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2009年7月 4日 (土)

「いけちゃんとぼく」 ずっと側にいるよ、ずっと側にいたいよ

こういうのには弱い。
それは予告を観た時から、そう思っていたのだけれど、やっぱりうるうるっときちゃいました。

「大きな器に水がたまるには時間がかかる」
劇中で清じいがヨシオのことを称して言った言葉です。
水が一杯にたまった時が、男の子が大人になるときなのでしょう。
ヨシオは毎日のように、いじめっ子にいじめられていました。
けれどヨシオは泣きません。
だからいじめっ子たちはヨシオをいじめるのを止めません。
でもヨシオも決していい子というわけでもありません。
友達にいじわるをしたり、虫を残酷に殺しちゃったりもします。
そんな自分がイヤになっちゃたりもします。
人間というのはいいところもあって、そして悪いところもあって、そして世の中もいいこともあって、悪いこともあって。
いじめっ子のいない理想郷なんて隣町に行ってもあるわけでもなく、でも今いるところもそれほど悪いところでもなく。
大人になっていく間に、そんなふうに世の中っていうのはいろんなところがごちゃまぜになっているということをわかっていくのかもしれません。
そういうのが「普通」であるということを。
でもそんな「普通」な世の中でもちょっとだけでも変えることもできるし、自分もちょっとだけでも変われるってわかることが大人になるってことなのかもしれないです。
でも変えたり、変わったりするのには、やっぱり勇気が必要で。
ヨシオにはずっとそばにいけちゃんがいてくれました。
いけちゃんがずっとそばにいてくれて、強いところも弱いところもいじわるなところも優しいところも、全部ぜんぶ受け入れてくれたから、ヨシオはがんばれたんだよね。
自分を全部受け入れてくれる人がいてくれるっていうのは、とても心強いこと。
そういう人がいてくれるとがんばれる。
晩年のヨシオといけちゃん。
ほんのちょっとしか暮らせなかったけれど、二人は互いに支え、支えられた幸せな時を過ごせたのだろうなというのが伝わってきました。
自分を全部受け入れてくれて、そして自分も相手のことを全部受け入れられて。
ずっと側にいるよ。
ずっと側にいたいよ。
お互いにそう言える人と出会えた、ヨシオといけちゃん。
とっても幸せだったのだろうな。
そういう人と出会えるといいな。

それにしても蒼井優さんは女優さんとしても素晴らしい方ですが、声優としてもピカイチです。
「鉄コン筋クリート」のときもなんて上手なんだろうと思いましたが、本作ではさらに磨きがかかっているような気がしました。
ただヨシオを見守るだけなんだけど、ヨシオのことを深く想っているというのがとてもとても伝わってきました。
ほんと素晴らしかったです。

蒼井優さんが声の出演をしている「鉄コン筋クリート」の記事はこちら→

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コメント

sakuraiさん、こんにちは!

蒼井優さんは声だけでいろいろ深い表現ができる方ですよね。
はじめは男か女かわからないいけちゃんが段々と女性らしくなっていく変化、子供っぽいかと思っていたら包容力のある女性らしくなっていくところなど微妙な変化をとても上手に表現していたと思います。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年9月 5日 (土) 10時11分

子供の多面的なところがうまく表されてて、ちくちくいたかったり、ほほえましかったっり。
いい映画でした。
俳優が声優やるのは、なんかなああと思うことが多いのですが、蒼井優ちゃんは、本当にうまいですねえ。
この映画の魅力の一番は、やっぱいけちゃんの声だったような気がします。
あとは小豆洗いでしょうか・・・。

投稿: sakurai | 2009年9月 4日 (金) 08時16分

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