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2009年9月22日 (火)

本 「半落ち」

映画にもなった横山秀夫さんの「半落ち」を読んでみました。
ちなみに映画化作品は未見です。

ある時、妻を殺したと現職の警部が自首をしてきます。
緊急逮捕したところ、アルツハイマー病を患っていた妻から「人間でなくなる前に殺して」と懇願され、手を下したとのこと。
嘱託殺人であることは本人の自供などから明らか。
けれども自首は事件後二日たったあとであり、その二日間については容疑者である梶はまったく口を割らなかったのです。
殺人については全面的に本人も認めましたが、その「空白の二日間」では自供を引き出せず、完全な自白(完落ち)ではなく、つまりは「半落ち」であったのです。

小説は、この事件に関わる刑事、検事、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官の視点が順繰りに描かれていきます。
すなわち逮捕、取り調べ、立件、報道、裁判、収監といった事件が取り扱われていく各ステップに準じてストーリーは進行していきます。
登場人物の一人である志木刑事が言いますが「ベルトコンベアーの乗せられた」ように殺人事件の犯人である梶はそのステップを運ばれていきます。
そこには各組織の確執、隠蔽、取引等がありました。
各章の主体となる刑事や検事などの登場人物は、それらに抵抗しつつも、それらの行為に呑み込まれます。
それらは悪いことではない、けれども何か不透明なことでもある。
登場人物たちはわかりつつも、何かしらの取引をします。
そこにやましさのようなものを感じつつも。
彼らに対して、犯人であるはずの梶は清廉さというものすら感じます。
彼は多くを語りません。
けれども彼は関わる人々に対し、誠実であろうとしていたのです。
その誠実さを、刑事や検事、弁護士は、自分ができなかったこととして、梶に感じるのです。

横山さんの作品はまだ二冊目ですが、とてもその物語は重みがあり、そしてずっしりと心に迫るものがあります。
映画の方も今度観てみたいと思います。

横山秀夫さん作品「クライマーズ・ハイ」の記事はこちら→

「半落ち」横山秀夫著 講談社 文庫 ISBN4-06-275194-1

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コメント

sanaeさん、こんばんは!

そうですかー、映画も良さそうですねー。
今度観てみようかな。
寺尾聡さんって年をとってから、ますます魅力が出てきた感じがしますね。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年9月24日 (木) 21時57分

この作品は、とても好きですね。
見返すと、より一層・・泣けます。
本を読んでられるから 入りやすいかも・・?

寺尾聡さん、お父様と風貌はソックリになってきましたけど・
いい役者です。

投稿: sanae | 2009年9月24日 (木) 11時48分

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