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2009年8月 7日 (金)

本 「ブランドの条件」

仕事がデザイン・広告関係をやっているもので、日頃から「ブランド価値」とかいったことを考えています。
商品名やマークにいかに価値を感じてもらえるようにするかというのが、仕事といってもいいかもしれません。
ブランドとは、広義で言えば、商品名、企業名、産地(魚沼産こしひかりとか)などそれこそあらゆる差別化できる単位に適用できると言っていいでしょう。
ブランド価値を作るとはいかに他者と差別化し、独自のポジショニングを得れるかということに他なりません。
世間一般的に狭義でブランドという場合は、いわゆる「ブランドもの」(ルイ・ヴィトンとかシャネルとか)を指すことが多いかと思います。
本作のタイトルにある「ブランド」とはまさにこのようなファッション・ブランドのことです。
冒頭にデザインを仕事としていると書きましたが、恥ずかしながらファッション・ブランドについてはあまり詳しくはないのです。
これはシャネルのマーク、これはエルメスのマーク、とかいった感じで区別がつくようになったのはつい最近・・・。
正直言ってファッション・ブランドというのは浮ついたイメージだけで高値をつけているというようなマイナスイメージすら持っていたところもあります。
何故そこまで女性がブランドものにこだわるが理解できなかったというのが、本音でありました。
本著では、そのようなファッション・ブランドがどうのように成立したのかというのを、その歴史を振り返ってひも解いていきます。
門外漢の自分としてはこれはけっこう目からウロコの部分がありました。
ルイ・ヴィトンはルイ・ヴィトンとして、シャネルはシャネルとしての歴史とコンセプトというのが脈々と続いているということがわかりました。
自分が日常やっている「ブランド価値」の向上という仕事でも、機能的な価値に加えそのブランドに込めるストーリーというのを重視します。
実は日用品でこそ、機能的な価値訴求だけではブランドにはなり得ないのです。
ファッション・ブランドというのは、そのストーリー性というものを伝説という域にまで高めているのだということを感じました。
特におもしろいと思ったのはシャネルでした。
シャネルはそれまでのラグジュアリー・ブランドとは全く考えが違うところから発しています。
その考え方の詳細はここで説明しきれないのでご興味がある方は本著を読んでいただくのが一番良いとは思いますが、一つ言えるのはそれが創業者であるココ・シャネルの先見性に負うことが多いと思われます。
世の女性は彼女の伝説にお金を払っていると言ってもいいと思うくらいです。
いいタイミングでこの伝説化した女性を映画にしたそのものずばりの「ココ・シャネル」という映画が公開されます。
まったく興味がなかった方面なのでスルーするつもりだったのですが、俄然興味がでてきました。
明日から公開なので、どこかで観に行きたいと思います。

映画「ココ・シャネル」の記事はこちら→

「ブランドの条件」山田登世子著 岩波書店 新書 ISBN4-00-431034-2

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