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2009年11月23日 (月)

本 「たまたま -日常に潜む「偶然」を科学する-」

本著は確率・統計について一般向けにわかりやすく説明している解説書です。
どうも確率や統計というのはつかみどころがない感じがあります。
一応大学は理系だったので受験には数学が必須でしたが、その中でも最も苦手だったのが「確率・統計」。
授業でとりあげられるのも受験ギリギリのタイミングでしたし、正直言ってチンプンカンプンなところがありました。
というのも関数や幾何などでは問題を解いて出た答えが、自分の感覚と照らして合っているか違っているかというのが感覚的に納得できるのですが、確率・統計についてはどうもしっくりとこないことが多かったんです。
まさにこの点が本著のテーマになります。
僕たちが日常の生活で暮らしていると実は、確率や統計が深く関わっています。
例えばコイン投げをした場合ですが、「表表表」ときたらそろそろ「裏」が出るだろうと思ってしまいがちです。
ですが、実際は4回目に裏が出る確率はやはり1/2で、最初のコイントスで裏が出る確率と変わりません。
統計の部分でいうと、いくら平均寿命が10歳上がっていると言っても、自分が10歳長生きできるなどということは言えません。
平均が10歳上がっていても、実際には全員が10歳長生きするわけではなく、平均年齢を中心にばらつきがあるわけです(これは正規分布をとります)。
高い確率で自分はその中心にいるはずですが、必ずしもそうとも言えない。
平均よりも10歳長生きするかもしれないし、逆に早死にするかもしれません。
でも平均寿命が伸びたいう話を聞くと、自分も長生きできる気分になってしまうのです。
このように実際の確率や統計の理論からすると不合理なことを、人というのは日常生活で感じたりしています。
このあたりの誤解を本著は解き明かしてくれます。
やはり感覚的にはわかりにくいところもあるのですが、いろいろと具体的な例をあげて説明してくれているのでいわゆる数学書よりは断然読みやすいと思います。

「たまたま -日常に潜む「偶然」を科学する-」レナード・ムロディナウ著 ダイヤモンド社 ハードカバー ISBN978-4-478-00452-4

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