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2009年9月22日 (火)

「ココ・アヴァン・シャネル」 シャネル以前のココの視点

2010年はシャネルの創業100年ということで、今年は創業者ガブリエル・"ココ"・シャネルをテーマにした作品が次々と公開されています。
トップバッターで公開されている「ココ・シャネル」は老年のシャネルがそれまでの人生を回想していくという仕立てでしたが、本作はタイトルにあるように「シャネル以前のココ」、つまりはシャネル創業までの若き日の彼女の人生を描いています。
ちなみにアヴァンはフランス語で「前」という意味。
そういえば映画用語で「アヴァンタイトル」というのがありますが、これはタイトル前のシーンのことを言いますねえ。
フランス語と言えば、本作は全編フランス語です。
フランス人を題材にし、フランスで作られた映画ですから、当たり前と言えば当たり前なのですけれど、シャーリー・マクレーンの「ココ・シャネル」は英語だったのに比べると、やはりしっくりときます。
パリとか出てくると当然のことながらフランス語のほうが似合います。
どちらにしても字幕がないとまったくわからないのですが、耳で聞く音の感触っていうのも大事ですから。
本作でココ・シャネルを演じているのはオドレイ・トトゥ。
やはり現在のフランスを代表する女優だけあって存在感があります。
タバコのくわえ方などは写真で見る実際のシャネルのようで、これは彼女の仕草などを研究したのでしょうね。
ラスト近辺でただのココが、世界のシャネルになったとき風格が備わった感じが出ていたのはさすがです。

ストーリーとしては同じ人物を題材にしているだけあって「ココ・シャネル」と相当かぶっているところがあります。
伝記物の常として彼女の人生を追いかけていくのですから、当然同じような話になってしまいます。
ですので、後から公開する方がたいへん不利ですね。
シャネルの人生というのは門外漢の僕はまったく知らなかったので、「ココ・シャネル」を観た時に、エポックを作った人なんだと感心したのものですが、本作では二度目ということもありそのあたりについてはやや新鮮味が薄くなってしまったことは否めません。

シャネルは貧しい出自であったためか、あまり幼い頃のことについては正直に語っていないところがあると聞きます。
本作でもエティエンヌと食事をする際に少し脚色した少女時代のことを話すくだりがあります。
ということで「ココ・シャネル」と「ココ・アヴァン・シャネル」の見比べですが、このような見方ができるような気がします(かなり強引ですが)。
「ココ・シャネル」は老年のシャネルの若い時代を回想する物語。
彼女の性癖からして若かりし頃というのを多少美化してしまっているというのはあるかもしれません。
たとえば先ほどあげたエティエンヌは金持ちであり美形であり、そこには恋愛的なものもあったように描かれます。
本作「ココ・アヴァン・シャネル」ではエティエンヌは金持ちですが、美形とは言えませんし(劇中でもココの台詞でそういう場面がある)、双方ともに打算的な付き合いであったようにみえます。
この作品は若いときのシャネル自身そのものを描いているというところが、回想である「ココ・シャネル」と大きく違うところであるかと思います。
つまりはこちらの作品は若き日のココの視点で語られている物語であるのです。
どちらが真実というのではなく、見比べるならばそのあたりの視点の違いのようなところに注目するのも良いかもしれません。
言わばシャネル前のココの視点、シャネル後のシャネルの視点の違いなのでしょうか。

「ココ・シャネル」の記事はこちら→

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コメント

sakuraiさん、こんばんは!

シャーリー版の方が、歴史の中でのココ・シャネルが起こしたムーブメントというのが、わかりやすかったかもしれないですね。
そのあたりが物語にどっしりとした見応えを与えているのかもしれません。
本作はどちらかというと若い女性の恋愛の物語なので、シャネルの伝記としてみると、やはりもの足りないところがありますよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年10月17日 (土) 23時59分

なるほどね。
アヴァンの方は、きちんと時間軸で追ってましたから、若い時そのものを追ってると考えると、しっくりきますね。
まあ、そう考えても、物足りなさは否めませんでしたが。
時代や、戦争の影響、そんなあたりを見たかった・・もんで、やっぱシャーリー版が、見応えありましたかな。

投稿: sakurai | 2009年10月17日 (土) 20時08分

たいむさん、こんばんは!

フランス語だったのは良かったですねー。
けれどそれ以外はちょっと・・・、というところでしょうか、
「ココ・シャネル」は前半はこちらの作品とエピソードがかなりかぶっています。
なので前半はちょっと退屈してしまうかもしれません。
でもココがお店を開いてからの話というのは、No.5の由来とかいろいろおもしろいエピソードもありますよ。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年9月26日 (土) 23時43分

こんにちは。
少し期待と違っていた分、しっくりと来ない映画で残念に思ってます。
フランス語の雰囲気は良かったんだけど。

シャーリー・マクレーンの「ココ・シャネル」は地元には来ないかと思っていたら、今日から公開になりました。嫌いなシネコンなので上映することもしらなかったくらいで悩んでますが、見た方が良いかしら?

投稿: たいむ | 2009年9月26日 (土) 13時13分

オリーブリーさん、こんにちは!

今回の僕の論評は、二作品の違った視点をみつけるかという、ややこじつけめいたところがありますから・・・。
それほどまでに題材・視点は似すぎてましたよね。
明らかに公開が遅かったぶん、不利でありましたよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年9月26日 (土) 05時54分

はらやんさん、こんばんは。

私はかなり辛口になってしまいました(汗)
仰るように回想の手法で語られる若かりし頃は、多少ココなりの脚色はありかもですね(笑)
公開順は影響ありますよ~こちらの方が先だったらまだ良かったかもしれません。

エティエンヌは下品なおっちゃんだったし、ココは半ば押しかけだったし、多少の違いは当然だけど、
映画的には魅力に欠けることが多くて残念でした。

投稿: | 2009年9月24日 (木) 18時24分

ミチさん、こんばんは!

「ココ・シャネル」の方が、本作の後のココにも触れていますので、彼女の人生について知りたいのはあちらの方がいいかもしれないですね。
「火天の城」、本屋さんに平積みされてました。
今度読んでみます!

投稿: はらやん(管理人) | 2009年9月23日 (水) 20時42分

Agehaさん、こんにちは!

さすがオドレイ・トトゥ、知名度がものを言いますね。
今の人にはシャーリー・マクレーンと言っても、わからないか・・・。
本作タイトル通りでシャネルを開業する前までのお話なんですよね。
その後のスタイルの話などだと「ココ・シャネル」のほうがいろいろ触れられています。
でもやはり成り上がっていくところは同じような感じで描かれてました。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年9月23日 (水) 15時52分

こんにちは♪
なるほど、これから「ココ・シャネル」を見るにあたってよいアドバイスをいただきました。
ありがとうございます!

ところで、「火天の城」ですが、原作は読んでいるだけで脳裏に映像が浮かんできて、エンタメ性もありますし面白いですよ~。
ぜひ手に取ってみてくださいね。

投稿: ミチ | 2009年9月23日 (水) 15時31分

元々見る気がなかったので
シャーリー版をスルーしてしまったんですが
ここに来て
オドレィトトゥの帯がついた途端に
本がドワ~っと売れ始めたので
ミーハーとお仕事絡みで見に行きました。(笑)


先にこっちから見て正解…のようですね。(!)この人こういうキャラなんだ、ふ~ん…
で、終わっちゃいましたけど。(!!!)

シャネル社公認の割に
誰に近づいてなりあがっていったのか…だけで
良いの?(わわわわわ)

投稿: Ageha | 2009年9月23日 (水) 10時44分

rose_chocolatさん、こんにちは!

今回のシャネル2作品の比較はなかなか難産でした。
ですのでやや強引なところもあるんですよ〜。。。
ココの若い頃のエピソードについてはほぼ同じような流れ(同じ人物を描いているので当たり前なのですが)だったので、先に「ココ・シャネル」を観ていたので、やや退屈にも感じてしまいました。
これは公開順がものを言いますねえ。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年9月23日 (水) 05時57分

>かなり強引ですが

↑ 確かに(笑
それにしてもここまで両作品とも構成が同じですと、かなり残念です。 違いが読み取れる方はたぶんそれだけ感覚を磨いていらっしゃるんでしょうね。

投稿: rose_chocolat | 2009年9月22日 (火) 22時07分

KLYさん、こんばんは!

お、厳しめですねー。
確かにシャネルでなくては成立しないドラマではなかったかもしれないですね。
でもあの時代、女性が主張することがあまりなかった時代に仕事にも恋愛にも受け身にならないスタイルであったというのが、シャネルっぽい感じもしました。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年9月22日 (火) 21時32分

ラブストーリーならラブストーリーで、その恋愛からココが何を得て、どういう努力や工夫をして、自分のブランドを築いていったのか、そこが抜け落ちていました。でもそれが抜けちゃうと何のためのシャネルの映画なのかが解らないです。><
恋愛は当然重要なファクターだけれど、人の人生を描く時、それは要素の1部でしかないんじゃないかと思います。

投稿: KLY | 2009年9月22日 (火) 19時03分

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受信: 2013年4月 1日 (月) 20時46分

» 映画『ココ・アヴァン・シャネル』★シックなスタイル [**☆(yutake☆イヴのモノローグ)☆**]
映画レビューしました。 http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id333578/rid41/p0/s0/c0/ この作品を楽しみにしていた娘と試写会で鑑賞しました。 鑑賞直後は、さっぱりと通り過ぎた印象でしたが、娘は、とても良かったようで、 ☆でいえば4つと、喜んでいました。 他のシャネルの作品と比べては、なんですが、 シャネルの人生というより、ココの成功、がメインのようで 数日たってみて、むしろ、作りこんでい..... [続きを読む]

受信: 2013年10月 6日 (日) 16時48分

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