「PUSH 光と闇の能力者」 物語をこねくり回し過ぎ!
観終わった後、うーんとちょっと唸ってしまいました。
どうも自分には合わない・・・。
監督のポール・マクギガンの前作は「ラッキーナンバー7」で、こちらも僕としてはあまりいいとは思えなかったので、どうも相性が悪いようです。
前作もそうですし、本作もそうなのですが、どうも殊更にストーリーを複雑化しようとしているような気がしてなりません。
「驚きのドンデン返し!」とか「衝撃のラスト!」とかそういうコピーをつけたいのではと勘ぐりたくなるような感じがします。
当然エンターテイメントなのですから、ドンデン返しとかがあってアッと驚かせてほしいのはやまやまなのですが、どうも力技でそうしようとしている感じがするわけです。
<ここから先はネタばれ気味です>
本作で登場する超能力者で特にキーとなるのは「ウォッチ」と「プッシュ」です。
キャシー(ダゴタ・ファニング)等の「ウォッチ」は未来予知をする能力を持っています。
けれどもその未来は現在で起こる出来事により、変わっていきます。
彼らが見ることができるのは、今の状況のまま進んだ場合の未来なのです。
そしてタイトルにもなっている「プッシュ」は人の偽の記憶を押し込むことのできる能力を持つ超能力者です。
本作でもキラやカーバーがその能力を持っていて、本作のキーキャラクターとなっています。
「プッシュ」が人の記憶を操作できるということは、別の言い方をすれば、その人の過去を改変する力を持っているということです。
自分では気づかない力で押し込められた記憶は、その本人にとっては真実となるわけで、それは過去を変えたことに他ならないわけです。
本作ではこの「プッシュ」の力が、物語のドンデン返しを担っています。
実はこうだった、実はこうだったということが、繰り返されます。
このあたりの後だしジャンケン的なドンデン返しの強引さは「ラッキーナンバー7」でも感じたことに似通っています。
結局はすべてのことはキャシーの母親がキャシーが生まれる前から予知していた通りに進んでいたということなんですよね。
カーバーがキラの記憶を改変することも、キラが記憶を「ワイプ」される(消される)ことも。
「ラッキーナンバー7」の回想シーンも反則気味でしたが、本作も同じような感じがしました。
ポール・マクギガン監督は物語を二転三転させる方に興味があるのか、あまりキャラクターの描き方に深みはありません。
主人公であるはずのニック、またキャシー、キラといった主要なキャラクターについて中途半端な扱いであると思います。
主人公に焦点をあてるか、群像劇にするか(テレビドラマ「HEROES」などはこちら)のプランもできていないような気がします。
ですからキャラクターへあまり思い入れができません。
いろいろ書きましたが、どうもポール・マクギガン監督の物語をこねくり回すクセが、やはり僕には合わないような気がしました。
ポール・マクギガン監督作品「ラッキーナンバー7」の記事はこちら→

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★★
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セ... [続きを読む]
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» 『PUSH 光と闇の能力者』・・・すべてがパッとしない残念な作品 [SOARのパストラーレ♪]
特殊能力者と政府機関との攻防。
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「PUSH 光と闇の能力者」★★★
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ポール・マクギガン監督、111分 、2009年、2009-11-07公開
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その意味が分からないし、
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受信: 2009年11月26日 (木) 22時46分
» 09-318「PUSH 光と闇の能力者」(アメリカ) [CINECHANの映画感想]
今、私たちは死んでいる
第二次世界大戦時より国家に育成され、歴史的有事に関わってきたといわれる特殊能力者たち。しかし一部の能力者は政府の支配から逃れるため、身を隠しながら生きていた。
そんな能力者のひとり、ムーバー(念動力)のニックはある日、ウォッチャー(未来予知力)のキャシーと出会い、世界中の能力者たちを監視する極秘政府機関“ディビジョン”から脱出したキラという女性を一緒に捜してほしいと頼まれる。
一度は断るものの、間もなくディビジョンが送り込んだ能力者たちに命を狙われたこと...... [続きを読む]
受信: 2010年1月22日 (金) 00時56分
» PUSH/光と闇の能力者 [映画鑑賞★日記・・・]
【PUSH】 2009/11/07公開 アメリカ 111分監督:ポール・マクギガン出演:クリス・エヴァンス、ダコタ・ファニング、カミーラ・ベル、クリフ・カーティス、ジャイモン・フンスー未来を、動かせ。ムーバー(念動力)のニックは、ウォッチャー(未来予知力)のキャシーと出会い....... [続きを読む]
受信: 2010年5月31日 (月) 12時49分
» PUSH 光と闇の能力者 [いやいやえん]
能力者を使うというアイデアは面白いのだけれど、若干ストーリーが薄っぺらいので少々残念な出来になっている作品だと思う。
特殊能力自体は面白く、舞台が香港のせいか雑然とした雰囲気の中でエキゾチックな感じはでていました、面白いと思ったのは、超能力がメインなのに知力戦となってるところ。これはいいですね、能力ありきの知能戦。いかに自分たちの超能力を使って、ディビジョン側の超能力者の手をかわして目的を果たせるか。
≪登場する特殊能力者たち≫↓
[MOVE]ムーブ:念力によって物体を遠隔操作する
... [続きを読む]
受信: 2010年6月 6日 (日) 15時46分
» review 10480「PUSH 光と闇の能力者」★★★☆☆☆☆☆☆☆ [サーカスな日々]
政府に特殊能力者として開発された人間と、彼らの能力を利用したい当局との攻防を描くSFサイキック・アクション。『ラッキーナンバー7』の俊英ポール・マクギガンが、第二次世界大戦時に実際に育成されていたという超能力スパイの逸話を基に映画化。主演は、『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』のクリス・エヴァンスと『宇宙戦争』のダコタ・ファニング。葛藤(かっとう)する能力者の姿や、スタイリッシュなアクションに注目。[もっと詳しく]
これはプロモーション用のデモ映像に過ぎない。
「超能力」という存... [続きを読む]
受信: 2010年8月24日 (火) 01時58分
» 【映画】PUSH/光と闇の能力者 [★紅茶屋ロンド★]
<PUSH/光と闇の能力者 を観ました>
原題:Push
製作:2009年アメリカ
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超能力者を育成して、軍隊を作ろうと企む秘密組織ディビジョン。
父をディビジョンに殺された青年ニックは、父と同じ念力を使うことが出来た。ディビジョンから身を隠すために、... [続きを読む]
受信: 2010年11月 7日 (日) 17時19分
» PUSH 光と闇の能力者 [RISING STEEL]
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2009年製作 アメリカ映画
監督:ポール・マクギガン
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コメント
KLYさん、こんにちは!
「PUSH」というタイトルですから、プッシャーそしてウォッチャーが肝になる能力者だと思うのですが、それだったらダコタ・ファニングのキャシーが主人公でもよかったかなと。
ただプッシャー、ウォッチャーだけだとアクション映画とは見せ難いので、ムーバーであるニックを出したような気がします。
そのあたりがどうも居心地の悪い全体設計になっている気がしました。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月14日 (土) 15時55分
たいむさん、こんにちは!
そうなんですよね、超能力の定義が制約があるんだかないんだか提示がないのがちょっとずるいかなと。
海外ドラマの「HEROES」などはそのあたりをうまくやっているから、観ていてもおもしろいと思うんですよね。
やっぱり僕はちょっとあわなかったですねえ。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月14日 (土) 07時33分
正直キャシーの母親が予知してたとかそんなことどうでもいい
と思うんですよね。そこをオチにしている段階ですでに滑ってる
ように感じます。
本来なら主人公に限らず、それぞれの能力がキャラの個性に繋が
るはずが、同じ力の持ち主が複数いたり、いなくてもそのシーン
が少なかったり…。早い話それぞれの能力を活かした戦い方じゃ
なくて、単に作戦勝ち?(笑)
それなら別に超能力者じゃなくても良くない?って思いました。^^;
投稿: KLY | 2009年11月13日 (金) 22時12分
こんにちは!
私は「ラッキーナンバー7」よりはって感じでソコソコ楽しめました。
なんといいますが、超能力の定義が一般的なソレとは随分と趣が違っていたので、何でもいいやって気になったのはあるかも。
香港が舞台だったからかな?安っぽさも許容範囲というか(笑)
投稿: たいむ | 2009年11月12日 (木) 21時16分
コブタさん、こんばんは!
そうなんですよね、なんだか都合良く辻褄を合わせている感じがしてしまって・・・。
超能力の定義が曖昧なのかな、だから謎解きそのものがフェアでないように感じてしまうのかもしれません。
キャラクターがあまり活き活きしていなかったのも問題でしょうか。
こちらは続編はないでしょうねえ。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月11日 (水) 19時38分
こんにちは~
コチラ私もみましたが、、うーん という感じですよね。
コチラの映画は観たらスッキリするアクションにみえて 実はなんとも納得できないモヤモヤを残す映画ですよね。
それぞれの能力者達の能力の限界がかなり曖昧で、そのことがウォッチとプッシュの能力をあまり効果的に生かせなかったことに問題があるのでしょうね(><)
ジャンプのように続編を作りそうなラストですが、、コチラも続編はなさそうですよね~
投稿: コブタです | 2009年11月11日 (水) 10時57分