「斬 〜KILL〜」 チープ感があり、いたたまれない
先日テアトル新宿に行ったときに押井守監督の実写映画の予告編が流れていました。
荒野で黒木メイサさんが対戦車ライフルのようなものを持ってドラゴンに向かってぶっ放している。
菊地凛子さんが黒い羽をまとった天使(?)のような姿になっている。
押井さんの趣味が出ているなあと思ったその作品のタイトルは「ASSULT GIRLS」。
どっかで聞いたことあるぞ、と思い出したのが、本作「斬 〜KILL〜」。
本作は押井守さんが総監修のいわゆるソードアクションを題材にしたオムニバス映画です。
その中で押井さんが監督しているのが、「ASSULT GIRL2」という作品です。
今度の「ASSULT GIRLS」はこちらの短編の発展形なんでしょうか。
本作については劇場公開時はスルーしていたのですが、レンタル屋さんでニューリリースされていたので借りてきました。
ソードアクションはやはり好きなので。
押井さんが総監修だし、と少しは期待して観たのですが、うーん、これはどうなんだろう?
剣劇を題材にしているという割には、オムニバスのどの作品も肝心のその部分がまったく見応えがないのです。
アクションにキレがないし、編集もテンポがいまいちあわない。
予算はないのだろうけど、ちょっとチープ感が漂い、いたたまれない感じがします。
これだったらキワモノっぽい「お姉チャンバラ」の方がよほど突き抜けていておもしろいです。
田原実監督の「妖刀射程」という作品は設定はおもしろいと思ったのですが、さきほど書いたようにアクションのテンポがいまいちキレがないのです。
本作に登場するアイテムである妖刀は古来から封印されていた二本の刀で、銃の要素も取り込んで現代に復活するというもの。
すなわち一本はライフル銃のようなアクション、もう一本の脇差しはオートマチック拳銃のようなアクションをとりいれているのです。
ソードアクションとガンアクションの融合ということをやろうとしている心意気は感じるのですが、その発想に表現がついていっていません。
もったいない・・・。
押井さんが見いだして商業映画初監督を任せたということで、センスは感じるのですが、まだまだもの足りないと言ったところです。
一番おもしろくなかったのが深作健太監督の「こども侍」。
これは褒めるところがありません。
大学生が撮る自主映画以下です。
どうしてこんな作品にしてしまったのでしょう・・・?
押井守監督の「ASSULT GIRL2」はさすが他の監督とはレベルが違うクオリティ。
カットの構図のセンス、編集のテンポはやはりいいです。
足技だけでの二人のヒロインの攻防というのはなかなかおもしろいと思ったのですが・・・。
え、これで終わり?というくらいに短い。
これは欲求不満がたまります。
劇場で観ていたとしたら、これは怒っているだろうなあ。
ということで正月公開予定の押井守監督の新作「ASSULT GIRLS」を期待して待つということといたしましょう。
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コメント
あみかさん、こんにちは!
>実験的に行うという意味合いの強いもの
そんな感じがしますね。
本作の押井さんのパートはもうちょっと観たいなあという感じだったので、今度の長編は楽しみです。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年8月10日 (月) 06時52分
「斬 〜KILL〜」や「真・女立喰師列伝」「KILLERS」といった短編ものはどれも商業映画としては成り立ちにくいものを実験的に行うという意味合いの強いものです。
それぞれの監督はそこで様々な手法を試しまた足がかりにして別の作品へ取り掛かっています。
押井守監督の新作「ASSULT GIRLS」は前記した「斬 〜KILL〜」と「真・女立喰師列伝」の短編をベースに「Avalon」と「GRM」の技術を転用したものになっています。
甲冑・衣装と全ての素材をデジタル上で編集するというこれまで模索していたものの答えがこの新作とも言えるでしょう。
もし手応えがあるなら「GRM」の再開もあるかもしれませんね。
投稿: あみか | 2009年8月10日 (月) 06時44分