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2009年10月18日 (日)

「ATOM」 手塚治虫のテーマを引き継ぐ

漫画の神様と言ってもいい手塚治虫先生の代表作「鉄腕アトム」がアメリカで3Dアニメとして映画化!
かなりなニュースだと思うのですが、公開館も少ないですし、世間的にも話題としてもあまり盛りあがってないような・・・。
予告で観ましたが、アトムをはじめ、手塚キャラもオリジナルに似ているようで似ていないという微妙な感じがありました。
何やらイヤな予感です。
アメリカで日本の漫画を映画化!というと、最近では「ドラ○ン・ボー○」の悪夢が思い出されます。
もしや第二の「ド○ゴン・○ール」になっているのでは・・・と戦々恐々とした気持ちで、劇場に足を運びました。

やはりキャラクターデザインは手塚キャラに慣れ親しんでいる僕としては、少々馴染みにくいように思えました。
3Dにしたからか、やはりアメリカのタッチが入っているからか、似てそで似てない微妙な感じはしました。
ではストーリーはどうでしょう。
第二の「○ラゴン・ボ○ル」になっていないでしょうか・・・。
結果から述べさせていただくと、しっかりと手塚イズムは引き継がれていたように思います。
もちろんストーリーはオリジナルからは改変されていますが、その骨子、精神というものは尊重しているように思いました。

「鉄腕アトム」というと、アニメ版の主題歌にある「心やさしい科学の子」というイメージがあります。
その言葉から思い浮かぶのは科学が発達した未来に関するとてもポジティブなイメージです。
けれども「鉄腕アトム」では、そのような科学のポジティブな面だけではなく、ネガティブな面も描かれます。
それがわかりやすいのが、発達した科学から発明される兵器、そしてそれらを使用した戦争です。
最新の科学技術(兵器を含む)を使って、人間であるトビオを模して作られたアトムは、言わばロボットと人間の境界にある存在です。
彼は人間にとっての善、ロボットにとっての善の狭間にいるのです。
科学技術は万能ではなく、やはりそれを使う人間の資質によるのです。
そして悲しいかな、人間はまだ善良と呼べるほどには成長しきれていないのです。
手塚先生は「鉄腕アトム」では科学技術のポジティブ面、ネガティブ面を描き、また「ブラックジャック」では医療技術について同じような両面を描きます。
技術が持つそれらの両面は、すなわち人間がそもそも持っている善悪の両面に対応しています。
それを描くのが手塚治虫先生のテーマの一つであったように思っています。
そのような手塚先生のテーマを本作「ATOM」もしっかりと引き継いでいるのが嬉しかったです。

観賞したのは字幕版でした。
吹き替え版のアトムの声は上戸彩さんということですが、オリジナルのアニメの印象と違って作品に入り込めないといやだったので、字幕版にしました。
そうしたらびっくり、英語で声をあてているのは錚々たるメンバーでした。
フレディ・ハイモア(アトム)、ニコラス・ケイジ(天馬博士)、ビル・ナイ(お茶の水博士)、ドナルド・サザーランド(ストーン大統領)・・・。
すごいメンバーです。
コーラを演じていたクリスティン・ベル(テレビドラマ「ヴェロニカ・マーズ」主演)は好きな女優さんなので、これも嬉しい。
特徴がある声なので一発でわかりました。
字幕版にしておいて良かった・・・。

あと一言書いておきたいのはハム・エッグ。
太ってて全然似ていナーイ!
もっとひょろっとさせてほしかった。
本作に登場した場面ではいい人な感じだったので、こんな善良なのハム・エッグじゃないやい!と思っていましたが、結果的にはいけ好かない小悪党でした。
やはりハム・エッグはこうじゃないと!
ついでにアセチレン・ランプも出しといてほしかった。
ヒョウタンツギは出てましたねー。
本作オリジナルキャラでは「トラッシュ缶」がかわいかったです!

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コメント

SOARさん、こんばんは!

そうですねー、海外のリメイクで手塚先生のテイストが出ていたのは嬉しい驚きでした。
それだけ手塚作品が海外にも浸透しているということなんでしょうね。
僕も最初はキャラデザインは馴染めなかったのですが、同じく馴染んでしまいました。

フレディくんは良かったですよ。
今までもアフレコはやっているから上手だと思いました。
パンフを観たらけっこう大人の顔になっていてそちらの方がびっくり!
その他の出演者も豪勢で、声を聞いてご本人の顔が浮かんでしまいました。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年10月24日 (土) 20時53分

ノラネコさん、こんばんは!

そうそう、予告のときはヤバい香りが漂っていましたよね。
覚悟をして行ったのですが、想像以上にちゃんとしていました。
スタッフロールを観ると、かなり中国系の方が参加していて(香港のプロダクションなんですね)、なるほど日本の文化への親和性が高かったのかなと思ったりも氏ました。
英語版キャストは良かったですよね。
さすが皆さん上手でした。
「ハム・エッグ」はまんまでしたねー。
さすがに「お茶の水博士」は違っていました。
アメリカ人は発音できなさそう・・・。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年10月21日 (水) 20時47分

いかにもアメリカらしいアレンジも見受けられましたが、はらやんさんがおっしゃるような手塚作品に流れる精神は大事にしてくれていたので安心しました。
キャラデザインについては確かにビミョ~なところですが、不思議なもので観ているうちに馴染んじゃいましたよ(笑)

フレディくんのアトムはいかがでしたか?(私吹替えだったので)

投稿: SOAR | 2009年10月20日 (火) 21時26分

キケンな香りはしていたのですが、予想外にちゃんとアトムでした。
何でもスタッフもキャストも相当なアトムマニア揃いだったとか。
なるほどちゃんとオリジナルのよさを判った人たちが作ったものですね。
子供連れなら吹き替え版も良いでしょうが、これだけそうそうたるメンバーなら、やはりここは原語版で。
「ハムエッグ」は海外でも「ハムエッグ」なのが可笑しかった。
コイツだけなんちゅう名前(笑

投稿: ノラネコ | 2009年10月18日 (日) 23時10分

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