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2009年11月 8日 (日)

「PUSH 光と闇の能力者」 物語をこねくり回し過ぎ!

観終わった後、うーんとちょっと唸ってしまいました。
どうも自分には合わない・・・。
監督のポール・マクギガンの前作は「ラッキーナンバー7」で、こちらも僕としてはあまりいいとは思えなかったので、どうも相性が悪いようです。
前作もそうですし、本作もそうなのですが、どうも殊更にストーリーを複雑化しようとしているような気がしてなりません。
「驚きのドンデン返し!」とか「衝撃のラスト!」とかそういうコピーをつけたいのではと勘ぐりたくなるような感じがします。
当然エンターテイメントなのですから、ドンデン返しとかがあってアッと驚かせてほしいのはやまやまなのですが、どうも力技でそうしようとしている感じがするわけです。

<ここから先はネタばれ気味です>

本作で登場する超能力者で特にキーとなるのは「ウォッチ」と「プッシュ」です。
キャシー(ダゴタ・ファニング)等の「ウォッチ」は未来予知をする能力を持っています。
けれどもその未来は現在で起こる出来事により、変わっていきます。
彼らが見ることができるのは、今の状況のまま進んだ場合の未来なのです。
そしてタイトルにもなっている「プッシュ」は人の偽の記憶を押し込むことのできる能力を持つ超能力者です。
本作でもキラやカーバーがその能力を持っていて、本作のキーキャラクターとなっています。
「プッシュ」が人の記憶を操作できるということは、別の言い方をすれば、その人の過去を改変する力を持っているということです。
自分では気づかない力で押し込められた記憶は、その本人にとっては真実となるわけで、それは過去を変えたことに他ならないわけです。
本作ではこの「プッシュ」の力が、物語のドンデン返しを担っています。
実はこうだった、実はこうだったということが、繰り返されます。
このあたりの後だしジャンケン的なドンデン返しの強引さは「ラッキーナンバー7」でも感じたことに似通っています。
結局はすべてのことはキャシーの母親がキャシーが生まれる前から予知していた通りに進んでいたということなんですよね。
カーバーがキラの記憶を改変することも、キラが記憶を「ワイプ」される(消される)ことも。
「ラッキーナンバー7」の回想シーンも反則気味でしたが、本作も同じような感じがしました。
ポール・マクギガン監督は物語を二転三転させる方に興味があるのか、あまりキャラクターの描き方に深みはありません。
主人公であるはずのニック、またキャシー、キラといった主要なキャラクターについて中途半端な扱いであると思います。
主人公に焦点をあてるか、群像劇にするか(テレビドラマ「HEROES」などはこちら)のプランもできていないような気がします。
ですからキャラクターへあまり思い入れができません。

いろいろ書きましたが、どうもポール・マクギガン監督の物語をこねくり回すクセが、やはり僕には合わないような気がしました。

ポール・マクギガン監督作品「ラッキーナンバー7」の記事はこちら→

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コメント

KLYさん、こんにちは!

「PUSH」というタイトルですから、プッシャーそしてウォッチャーが肝になる能力者だと思うのですが、それだったらダコタ・ファニングのキャシーが主人公でもよかったかなと。
ただプッシャー、ウォッチャーだけだとアクション映画とは見せ難いので、ムーバーであるニックを出したような気がします。
そのあたりがどうも居心地の悪い全体設計になっている気がしました。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月14日 (土) 15時55分

たいむさん、こんにちは!

そうなんですよね、超能力の定義が制約があるんだかないんだか提示がないのがちょっとずるいかなと。
海外ドラマの「HEROES」などはそのあたりをうまくやっているから、観ていてもおもしろいと思うんですよね。
やっぱり僕はちょっとあわなかったですねえ。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月14日 (土) 07時33分

正直キャシーの母親が予知してたとかそんなことどうでもいい
と思うんですよね。そこをオチにしている段階ですでに滑ってる
ように感じます。
本来なら主人公に限らず、それぞれの能力がキャラの個性に繋が
るはずが、同じ力の持ち主が複数いたり、いなくてもそのシーン
が少なかったり…。早い話それぞれの能力を活かした戦い方じゃ
なくて、単に作戦勝ち?(笑)
それなら別に超能力者じゃなくても良くない?って思いました。^^;

投稿: KLY | 2009年11月13日 (金) 22時12分

こんにちは!
私は「ラッキーナンバー7」よりはって感じでソコソコ楽しめました。
なんといいますが、超能力の定義が一般的なソレとは随分と趣が違っていたので、何でもいいやって気になったのはあるかも。
香港が舞台だったからかな?安っぽさも許容範囲というか(笑)

投稿: たいむ | 2009年11月12日 (木) 21時16分

コブタさん、こんばんは!

そうなんですよね、なんだか都合良く辻褄を合わせている感じがしてしまって・・・。
超能力の定義が曖昧なのかな、だから謎解きそのものがフェアでないように感じてしまうのかもしれません。
キャラクターがあまり活き活きしていなかったのも問題でしょうか。
こちらは続編はないでしょうねえ。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月11日 (水) 19時38分

こんにちは~
コチラ私もみましたが、、うーん という感じですよね。

コチラの映画は観たらスッキリするアクションにみえて 実はなんとも納得できないモヤモヤを残す映画ですよね。

それぞれの能力者達の能力の限界がかなり曖昧で、そのことがウォッチとプッシュの能力をあまり効果的に生かせなかったことに問題があるのでしょうね(><)

ジャンプのように続編を作りそうなラストですが、、コチラも続編はなさそうですよね~

投稿: コブタです | 2009年11月11日 (水) 10時57分

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