「MW -ムウ-」 存在し続ける陰
実はまったく期待をしていなかったので観賞が後回しになっていた作品だったのですが、観てみたらけっこうおもしろかったです。
手塚先生の原作は未読で、事前情報も予告くらいでしか入っていなかったのが良かったのかもしれません。
<ネタばれ含みますので、注意!>
本作はカテゴリーとしてはピカレスク(悪漢もの)になるのでしょうか。
何が良いかと言ったら、主人公の結城(玉木宏さん)が徹頭徹尾悪役でブレがなかったということです。
悪人が主人公の作品というのは、古今東西たくさんあるのですが、実は善人だったとか、良心に目覚めたとか、改心したとかという結末を迎えるものが多いですよね。
例えば福井晴敏さんの「Twelve Y. O.」とか「亡国のイージス」などに出てくる悪人というのはそういうところがあります。
ちょっと脱線しますが、福井さんの作品にはキーアイテムとして「GUSOH」という毒ガス兵器がでてきますが、本作を観て思いましたがこれは本作に登場する同様の兵器「MW」の影響を受けているような気がするのですが、どうでしょう?
話を元に戻して・・・。
悪人が人間性に目覚める、改心するという展開は物語として感動的なラストとなり、気持ちよくお客さんに帰ってもらうことができます。
けれども本作は違います。
結城は作中で「モンスター」と例えられるように、人間性を著しく欠いた人物として描かれます。
彼は島での惨劇をいっしょに生き残った賀来が、結城の身代わりになったかのように命を賭けて贖罪したのにも関わらず、変化をしません。
悪人である彼が生き残り、これからも悪意をまき散らしながら生きていくというのを予感させるラストは居心地のいいものではありません。
けれどもその姿に僕は清々としたものも感じたのです。
予定調和のように悪人が改心するのではなく、そのままに悪として存在していく。
たぶん改心していたら、僕はこの作品を良いとは思わなかったでしょう。
なぜならばそこに作り手の作為を感じてしまうから。
感動させようという意図を感じてしまうから。
本作において結城は、幼い頃の経験により悪で真っ黒になった心を持った人間として、そこにいるというリアルさを持っています。
彼の行為がいい、悪いということではなく、彼は作品の中に実存しているような存在感を持っているように感じました。
口当たりのいい結末でその存在感を消してしまうのではなく、あえて苦い結末にしているのが良かったと思います。
結城という「モンスター」は、現代社会の持つ陰の部分のメタファーであると捉えられます。
権力が「臭いモノに蓋」とばかりに、何かを隠そうとすることは現実にもあるかと思います。
けれども蓋をして見えなくすれば、そこに陰が生じる。
隠し続ける限りその陰はなくなりません。
隠そうとする限り、結城がメタファーとなっている陰は存在し続けるのです。
そういう点からも、結城というキャラクターが最後まで悪であり続けたということを評価したいと思います。
その結城を演じていた玉木宏さん。
先だって観た「真夏のオリオン」の艦長役とは真逆のキャラクターでした。
線も細いしスマートだし悪役はどうかなと思っていたのですが、逆に体重を普段よりもさらに落してこの役に挑んだということ。
確かに細身の方が亡霊のように陰があって凄惨な感じが漂うので、この結城というキャラクターにあっているような気もします。
結城という名前は「幽気」のメタファーですかね。
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玉木宏さんが、悪役に挑戦し、原作は手塚治虫さん、楽しみにしていた「MW-ムウ-」を、いつもの土曜日のレイトショーで鑑賞。
テレビで、第0章もやってたけど、うとうとしていて、よくわからずじまい^^;
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関東戻ってきて初めて試写会が当たった~(^_^)。
ので観に行ってきた~。
今回観たのは「MW」。MWと書いてムウと読むらしい。まあ、KYみたいなもん。たぶん。
話としては、16年前、ある島の住人が1夜にして消える事件が起こる。そんな中、奇跡的に生き延びた少年2人が居たのだが・・・、という感じ。
感想、の前に、映画観るまで、
コメント
ノルウェーまだ〜むさん、こんばんは!
原作読んでいる方と読んでいない方で評価が割れている感じがしますね。
それだけ原作は印象的なんでしょうね。
僕は手塚作品は好きなんですけど、こちらの原作はちょっと怖そうな感じがして避けていたんです。
映画の方は思っていたよりおもしろいなと思いました。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年8月 7日 (金) 19時37分
はらやんさん、こんばんわ☆
私も躊躇していたら、見るのがすっかり遅くなってしまいまいした。
同様に、テレビの特番や予告編すら見ない状態でいたので、結構そのスリルと玉木演じるダークヒーローを楽しむことができました。
原作に描かれている、最も大きなテーマをバッサリ切り取っているので、少々伝わりにくかったかもしれないですね。
かくいう私も原作は知らないのですが…
投稿: ノルウェーまだ~む | 2009年8月 5日 (水) 23時16分
sakuraiさん、こんにちは!
確かにマンガにしても、小説にしても、映画にしてもそれを作っている人の心理状態が色濃く反映しますよね。
新しい「エヴァ」を観ていて庵野監督がとても幸せなのだろうなあと思いましたもん。
手塚先生はこの作品を描かれていたときはどんなときだったんでしょう?
原作を読んでいないので、僕はほんさくはけっこう楽しめました。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年7月25日 (土) 14時41分
michiさん、こんばんは!
結城の行為は許せるものではないのですが、そのような悪魔を産んでしまった深い闇というのがあるんですよね。
取り繕った悪が、さらに完全な悪を産んでしまうっているのは皮肉ですよね。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年7月25日 (土) 14時14分
手塚先生を語ると長くなるので、はしょりますが、彼の漫画に出てくる悪役は、時代や、そのときの手塚先生の精神状態が色濃く反映されてるのが多いですね。
自分がすさんでると、ものすごい根っからの悪役が登場し、精神状態がいいと、ものすごいいい人が登場したり。
この頃の先生の精神状態が容易に想像できる主人公の描かれ方ですわ。
でも、漫画はあんなもんじゃないです、。
ほんとに悪魔か!と思われるような行動をとりますが、その辺が伝わったのなら、少しは甲斐があったと言うもんです。
投稿: sakurai | 2009年7月21日 (火) 15時52分
TBありがとうございました。
>蓋をして見えなくすれば、そこに陰が生じる
ホントそうですね。
同じ経験をしながら別の生き方をしている主人公2人でしたが、
結城の言動に社会の矛盾を風刺するような一面があったので憎みきれませんでした。
投稿: michi | 2009年7月21日 (火) 14時30分
KLYさん、こんにちは!
そういう要素が原作にはあったんですねー。
そういえば禁欲的な宗教の世界に入ったり、想いを寄せてくれてきてくれる少女に興味を持たなかったりというような描写はありましたね。
BL要素を描くと男性客はひいてしまうから(たぶん僕もそう)、そこはカットしたのでしょう。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年7月20日 (月) 05時54分
中々面白かったと思うのでしが、原作未読だとどうしても解らなかったのが、賀来が何故結城にあそこまで引きずられるのかってことでした。
既読の方の話を聞いて初めて、実はBLのエピソードが落とされちゃってるんだと知りまして…。賀来は結城を愛していたから引きずられたのであって、理屈じゃないのだ、ってでもそれはスクリーンからじゃ解らないですよー。(苦笑)でも賀来が結城を愛しているというベースがわかって観ると、彼の行動の全てが理解できる気がします。
投稿: KLY | 2009年7月19日 (日) 23時12分