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2009年7月27日 (月)

本 「イノセント・ゲリラの祝祭」

海堂尊さんの田口・白鳥シリーズの第4弾です。
現在の医療についての課題をエンターテイメントに包み、わかりやすく提示してくれる本シリーズですが、舞台を桜宮市から厚生労働省に移しての展開になります。
最近の医療について思っていることは先日観た映画「ディア・ドクター」のところで縷々書いたので、こちらでは別のことを。
本シリーズは「チーム・バチスタの栄光」で宝島社の「このミステリーがすごい!」で大賞をとってから快進撃が始まったわけです。
よってそもそもはミステリーだったわけですが、最近はミステリーという枠組みを越えたエンターテイメント作品になっていると思います。
本作などは特に顕著なんですが、なにでエンターテイメントをしているかというと「論戦」なんですよね。
ディベートのようにお互いが自分の意見を主張をする。
それはただの言葉の応酬などではなく、言葉を使った果たし合いのような緊張感、そして剣豪たちの戦いを観ているようなエンターテイメント性があります。
もともと「ロジカル・モンスター」白鳥の存在により一作目からその萌芽はあったのですが、このシリーズは本作に至り、言葉でのやり取りによる丁々発止のエンターテイメントというスタイルを確立したように思います(「ナイチンゲールの沈黙」などはまだミステリーにするかどうかの迷いを感じました)。
海外の作品ではジョン・グリシャムなどが代表するリーガル・サスペンスが確立していますが、日本でも言葉による戦いをエンターテイメントで描くということのスタイルが確立していくかもしれませんね。
本作では極北市の医療事故についても触れられているけれど、先日発売された「極北クレーマー」とリンクしているのかな。
姫宮はそっちに出ているようなので「極北クレーマー」も読まないと!

小説「チーム・バチスタの栄光」の記事はこちら→
小説「ナイチンゲールの沈黙」の記事はこちら→
小説「ジェネラル・ルージュの凱旋」の記事はこちら→
小説「アリアドネの銃弾」の記事はこちら→

「イノセント・ゲリラの祝祭」海堂尊著 宝島社 ハードカバー ISBN978-4-7966-6676-3

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コメント

由香さん、こんばんは!

海堂さんは「ジェネラル・ルージュの凱旋」でいわゆる「事件」でなくても物語になるというのが感触でつかめたのではないかと思いました。
なので本作は純粋に会話のやり取りだけでどれだけエンターテイメントになるかを試してみたような気がします。
僕はけっこううまくいっているような気がしました(派手さはないんですけれどね)。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年7月31日 (金) 21時41分

こんにちは~♪
海堂さんの作品は好きで、新作が出るとついつい手が出てしまいますが(笑)、コチラの作品は個人的にはイマイチでした~
ちょっと主張文っぽ過ぎて・・・引いてしまいました(汗)
チーム・バチスタやジェネラルのようなバチスタシリーズの方が好みです~

投稿: 由香 | 2009年7月29日 (水) 13時23分

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受信: 2013年11月18日 (月) 02時05分

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