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2009年11月18日 (水)

本 「真夜中の神話」

久しぶりに真保裕一さんの作品を読みました。
「ホワイトアウト」で初めて真保さんの作品に触れ、そのあと初期の小役人シリーズはけっこう好きで、ほとんど読破しました。
真保さんの作品の魅力というのは、一般の人にあまりなじみのない分野へスポットライトをあてていることによる発見の喜び、そして主人公の(大概)男の不器用な生き方への共感、そして追い込まれた彼らが逆転を成し遂げる爽快さみたいなところがあるかと思います。
本作も基本的には同じ構造であると思います(主人公は女性ですが)。

「真夜中の神話」がスポットをあてているのは、タイトルにもあるように「神話」。
神という存在とは、その正体とは何なのかということが題材になっています。
けれども神という存在へのアプローチは宗教的、哲学的なものではなく、科学的(とはいえフィクションですが)なものとなっています。
とはいえ、それは本作の主題ではなく、ひとつの道具立てです。
人は発展し続けることにより、その過程でいくつものものを失ってきました。
利に目を奪われ、大事なものを失ってきているともいえます。
自分だけ、人類だけよければいいと考え、がむしゃらに進んできたということです。
進歩する力は人類がこうやって進化してきた源泉ではるけれど、その代償として、昨今の環境問題のような課題が起こってきています。
発展の裏には破壊があります。
守るべきものも発展の裏で破壊されていくかもしれない。
これらについて今まではよしとしてきましたが、それがよいのかということが本作の主題となるのでしょう。

作品としてはある一定レベルにはあるとは思いますが、抜群に面白い!と絶賛できるほどではありません。
初期の爽快さみたいなものが最近の作品にはなく、やや全体的に重い感じがするのですよね。
そこの重さにある課題が真保さんの描きたいところなのかもしれませんが。

「真夜中の神話」真保裕一著 文藝春秋 文庫 ISBN978-4-16-713110-4

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