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2009年8月 9日 (日)

本 「いつかパラソルの下で」

「リズム」とか「DIVE!!」など少年少女向けの作品のイメージが強い森絵都さんが、初めて大人を主人公にした作品です。
でも森さんの心地よい文章は変わりません。

主人公柏原野々は厳格な父の教育方針に嫌気がして家を飛び出します。
それからフリーターなどをして暮らしていますが、家を出て5年経ったところで父が突然事故で死んでしまいます。
そして厳格な父と不倫をしていたという女性が現れ・・・。
こう書くとドロドロとしたような物語、という印象を持つかもしれませんが、森さん特有の爽やかさというのは健在です。
けれどもいつもの爽やかさに加え、少し苦いところもあるのが、本作が大人を主人公にした作品であるからでしょう。
父親の不倫の話というのは、物語のきっかけでしかありません。
森さんの書く作品というのは、特別な人々の物語ではなく、何か自分のことを書いてくれてるような気持ちにさせてくれます。
物語の登場人物たちが経験することそのものが自分と同じというのではなく、生きていて感じること、思うことというのが、登場人物たちの気持ちとシンクロする感じがあるのです。
「DIVE!!」の3人の主人公のいずれかには誰も自分の姿を投影することができるのでしょうか。
本作も同じ感じがします。
家から独立したけれど、なかなか家に寄り付かないということ。
帰ってみても気をつかってもらうのが少々居心地悪く、早々に戻ってしまうこと。
そんなのがちょっと心苦しいこと。
ちょうど帰省する時期に読んだからか、そういう自分の気持ちに触れるところがあったんですよね。
そういう人の気持ちの琴線に触れるようなところが、森さんの作品にはあるような気がします。
何かしら前向きな感じで終わるところも、森さんの作品の良いところです。
それほどボリュームがある作品でもないですし、夏休みに読んでみるにはいい作品かもしれません。

森絵都さん作品「リズム」の記事はこちら→
森絵都さん作品「カラフル」の記事はこちら→
森絵都さん作品「DIVE!!」の記事はこちら→

「いつかパラソルの下で」森絵都著 角川書店 文庫 ISBN978-4-04-379105-7

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受信: 2009年8月10日 (月) 17時06分

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