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2009年7月 1日 (水)

本 「無音潜航」

現在公開中の「真夏のオリオン」の原案となる「雷撃震度十九・五」の作者池上司さんの作品です。
こちらは同様に潜水艦を題材にしていますが、時代は現代となっています。
日本と韓国で北朝鮮工作員によると思われる核テロが実行されます。
親善訪問中だった海上自衛隊所属「さちしお」は急遽、警備活動に入るよう呼び戻されますが、その途中に海難者を助けたあとから、北朝鮮軍の駆逐艦や、中国の原子力潜水艦に執拗に狙われます。
海上自衛隊の潜水艦はディーゼルを動力源としているため、一定時間ごとに空気を補給し、蓄電しなくてはいけません。
対する原子力潜水艦はディーゼル駆動の潜水艦と比べれば無限とも呼べるほど潜航を続ける能力を持ちます。
しかし原子炉を内蔵しているために船体は大きくならざるを得ず、また旧式のため静粛性も欠けます。
そしてもう一つ大きな弱点も持っていて、それが本作の中で「さちしお」がうつ起死回生の一撃に繋がります。
日本の潜水艦は原子力潜水艦に比べれば小型で小回りがきき、また静粛性も優れています。
このように短所長所をお互いに持った潜水艦同士の戦いは、剣豪同士の戦いのような緊張感を持っています。
その点においては本作は楽しめます。

けれども小説としてのドラマ性といった点でみると、あまり評価できません。
潜水艦同士の戦いが描きたかったにしても、その背景となる事件の決着や、冒頭の核テロを描く際の登場人物についての描写があとは全くなく、放り投げているような感じがしました。
やはり人物が描けていないのが致命的で、潜水艦戦については楽しめたものの、小説としてはおもしろいと言える作品にはなっていないように思えました。
「雷撃震度十九・五」はけっこうおもしろい印象があったので、ちょっと残念です。

「無音潜航」池上司著 角川書店 文庫 ISBN978-4-04-375703-9

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