「ハイキック・ガール!」 映画ではない、デモンストレーションだ
先週観たタイのアクション映画「チョコレート・ファイター」が想像以上におもしろかったのでした。
「マッハ!」と同じく生身アクションなのにも関わらず、主演の一見可憐な少女のジージャーが、繰り出す技が迫力がありたいへんに見応えがあった作品でした。
細身の少女がバッタバッタと自分よりも大きな男たちを倒していくという、この落差が迫力あるんですよね。
そして今週、ふと「ぴあ」を見ていると、「ハイキック・ガール!」なる日本のアクション映画が公開中であることを発見。
掲載されている写真は、空手有段者の女子高生が、悪党にハイキックをお見舞いしている画柄。
なかなかに決まっていて、カッコいい。
「チョコレート・ファイター」の感激再び!と、いそいそと本作を観に行ってきました。
最近テレビであまり放送していないので、ご無沙汰なのですが、総合格闘技は好きなんですよ。
でもってやはり好きな技はハイキックとか、回し蹴りとかの蹴り技。
ミルコ・クロコップとか好きなんですよね。
なんで好きかというと、技が美しいから。
やはり格闘家がハイキックとか決めた時っていうのは、「強いっ!」っていうより、「美しいっ」て思っちゃうんですよね。
微動だにしない下半身から、ピンと一直線に高い位置まで蹴り上げられた脚というのは一枚絵のような感じがしたりするのです。
ちょっと脱線しました。
で、勢い込んで本作を観に行ったのですが、映画館を出てくる時はゲンナリしてしまいました。
あまりのひどい出来に。
<ここから珍しく悪態モードに入りますので、ご注意>
それほど映画として期待していたわけではありません。
でも、本作は映画としてお金をとるほどのレベルに仕上がっておりません。
確かに出演者は実際に格闘技の経験者、プロを集めているようで、個々の技などは美しい。
実際に技も当てているので、その辺りは迫力はあるとは思います。
けれどもアクションシーンの演出は、段取りを決めた空手の組み手を観ているよう。
よほど当てていることを見せたいのか、何度も同じシーンをスローモーションで見せてくれます。
この手法は香港のカンフー映画や、先にあげた「マッハ!」などでも見られますが、一つの作品の中でもかなり大きな技や仕掛けがあった場合に限られます。
本作のようにいちいちスローモーションをはさまれては、アクションの流れがとまっているように思えます。
なんだか観ていて、格闘技のデモンストレーションフィルムを観ているような気がしてきました。
またアクションシーンに限らず、カットの繋ぎがモタモタしていて非常にテンポが悪い。
撮ったフィルムを全部見せようとしているかと思えるくらいに編集が悪いです。
さらに出演者が、演技者というよりも格闘技経験者を集めているためか、演技についてはお粗末としか言えません。
つまりは興行してお金をとる映画としてのある品質レベルまでにいっていないように思えます。
映画監督しか映画をとっていけないわけではありません。
別にタレントでも、アクション畑の人でも作品を作ってもいいのです。
けれども作品を作り興行をはる時点で、その人はプロの映画監督となるわけです。
だからある一定のレベルの作品を提供する義務があると思います。
そのレベルにこの作品はなっていません。
久しぶりに叫びたくなりました。
「金返せ!」と。
「チョコレート・ファイター」の記事はこちら→

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受信: 2009年6月 9日 (火) 22時26分
» 09-144「ハイキック・ガール」(日本) [CINECHANの映画感想]
必ず護り、必ず生き残る技
美しい高速ハイキックを得意技に、男子顔負けの強さで道場でも一目置かれる女子高生の土屋圭。しかし、師匠の松村からは型の稽古ばかりを命じられ、苛立ちが募っていく。自分の強さを証明したいと焦る圭は、“黒帯狩り”と称して腕に覚えのある空手家たちに戦いを挑んでは、得意のハイキックで次々となぎ倒していく。
やがて格闘界のアウトロー集団“壊し屋”にスカウトされる圭。しかしそこには、彼女のまだ知らない恐るべき陰謀が待ち構えていたのだった。(「allcinema」より)
...... [続きを読む]
受信: 2009年6月14日 (日) 01時52分
» No.223 ハイキック・ガール! [気ままな映画生活]
格闘系の映画については、よく見ているのですが
本作品もよくあるアイドル映画−、少し格闘をかじった、まぁ
怪我しない程度に練習してなんとか見栄えをスタントの方に
調整してもらう安易な映画だと思ってました。... [続きを読む]
受信: 2010年7月26日 (月) 21時53分
» ハイキック・ガール [単館系]
予告を見ただけでもうこれは!!!
とうことで見てきました。
主人公は現役の女子高生で空手歴8年。琉球少林流空手道月心会黒帯。(当時)
これぞ本物の空手!
いやすばらしい。
どのくらいすごいか...... [続きを読む]
受信: 2011年2月 8日 (火) 22時12分
» ハイキック・ガール! [だらだら無気力ブログ]
天才的な空手の腕を誇る17歳の女子高生が“壊し屋”と呼ばれる集団に立ち 向かうアクション・ムービー。 『黒帯 KURO-OBI』で武術監督、『少林少女』でプロデューサーを務めた 西冬彦がメガホンを取り、現役空手家や格闘技経験者などを数多く集めた 本格空手映画を撮り上…... [続きを読む]
受信: 2011年4月 7日 (木) 01時15分
» 【映画】ハイキック・ガール [★紅茶屋ロンド★]
<ハイキック・ガール を観ました>
製作:2009年日本
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武田梨奈ちゃんのアクションをみるならこれだ!!
と、前から散々お勧めされていて、やっと鑑賞しました。
あんまり邦画コーナー行かないからいつも忘れちゃってたよーもー。
空手道場に通い、日々稽古に励む女子高生圭は、天性の運動神経からどんな技でも軽々とこなす。
しかし、師匠の松村にはいつも地味な型稽古ばかりさせられて、未だに帯の色は茶色…
... [続きを読む]
受信: 2012年2月18日 (土) 12時57分
» 『ハイキック・ガール!』(2009) [【徒然なるままに・・・】]
女子高生の土屋圭は男顔負けの強さを持つ空手少女。だが師匠の松村は黒帯を認めない。自分の強さを証明したい圭は、怪しい誘いに乗って「壊し屋」という悪の格闘技集団へ参加してしまう。しかし「壊し屋」は積年の恨みを持つ松村を倒すため、圭に近づいていたのだった・・・。
今はNHKの『バトルキャッツ』で頑張っている本物の空手少女・武田梨奈の初主演映画。撮影当時は高校生だった筈だが、とにかく彼女が可愛い&強い! 彼女の対戦相手も、本職の武道家だったりアクション俳優だったりで物凄い。しかしお話は・・・。
... [続きを読む]
受信: 2013年2月24日 (日) 17時12分
コメント
お名前のない方さん
本作がダメなところは主演の子がどうこうという話ではないと思います。
アクションものはファンタジーのようなものなので、女の子が男を倒していくこと自体はまったく文句はありません(というより好きです)。
本作が良くないのは、演出です。
映画であるからには押さえるべき点がまったくきちんとされておりません。
その点が僕がこの作品を評価しないところです。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年6月28日 (日) 08時53分
まあ少女の体格で大男をバタバタ倒す時点でファンタジーですから温かくみてほしいです。
ベストキッドなんかと一緒で実際には誰も強いと思ってないですしw
投稿: | 2009年6月24日 (水) 13時23分
KLYさん、こんにちは!
そうなんですよねえ、空手のパフォーマンスを観ているかと思ってしまいました。
どうしても同時期に公開されている「チョコレート・ファイター」と比較してしまいますが、あちらが観客へのサービス精神というのが溢れているのに対し、本作はどちらかというと自己満足にとどまっていたようなところが残念です。
スゴいのはわかったからさー、と言いたくなってしまいました。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年6月 7日 (日) 14時41分
全く同じです。
武田さんの蹴りや、中さんの流れるような型。見事なものですが、監督が全てを台無しにしています。
何を勘違いしてるのか知りませんけど、見たいのは武道としての空手ビデオじゃなくて、アクションなんですけどね。
あの編集が狙いで本当にそれが良いと思ってやっているなら根本的なセンスがないので監督なんてやらないで欲しいです。というか、今からでも辞めて欲しいぐらい。
まぁ、実はこの監督さん『少林少女』のプロデューサーですから、推して知るべしってとこなんでしょうけども。
投稿: KLY | 2009年6月 7日 (日) 00時49分