本 「イノセント・ゲリラの祝祭」
海堂尊さんの田口・白鳥シリーズの第4弾です。
現在の医療についての課題をエンターテイメントに包み、わかりやすく提示してくれる本シリーズですが、舞台を桜宮市から厚生労働省に移しての展開になります。
最近の医療について思っていることは先日観た映画「ディア・ドクター」のところで縷々書いたので、こちらでは別のことを。
本シリーズは「チーム・バチスタの栄光」で宝島社の「このミステリーがすごい!」で大賞をとってから快進撃が始まったわけです。
よってそもそもはミステリーだったわけですが、最近はミステリーという枠組みを越えたエンターテイメント作品になっていると思います。
本作などは特に顕著なんですが、なにでエンターテイメントをしているかというと「論戦」なんですよね。
ディベートのようにお互いが自分の意見を主張をする。
それはただの言葉の応酬などではなく、言葉を使った果たし合いのような緊張感、そして剣豪たちの戦いを観ているようなエンターテイメント性があります。
もともと「ロジカル・モンスター」白鳥の存在により一作目からその萌芽はあったのですが、このシリーズは本作に至り、言葉でのやり取りによる丁々発止のエンターテイメントというスタイルを確立したように思います(「ナイチンゲールの沈黙」などはまだミステリーにするかどうかの迷いを感じました)。
海外の作品ではジョン・グリシャムなどが代表するリーガル・サスペンスが確立していますが、日本でも言葉による戦いをエンターテイメントで描くということのスタイルが確立していくかもしれませんね。
本作では極北市の医療事故についても触れられているけれど、先日発売された「極北クレーマー」とリンクしているのかな。
姫宮はそっちに出ているようなので「極北クレーマー」も読まないと!
小説「チーム・バチスタの栄光」の記事はこちら→
小説「ナイチンゲールの沈黙」の記事はこちら→
小説「ジェネラル・ルージュの凱旋」の記事はこちら→
小説「アリアドネの銃弾」の記事はこちら→
「イノセント・ゲリラの祝祭」海堂尊著 宝島社 ハードカバー ISBN978-4-7966-6676-3
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» 【本】イノセント・ゲリラの祝祭 [★YUKAの気ままな有閑日記★]
『イノセント・ゲリラの祝祭』 海堂 尊 宝島社【comment】海堂さんの作品が大好きで、なるべく読むようにしているし、本作は、『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』『ジェネラル・ルージュの凱旋』に続くバチスタシリーズの第4作ということで、Amazon君から発売日に届くように手配してあった。つまり楽しみにしていた作品だった。だが、、、どう感想を書けばいいか分からない。非常〜に困っているう〜ん、、、本作は一応小説の形態はとっているが、小説と言えるのだろうか... [続きを読む]
受信: 2009年7月29日 (水) 13時20分
» イノセント・ゲリラの祝祭 [Yuhiの読書日記+α]
海堂尊著「イノセント・ゲリラの祝祭」を読了しましたー。「チーム・バチスタの栄光」に始まる田口&白鳥シリーズの本編4作目です。
でも、間に色んな外伝(?)を読んだので、本編ではまだ4作目だとは、ちょっと信じられない気がします。それくらい、もう海堂ワールドのキャラクターは、馴染んでしまってるんですよね。
で、今作ですが、さすが本編だけあって、田口・白鳥はもちろんのこと、高階病院長、加納刑事、玉村刑事、藤原看護師、別宮記者ら、主なメンバーは健在です。
それ以外に、今回新たに出てきたキャラクターも超個性的... [続きを読む]
受信: 2009年7月31日 (金) 00時01分
» 本「イノセント・ゲリラの祝祭」 [<花>の本と映画の感想]
イノセント・ゲリラの祝祭
海堂尊 宝島社 2008年11月
イノセント・ゲリラの祝祭/海堂 尊
¥1,575
Amazon.co.jp
田口は、高梨病院長からの呼び出しを受け、白鳥からの要請で、厚生省の会議に出席することになり、上京する・・・・・・
今回は、会議の場面が... [続きを読む]
受信: 2009年8月 1日 (土) 21時10分
» 「イノセント・ゲリラの祝祭」 海堂尊 [ミチの雑記帳]
{/book/}「イノセント・ゲリラの祝祭」 海堂尊
「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」「ジェネラル・ルージュの凱旋」に続く田口・白鳥シリーズ最新刊第4弾。
今回はいつもよりさらにミステリー色は薄いです。っていうか、ミステリーではありません。
舞台は病院ではなく、厚生労働省の検討会が中心となっています。なので、動きが少なく、ひたすら会議でのやりとりばかり。
題材は、海堂氏の作品のあちこちに登場してきたエーアイ(死亡時画像検査)の死亡時医療検索への導入です。
デビュー作の「チー... [続きを読む]
受信: 2009年8月 1日 (土) 23時43分
» 「イノセント・ゲリラの祝祭 上・下」 海堂 尊 [映画と本の『たんぽぽ館』]
医療行政にもの申す!
* * * * * * * *
イノセント・ゲリラの祝祭 (上) (宝島社文庫 C か 1-7)海堂 尊宝島社このアイテムの詳細を見る
イノセント・ゲリラの祝祭 (下) (宝島社文庫 C か 1-8)海堂 尊宝島社このアイテムの詳細を見る
トントンと文庫化されるのがうれしい、海堂尊の田口・白鳥シリーズ。
前作はジェネラル・ルージュこと速見医師の活躍が鮮やかでしたが、
今回は医療現場を離れます。
なんと、田口医師が厚生労働省白鳥より呼び出しを受け... [続きを読む]
受信: 2010年2月 2日 (火) 20時32分
» 本『イノセント・ゲリラの祝祭』海堂尊 [日々のつぶやき]
バチスタシリーズ第4弾、待っていましたー文庫化、上下巻です。
「通称愚痴外来の田口医師は、厚生省のあの白鳥の正式な要請により、厚生省の事故調査委員会に参加していた。
そこで死体解剖の現場と役所との現実を見せ付けられ、白鳥の罠に嵌っていると知りながらもつ... [続きを読む]
受信: 2010年4月24日 (土) 10時49分
» 『イノセント・ゲリラの祝祭』 海堂尊 [【徒然なるままに・・・】]
<田口・白鳥シリーズ>の4作目。こちらも放ったらかしにしておいたら文庫になってしまいました。
おまけに短編『東京二十三区内外殺人事件』を組み込んだ全面改稿版、ということでちょっと悩んだんですが、まあこちらが決定版だろうと文庫版でチャレンジ。
最近こういう作家の方が増えてきてますね。
単行本買った(読んだ)人でも楽しめるという配慮、両方買わせようという戦略でもありますが、未読の人はどっちを手にとっていいか迷うのも事実。
映画でも<劇場公開版>と<ディレクターズ・カット版>、<エクステンデッ... [続きを読む]
受信: 2010年10月 4日 (月) 23時28分
» 医療行政の実態 [笑う学生の生活]
小説「イノセント・ゲリラの祝祭」を読みました。
著書は 海堂 尊
おなじみの田口・白鳥シリーズ第4弾
今回は医療行政がテーマで
ちょっと 小難しいテーマながらも
しっかりと エンタメ作品として読めるから流石です
どこまで 本当なの?と思わせるほどの
医療行政の...... [続きを読む]
受信: 2011年4月29日 (金) 22時21分
» イノセント・ゲリラの祝祭 / 海堂尊 [ねこやま]
抜粋
『このミス』大賞シリーズ
『チーム・バチスタの栄光』『ナイチンゲールの沈黙』
『ジェネラル・ルージュの凱旋』に続く
田口・白鳥シリーズ最新刊!
厚生労働省をブッつぶせ!
医療事故を裁くのはいったい誰なのか?
東城大学医学部付属病院不定愁訴外来...... [続きを読む]
受信: 2011年5月 3日 (火) 18時17分
» イノセント・ゲリラの祝祭/海堂尊 [本と映画、ときどき日常]
田口、白鳥シリーズの第4弾。
海堂氏は好きな作家の一人ですが、正直、自分には少し難しいです。
今作も、帯に「厚生労働省をブっつぶせ!」とあるのですが、その意味が最後まで分かりませんでした。
ただ、おなじみの登場人物の描き方は、いつもながらさすがで、...... [続きを読む]
受信: 2013年11月18日 (月) 02時05分
コメント
由香さん、こんばんは!
海堂さんは「ジェネラル・ルージュの凱旋」でいわゆる「事件」でなくても物語になるというのが感触でつかめたのではないかと思いました。
なので本作は純粋に会話のやり取りだけでどれだけエンターテイメントになるかを試してみたような気がします。
僕はけっこううまくいっているような気がしました(派手さはないんですけれどね)。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年7月31日 (金) 21時41分
こんにちは~♪
海堂さんの作品は好きで、新作が出るとついつい手が出てしまいますが(笑)、コチラの作品は個人的にはイマイチでした~
ちょっと主張文っぽ過ぎて・・・引いてしまいました(汗)
チーム・バチスタやジェネラルのようなバチスタシリーズの方が好みです~
投稿: 由香 | 2009年7月29日 (水) 13時23分