本 「核兵器のしくみ」
アメリカ大統領がオバマになり、世界は核軍縮に向かって一歩踏み出そうとしています。
けれども北朝鮮やイラクなどの国が核兵器を持っていたり持とうとしているわけで、その歩みは困難であろうということも予想されます。
また地球温暖化が解決しなくてはいけない問題となっているなか、これから化石燃料を使った発電ばかりに頼っていられません。
当然ソーラー発電などのグリーンエネルギーの開発は必須ですが、二酸化炭素を排出する化石燃料発電に変わる選択肢として原子力発電というのも入ってくると思います。
原子力発電というとチェルノブイリ事故の強烈な印象があり、危険なイメージが付きまといます。
かくいう僕もそうです。
けれどもなぜ原子力が危険なのでしょうか。
その問いにすぐに答えられない人が多いのではないかと思います。
新聞等の報道では、核兵器や原子力発電などに関する記事を多く見かけます。
僕らはそれを読んでいたりしますが、実はそこで語られる言葉の多くの意味を知らないのではないでしょうか。
例えば、
軽水炉、濃縮ウラン、臨界、フルサーマル、核燃料サイクル、再処理工場・・・。
報道ではみんなわかっている前提で話しているように思えるのですが、実はその内容を知らない人がほとんどなのではないでしょうか。
ちなみに僕はきちんと説明できるものは一つとしてありませんでした。
原発の問題というのは、感情論も含めていろいろなハードルを持っていると思います。
けれどもその問題を話し合うためには双方が同じような知識を持たなくてはいけません。
「原発側と住民の信頼関係が確立しない限り、原発問題は容易に解決しないということである。そのためには、一般市民ももっと原子力の知識を深める必要があると思う」
と著者は書いています。
確かにその通りだと思います。
文頭に書いた問題を世界が抱えている中で、原子力というものは避けては通れないものだと思います。
どのような選択をするにせよ、コンセンサスを得るためにはやはり著者が言う通り、一般市民も知識を深める必要があると、僕も思いました。
「核兵器のしくみ」山田克哉著 講談社 新書 ISBN4-06-149700-6
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コメント
madmaxさん、こんにちは!
原発の理解を深めること自体は、そのまま反原発に繋がるかどうかというとそうでもないかと思います。
ただ推進側がそれを恐れているというのは、そうであるのではないかと思います。
太陽光発電、地熱発電にしてもクリーンであることと危険ではないことは優れているのですが、いかんせんそれらが生み出す電力は原発に比べては少ないので、そのあたりはやはり課題であると思います。
この記事を書いた後、玄海原子力発電所でプルサーマル発電が始まったというニュースが出ていました。
けど、ほとんどの人はこれがなんだかわからないと思うんですよね。
それが一般の人の理解を妨げているということを関係者が知るべきだと思います。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年11月 7日 (土) 06時31分
興味深い本ですね。核兵器の問題については、兵器自体の拡散に問題が集中しますが(ある意味で仕方ないのですが)、原子力発電の是非についてはちょっと下火ですね。
私も、専門用語は一つも分かりません。ただ、エネルギー第二の法則(だっけ?)に従って、おそらく原発はかなり少量のコストで(危険のコストは入れずに)、効果的にエネルギーを得られるから活用されてるのかな、という位しか理解してません。もちろん「危険のコスト」つまり放射能の危険を考慮に入れないコストなんて机上の空論ですから、なんらかの裏があるのは誰でも分かる。
十数年前は、国家として原発に力を入れてたのは、フランスと日本だけでした。その当時から、原発はある意味「国策」だなと思ってました。科学的な理由、経済的な理由は後からくっ付けたな、と。風熱、地熱、海流などから動力を利用して、タービン回す方法は幾らでもあるだろうに。北欧諸国はそうしてます。もちろん国あたりの人口は少ないし、産業も日本の様に「欲しがりません勝つまでは」的な勢いはないのですが。
地震からエネルギーを得る方法とかないのかなぁ。人間の感覚では感じられないものを含めると、5分おき位に起きてるわけですし(外国の友人から聞いた)。地熱なんて絶対ありだと思う、日本の地質環境からして。コストはかかるでしょうが、放射能のコストに比べれば安いもんだ。
何が言いたいかというと、原発の理解を深めれば深めるほど、不合理な部分がどんどん出てきそうな感じだということです。おそらく政府は(それにかかわる官僚は)、知識の深めるつもりは一切ないでしょう。そうすればする程、一般市民が反原発に回ることは目に見えてる。私が原発政策に関わる官僚でしたら、そう考える。
上のような考えが、素人の勘繰りであることを祈ります。
投稿: madmax | 2009年11月 6日 (金) 07時23分