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2009年11月 8日 (日)

本 「フリーター、家を買う。」

不景気がやっと底打ちしたと言われていますが、企業の求人についてはまだまだ厳しいというのが現実のところです。
考えてみれば「働く」ということの意味も、バブル崩壊以降、いろいろと変化し、多様性を持ち始めている気がします。
たぶんかつてのモーレツ社員の世代、バブル時入社世代、その後の就職氷河期世代、そして現在懸命に就職活動をしている世代は「仕事」とか「働く」ということに対しての見方というのは違うでしょうね。
本作の主人公は、一度就職したものの、何か合わないと辞め、その後フリーターでフラフラとしていた青年、誠治。
フリーターでも自宅にいれば何とか生活もしていけるということで、誠治はいつしか就職活動もせずバイトを転々とした生活を続けています。
そんなとき、母親が重篤の鬱病になってしまいます。
母親はご近所付き合いや、身勝手な夫、そしてフラフラとしてばかりいる息子に対して、自分で責任を感じて心を病んでしまったのです。
母の病気によって誠治はやっと自分の甘さを痛感します。
そして改めてしっかりと働こうと就活を始めますが、すぐに会社を辞め、バイトも転々としてきた人間に世間はけっして甘くはありません。
けれど誠治は自分のいい加減さ、甘さというのをしっかりと見つめ、就職活動を通じて次第次第に成長をしていきます。

かなり重そうな話に聞こえるかもしれませんが、有川さんのテイストだからか、それほどドスンとした重さまではいきません。
けれど誠治が自分勝手だった自分を見つめたり、甘さを痛感したりするところはやはりある種の重さはあります。
たぶん読んでいる人は少しは自分にもそういうところを感じたりすると思います。
そういうのを正面切って言われると痛かったりするのですが、有川さんの描き方はすっと心に入っていきます。
段々と誠治が成長していく様は、読んでいて頼もしく感じ、応援したくなります。
「仕事」そして「働く」ということに対し、真摯に向き合う誠治の姿は勇気も与えてくれると思います。
こういうふうに書くと、いつもの有川さんの作品ぽくないかもしれませんが、後半はいつものベタ甘系の恋愛話もありますので(笑)。
有川浩さんは出す作品がどんどん進化していくのが、実感できる作家さんですよね。
らしさは失わずに、進化していくのがすごいと思います。
次回作も期待して待っています。

「フリーター、家を買う。」有川浩著 幻冬舍 ハードカバー ISBN978-4-344-01722-1

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コメント

リバーさん、こんばんは!

有川浩さんの作品はいい意味での軽さがあって読みやすいですよね。
でもただ軽いってわけではなくて、テーマもしっかりしているところも有川さんのいいところだと思います。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年2月26日 (金) 18時54分

TB ありがとうございます。

働くことについて考えさせられました
とはいえ、重くなりすぎず 痛快な作品でしたね

投稿: リバー | 2010年2月25日 (木) 10時41分

たいむさん、こんにちは!

実はまだ「三匹のおっさん」とかはまだ読んでいないんですよー。
でも本作はいつもの有川さんとは違う題材だったので、思わず手に取ってしまいました。
題材は違うんですけれど、有川さんテイストは生きていますよね。
これからどんどん幅が広くなっていきそうで、楽しみです。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月14日 (土) 07時56分

いつのまに最新刊の感想・・ということは追いついたってことですね(^^)
いつもながらのプチ社会派にベタ甘が盛り込まれた有川作品。
新聞の連載が読めないのが残念ですが、単行本化されるのが楽しみですね。

投稿: たいむ | 2009年11月12日 (木) 21時20分

真紅さん、こんにちは!

どうもTB、うまくいったりいかなかったりするようで、すみません・・・。
そうですねー、有川さんは最近扱うテーマが幅広くなってきましたよね。
でも、テイスト自体はあまり変わらず、楽しみながらスルスルと読める感じは有川さんならではです。
本作はほぼ一日で一気読みしてしまいました。
「三匹のおっさん」はまだなんですよ。
こちらも読みたいです。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月11日 (水) 07時50分

はらやんさん、追記です。
届かないと思っていたらTB届いてました! ヤッターーーー!!
TB復活したんでしょうか?! マンモスうれぴー(笑)。
というわけで、今後ともよろしくお願いします♪

投稿: 真紅 | 2009年11月10日 (火) 18時45分

はらやんさん、こんにちは~。
いつもTBありがとうございます。こちらからは届かないのが残念です~。。
さて、この小説は有川さんの新境地開拓というか、面白かったですね。
有川さんは、心底楽しんで小説を書いている感じが伝わってきて、とっても好感しています。
ベタ甘系の恋愛話も好きですが、これからもどんどん新しい方向も見せてほしいですね。
これからも新作が出たらチェックしていきたいです♪

投稿: 真紅 | 2009年11月10日 (火) 18時42分

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