本 「リズム」
居心地の良い環境もいつか変わっていってしまいます。
主人公のさゆきは中学一年生。
まだ子供と言っても良い年頃です。
さゆきは「変わらないものが好き」と言います。
風みたいに、
空みたいに、
月みたいに、
変わらずにいてくれるものが好き。
こういう文章がありました。
でも彼女が「第二の我が家」と呼ぶおじさん夫婦も離婚してしまいます。
またさゆきの大好きな従兄の真ちゃんも東京に行くと言います。
いつまでもずっとそのままでいてくれると思っていた環境も、いつしか変わっていってしまう。
思ってもいなかったその変化に、さゆきは翻弄されてしまいます。
そんなさゆきに真ちゃんは
「自分のリズムを大切にしろよ」
と言います。
生きていれば、周りは変化していってしまいます。
けれどそれに翻弄されるのではなく、自分のリズム、自分の好きなことややりたいこと、自分らしさを大事にしていく。
そうすればしっかりと生きていけます。
森絵都さんの文体はとても優しいですよね。
本作は森さんのデビュー作で講談社児童文学新人賞をとった作品です。
少年少女向けに書かれているので特に本作は優しさを感じます。
上で引用したような、中学生が書きそうなちょっと拙いけれど透明な感じの文章が、とても心地よい感じがしました。
本作の続編「ゴールド・フィッシュ」の記事はこちら→
森絵都さん作品「いつかパラソルの下で」の記事はこちら→
森絵都さん作品「カラフル」の記事はこちら→
森絵都さん作品「DIVE!!」の記事はこちら→
「リズム」森絵都著 角川書店 文庫 ISBN978-4-04-379106-4
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