「ケータイ捜査官7」 明日の未来
こちらは昨年4月から今年3月までテレビ東京系のゴールデンタイムで放送されていた30分のドラマです。
あまり知っている方は少ないかもしれないのですけれど、シリーズ監督はあの三池崇史監督、そして押井守、金子修介、小中和哉、湯川邦彦などの錚々たるメンバーも参加している作品です。
そして製作は海外でも評価が高いアニメーションプロダクションのProduction I.G、そして「たまごっち」を生み出したWiZという、実はかなり強力な布陣なのです。
ジャンル的には特撮になるのでしょうけれど、そもそも現在は4クール通しのドラマはNHKの大河ドラマと戦隊シリーズ、そして「仮面ライダー」シリーズしかないのですから、けっこう冒険的な企画でした。
かくいう僕もオンエアしはじめた時はまったく気づかず、ビデオがリリースしてから追いかけたという感じです。
作品の設定としては・・・。
インターネット、そして携帯電話が爆発的に普及してきている現在、ネットを使った犯罪が多発しているけれども、警察はそれに追いつけていない。
ネット犯罪を防ぐため、「アンダーアンカー」という民間組織が秘密裏に作られた。
「アンダーアンカー」のエージェントは「フォンブレイバー」という携帯電話型のロボットとともに、犯罪に立ち向かう。
「フォンブレイバー」は高度なAIを積んでいるため、あたかも人間のような性格を持ち、エージェント
とバディ(コンビ)を組む。
といったところです。
この「フォンブレイバー」、ほんとにケータイに手足が生えたようなデザインで最初見た時はトホホと思うのですが、実はけっこう味わいがあり、観ていくうちに次第に愛着がでてきます。
また「フォンブレイバー」はそれぞれが違う性格を持っているために、人間以上に人間的に見えます。
主人公はある出来事をきっかけにエージェントとなった高校生の網島ケイタ。
ケイタと彼とバディを組むのが「フォンブレイバーセブン」。
本作はケイタとセブンのバディものなのです。
ケイタが子供以上大人未満の高校生であるということはシリーズ後半になるほど意味がでてきます。
ネットワークが発展する社会。
それに危機感を感じる大人たち。
彼らは世の中を理屈で考え、自分の理想とする姿にしようと試みます。
彼らの理想はそれぞれに「正しさ」を持っています。
大人であるが故の分別がそこにあります。
けれどケイタは違います。
頭でっかちの理屈ではなく、それが間違っているか間違っていないかということを、不器用ながらも素直な感情でわかろうとします。
そして若い故に新しいもの、異なるものに対しての、柔軟性を持っています。
その素直さ、柔軟性が、ネットワーク社会における大きな変化を、人類の危機ではなく、人間の新しいタームだと受け取ることができるのです。
彼にとっては、意志や心を持っているように見えるロボットであるセブンも、心から自分の相棒と呼べるのです。
彼が感じているのは楽観的な未来なのかもしれない。
けれど悲観する未来は先細りするしかなく、やはり変化を前向きにとらえていかなれば明日の未来はありません。
1年間という長期にわたっているシリーズなので、その中のエピソードもバラエティがあって楽しめます。
特に押井守さんの脚本・監督の回は、いまや伝説的な「うる星やつら」のエピソードを彷彿とさせる暴走ぶりなので、押井さんが好きな方は要チェックです。
三池監督は初回、そして折り返し点、そして最終回という肝の部分を監督されているので、ここも注目です。
特に第1話はテレビシリーズ?と思えるほどけっこう力が入って作られています。
設定だけ聞くとそれほどおもしろいのと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、そんなことないので、だまされたと思ってまずは第1話を観てみてください。
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