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2009年11月22日 (日)

「天地人」 リアリズムとフィクションの間の難しさ

毎年NHKの大河ドラマは観ているのですが、自分の評価が一年おきにあたり年とそうでない年が来ています。
去年の「篤姫」が大当たりだったので、今年ははずれ年ということなのですが、やはり観終わってみるとそうだったような気がします。
「功名が辻」「篤姫」が当たりなのですが、どうも女性が主人公の作品の方がおもしろいような気がします。
大河ドラマで取り上げられる時代としては、戦国時代や明治維新が多いのですが、これはやはり激動の時代であるからでしょう。
だからこそ小説や映画、テレビでも幾多の作品が作られているわけで、ただ歴史を追っただけでは今までの作品あまり変わり映えがしません。
そういう点において、「功名が辻」「篤姫」という女性が主人公の作品は、女性の目から見た時代ということで新鮮さを感じたのでしょう。
本作「天地人」は大河ドラマとしては王道中の王道の題材で戦国武将が主人公です。
その主人公は上杉景勝の家老である直江兼継です。
兼継については前立に「愛」の文字をつけた兜を用いていた武将であることは知っていましたが、あとはそれほど詳しくはありませんでした。
ドラマでは上杉謙信以来の「義」の精神、そして兼継の兜からイメージされた「愛」が、上杉・直江のポリシーとして、激動の時代の中でも貫かれる様が描写されます。
実際には兼継の前立の「愛」は「愛染明王」からとられているという説が有力で、彼が実際に「愛」をポリシーに行動したかどうかはわかりません。
僕が最近の大河ドラマの男性主人公の戦国ものに、あまりおもしろくないと思うのは、主人公らが奉じている主義(本作で言うと「義」と「愛」)があまりリアリティを感じないことにあるような気がするからです。
それらの主義は、相手に対する建前としては成立するのですが、それですべての彼らの行動を説明しようとすると無理を感じてしまうのです。
特に本作のような上杉が中心となるドラマとなると、実際には織田から豊臣、そして徳川へ時代の趨勢が変わっていくに従い、彼らは上手く立ち回ったからこそ生き残れたわけなので、そこでは彼らにある種の変節があったに違いないわけです。
彼らの主義に対する姿勢が変化ない(それがないと物語の主人公として潔くはならない)とすると、史実上の彼らの行動との整合性をとるという無理がでてきます。
NHKの大河ドラマは歴史的史実に忠実にあろうと考証もしっかりとやっているので、余計に主義が貫かれるというロマンティックなフィクション性が際立ってしまうのです。
ですから「功名が辻」や「篤姫」の主人公の女性のようにその行動の史実がわかっていないような人物が主人公の方が、実はフィクションとして組み立てやすかったりするのではないか、だから物語として面白くなるのではないのでしょうか。
時代考証がしっかりしているとフィクション性とのバランスをとるというのはなかなか難しいというのは次の例でも言えます。
関ヶ原の戦いの真っ最中に石田三成自ら、小早川の陣を訪れ兵を出すよう督促するシーンがあったのですが、こちらには違和感を感じてしまいます。
たった一日の合戦で大将が軽く本陣を離れることはないだろうと。
物語としてはあそこで三成と秀秋の掛け合いをやりたかったのでしょうが、このあたりが先ほどのリアリティとフィクションのバランスの難しさだと思います。

主演の妻夫木聡さんというのは、悪い俳優とは思いませんが、いかんせん際立ったものを感じられないのです。
例えば松山ケンイチさんとかデ・ニーロとか、役に合わせて変幻自在に変わっていくタイプでもありませんし、また逆に本人自身にカリスマ性があり役を自分に合わせて変えてしまうというわけでもありません。
クセがないという意味では演出しやすいのかもしれませんが、際立った花がないような気がするのです。

合戦シーンで本作では意欲的な試みを行っていました。
空撮にCGを組み合わせ、戦場を俯瞰する視点というのを度々取り入れていました。
「ロード・オブ・ザ・リング」までいっているとは言いませんが、これは今まで日本のテレビドラマでここまで作り込んでいるものはあまりなかったのではないでしょうか。
俯瞰視点だと陣立てなどがよくわかり、ビジュアルとしてはかなり新鮮に感じました。

来年は福山雅治さん主演での「龍馬伝」。
男性主人公ですが、幕末ものは好きなので期待したいです。

08年NHK大河ドラマ「篤姫」の記事はこちら→

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