本 「海の底」
有川浩さんの作品で通称「自衛隊三部作」と呼ばれている作品の一つです。
「塩の街」(未読)が陸上自衛隊、「空の中」が航空自衛隊、そして本作「海の底」が海上自衛隊を題材にしているということでそう呼ばれているようです。
三部作と言ってもそれぞれのお話は独立しておりますが。
有川浩さんは「図書館戦争」から読み始めたので、あのベタ甘な感じ(笑)が印象づいていましたが、本作は甘さは控えめでした(夏木と望のぶきような感じは有川テイスト)。
本作読んで思い浮かべた映画は「ガメラ2 レギオン襲来」でした。
レガリスはまさにレギオンのイメージでしたね。
平成「ガメラ」シリーズは、現在の日本に実際に怪獣が表れた場合、国はどのように対応するかというシミュレーションを行った作品でした。
「空の中」もそうでしたが、本作も同じように同様に生物災害が発生した場合のシミュレーションを行っています。
特に本作では警察の描き方がなかなか真に迫っています。
怪獣らしきものが出たとして、よくある怪獣映画のようにいきなり自衛隊を出動することはたぶんできません。
現行法制ではさまざまな縛りがあるためです。
そのような場合、国はどのようにするかというと、警察の警備部(機動隊など)でなんとか耐えることしかないでしょう。
もともと警察は警備が任務であるために、攻撃するための装備は持っていません。
圧倒的不利の中で、警官たちは自分たちの仕事に誇りを持ち、立ち向かいます。
このあたりの任務に対しての責任感というものは、有川さんの作品において共通して描かれているところです。
このあたりのまっすぐさをストレートに描いてくれるところは有川さんの作品を読んでいて気持ちがいいいところですね。
警察や自衛隊のシミュレーションを行っているといっても、本作はそれだけではありません。
レガリスによって占拠された海上自衛隊基地内の潜水艦に閉じ込められた自衛官二人と見学にきていた子供たちのドラマも並行して描かれます。
大きな視点だけでなく、小さな視点でも描かれているために、このシミュレーション小説の深さがでて、かつ感情移入もしやすくなっていると思います。
「三部作」で残りは「塩の街」だけ。
こちらも読まないと。
有川浩作品「塩の街」の記事はこちら→
有川浩作品「空の中」の記事はこちら→
「海の底」有川浩著 角川書店 文庫 ISBN978-4-04-389802-2
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» 有川浩「海の底」感想 [Wilderlandwandar]
海の底 (角川文庫)有川浩の3冊目、自衛隊絡みの3部作だそうで、陸(塩の街―wish on my precious)、空 [続きを読む]
受信: 2009年6月15日 (月) 22時21分
» 本『海の底』有川浩 [日々のつぶやき]
有川さんの自衛隊三部作、これで全部読破です。
「塩の街」の感想はこちら → ☆
「空の中」の感想はこちら → ☆
「4月、桜祭で一般解放された横須賀米軍基地は賑わっていた。
そんな中、停泊中の潜水艦きりしおに突如異例の緊急命令が下された。
海... [続きを読む]
受信: 2009年7月 8日 (水) 17時13分
» 『海の底』 有川浩 [【徒然なるままに・・・】]
『塩の街』、『空の中』と共に<自衛隊三部作>と呼ばれているらしい最終作。
といってもお話は繋がってないし、世界観も別物。
今のところ『空の中』しか読んでないけれど、これがジュブナイルSF、ファースト・コンタクト物、それにラブ・コメディ(?)としてかなりツボだったこともあって期待していたけれど、うん、面白いじゃん。
お話は桜祭りで賑わう米軍横須賀基地に、突如巨大なエビというかザリガニというか、とにかく”甲殻類”の大軍が現れるところから始まる。次々と人を食い始めるので大パニック!
主人公の夏... [続きを読む]
受信: 2010年10月11日 (月) 22時20分
» 海の底(有川浩) [Bookworm]
面白かった! 図書館シリーズとは違った面白さだった。 爆笑することはなかったけど、かわりに号泣;;;
もうねー! 「あんた、あたしのツボ押しまくりっ!!」>著者様 [続きを読む]
受信: 2010年10月12日 (火) 12時37分
» 海の底 [ろーれるの本(読書)ブログ]
海の底 (角川文庫)/有川 浩
¥740
Amazon.co.jp
裏表紙より『4月。桜祭りで開放された米軍横須賀基地。停泊中の海上自衛隊潜水艦「きりしお」の隊員が見た時、喧噪は悲鳴に変わった。巨大... [続きを読む]
受信: 2010年11月24日 (水) 06時35分
» 『海の底』/有川浩 ◎ [蒼のほとりで書に溺れ。]
横須賀基地祭にわく、春もうららな休日。
――― 突然、『海の底』から巨大エビ(レガリス)が来襲!人を襲い、捕食を始める。
避難からはぐれて、自衛隊潜水艦に逃げ込んでしまった子供たちと、子供たちを救うためにレガリスに襲われ殉職した艦長、艦内でたった2人の大人になってしまった新人潜水艦乗組員。... [続きを読む]
受信: 2010年12月11日 (土) 23時52分
» 有川浩 「海の底」 [ゼロから]
「空の中」は、あまり面白くなかったですが「海の底」は巨大化した海老が暴\れまわり機動隊と衝突するのは、迫力がありました。 [続きを読む]
受信: 2011年1月21日 (金) 19時58分
» 海の底 / 有川浩 [ねこやま]
抜粋
横須賀に巨大甲殻類来襲。
食われる市民を救助するため機動隊が横須賀を駆ける。
孤立した潜水艦『きりしお』に逃げ込んだ少年少女の運命は!?
海の底から来た『奴ら』から、横須賀を守れるか―。
感想
要するに巨大エビが横須賀に来襲して暴れまわ...... [続きを読む]
受信: 2011年5月 4日 (水) 20時41分
» 本『海の底 (角川文庫)』著・有川浩 読んだよ〜 [よくばりアンテナ]
海の底 (角川文庫)(2009/04/25)有川 浩商品詳細を見る
先月から引き続き有川浩月間です(^_^;A
今作も自衛隊三部作と言われる作品のうちのひとつで、海自が活躍します。
これはもう有川浩さんってすご...... [続きを読む]
受信: 2013年6月17日 (月) 21時05分
» 海の底 [foggyな読書]
有川浩の「自衛隊三部作」第三弾。
mixiの「有川浩コミュ」で「有川作品の中でいちばんのお気に入り」として、かなり多くの人が挙げていたので、読んでみたくなった。『空の中』を読んだのはその前フリ。
これは面白いです。
非常に気に入りました。
巨大化したザリガニ(エビ?)の大群が横須賀を襲うというトンデモ話だが、潜水艦に閉じ込められた子どもたちと自衛官のドラマを縦糸に、横須賀を救うために戦う男たちの姿を横糸に織りあげられた、見事なタペストリーでございまする。大人の男たちの戦いは迫真。自衛官と... [続きを読む]
受信: 2013年7月 2日 (火) 21時45分
コメント
SOARさん、こんばんは!
有川さんの自衛隊ものは、平成ガメラの影響を多分に受けていますよね。
おっしゃるとおり、警察の警備部の描き方は新鮮でした。
最近の警察ものは「踊る大捜査線」以降内部のいがみ合いを描くことが多いですが、有川さんの作品というのは、けっこう真面目な警察官や自衛官が自分の任務に忠実にがんばっている姿が描かれていて好感がもてます。
僕もあの自衛官の台詞はぐっときました。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年6月20日 (土) 23時19分
はらやんさん、こんにちは♪
私もちょうど先週に読み終えたところです。
これ、「空の中」より好きかもしれません。
潜水艦内の子供たち個々の描写がいいですね。
あ、平成ガメラはファンなんです。
なるほどレギオンですか~!
警察機動隊と自衛隊の縄張り意識も描かれますが、
現場で動く双方の隊員たちが互いを尊重しあうような表現もよかったと思います。
自衛隊に引き継ぐために機動隊が取る屈辱の作戦について、
自衛隊のある指揮官が部下に対し
「見届けろ。あの苦闘の上に自衛隊が出動することを胸に刻め」
と言うくだりが印象的でした。
(近いうちに記事にします・・・するつもりデス)
投稿: SOAR | 2009年6月20日 (土) 16時43分