜きしてしまいました。
ランキングに近いタイミングでの観賞であったことはあるのですが、やはり今までの映画表現から別次元に達してしまったキャメロンのイマジネーションに脱帽です。
本作は確実に今後の3Dや映像表現において他のクリエイターの目標になることは間違いないかと思います。
また映像だけではなく、シンプルながらも観客に感情移入させ物語に引き込むストーリーという基本をはずさないのも見事なものでした。
2位の「母なる証明」は、「アバター」を観る前は1位にしようかと思っていました。
ミステリーとしても見応えありましたが、人間ドラマとしても人間の闇の部分に踏み込んでいるところに凄まじさを感じました。
ポン・ジュノ監督の演出も、また母親役のキム・ヘジャの演技もまさに鬼気迫ると言っていいほど。
また母親とは対照的なウォンビンの無垢さがまた別の意味で鬼気迫っています。
作品から受ける圧力にたじろぎました。
3位の「ヱヴァンゲリヲン劇場版・破」は作品というものは監督の心理をやはり反映するものなのだなあということを確認できた作品です。
明らかに以前のエヴァとは異なり、ポジティブな志向がある本作、今だからこそできた作品と言えると思います。
以前のエヴァと比べてどうこうというのではなく、今の時代の「ヱヴァンゲリヲン」だと思いました。
もちろん映像としても驚くほどの迫力でほぼ前のめりでの観賞となりました。
基本的に同じ作品を二度劇場で観ることはないのですが(それだったらもっといろいろ観たいため)、唯一今年2回観に行ったのが、本作です。
4位「グラン・トリノ」はこちらもずっと夏までは今年NO.1だと思っていました。
円熟と言っていいほどのイーストウッドの演技と演出。
ウォルトの生き方にイーストウッド自身が重なって見えます。
年をとっても自分の信念を持って生きていくというところは、彼自身の姿ですよね。
来年もイーストウッド監督の新作が公開されますが、そちらも期待したいです。
5位の「スタムドッグ$ミリオネア」はアカデミー賞受賞作品だけのことはあり、期待に違わぬ出来でありました。
特筆すべきはその脚本の構成力だと思います。
予定調和という意見もあるかもしれませんが、どちらかというとこれは計算され尽くした脚本であると言えましょう。
ハッピーエンドで終わり、観賞後も後味がいい作品でした。
6位「グッド・バッド・ウィアード」。
「母なる証明」に引き続き韓国映画がランクイン。
韓流ブームは過ぎたと言われていますが、韓国映画はエネルギーを持っているということを確認させてくれる映画です。
今年はいわゆるハリウッドのアクション映画もたくさん公開され、そのうちかなりを観ていますが、それほど印象に残る作品は少なかったのです。
映像的にはすごいのですけれど残らないのは、やはり人を感じないからではないかと。
その点、本作などは俳優たちの存在感が圧倒的で、彼ら自身がやっているアクションはやはりCGとは根本的に質が違います。
7位の「3時10分、決断のとき」はやはり主人公二人の男の生き様の美学にしびれました。
ラストのユタ駅での銃撃戦、そこでのダンとウェイドの魂の交流には涙を誘われました。
男というものは自分の信念をかけて戦わなければならないときがあるのですよね。
ダンの魂を息子は必ず引き継いでくれるでしょう。
8位は「沈まぬ太陽」です。
最近は邦画全盛と言われていますが、個人的には安易な企画が多くて観客動員はできても作品としてはどうかと思うことがあります。
観客動員はテレビの続編、笑える、泣けるといった「わかりやすい」ものが多いためだけであって、あまり作品として心に響いてきません。
そういった「わかりやすい」邦画が氾濫しているなかで、あえてインターミッション付きの大長編「沈まぬ太陽」は意味がある作品であったと思います。
この作品が描く時代は今よりも前ですが、今でこそ日本で暮らす人々が実感できる問題や課題を提示していると思います。
このような社会派の作品がきちんと作られていくということが邦画にも大事なことだと思います。
9位は「サマーウォーズ」。
アニメはジブリだけじゃない、と存在感を発揮している細田監督。
細田監督の作品はいつも「青春」の香りを感じます。
青い空に白い入道雲というビジュアル、何かとても素直な心というものをその作品には感じ、観ていてなにかほっとします。
それでもエンターテイメント作品としても一級品でもあります。
本作で細田ブランドが確立したと思いますね。
10位は悩みに悩んだ末、「ウォッチメン」に。
すごいボリュームと情報量で、またヒーローものらしからぬストーリーに観た時はただ圧倒されました。
本作観た後に、分厚い原作のグラフィックノベルを読みました。
読み終わってわかったのは、驚くべきことにその分厚い原作の内容を、映画にほぼすべて表現しきっていること。
ザック・スナイダー、すごいです。
10位は悩みに悩んだと書きましたが、次点は上記の通りです。
「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」を入れようかと思いましたが、これはやはり映画というよりマイケル自身の生き様によることが大きいので、惜しくもランク外としました。
また恒例のワースト5を。
1.「DRAGONBALL EVOLUTION」
2.「カムイ外伝」
3.「宇宙戦艦ヤマト 復活篇」
4.「ハイキック・ガール」
5.「ラスト・ブラッド」
4、5は映画として脚本の出来が散々なので、いたしかたなしでしょう。
1、2、3は安易に原作やオリジナルのネームバリューに頼りすぎているのが良くないです。
もともとのファンへの誠意はあまり感じなく、やはりビジネスに寄っているのではないかと勘ぐってしまいます。
こういう作品作りはやめて欲しいところです。
と言ったところで2009年の総括を終えたいと思います。
来年も良い作品に出会えることを期待したいです。
それでは来年もよろしくお願いいたします。
2008年を振り返っての記事はこちら→
最近のコメント