「ミッドナイト・ラン」 バディムービーの傑作
バディムービーというのは数々ありますが、その中でも僕がとても好きな作品の一つが本作「ミッドナイト・ラン」です。
この作品でのバディというのは、賞金稼ぎジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)とマフィアの金を横領して慈善事業に寄付してしまった元会計士"デューク"(チャールズ・グローディン)の二人。
二人は追う者と追われる者という関係ですが、ジャックがデュークをつかまえたあとN.Y.からL.A.まで移送する際、様々な連中に追われ図らずもバディのような関係になっていきます。
彼らを追うのは、デュークが横領した金の持ち主のマフィア、そのマフィアの犯罪を解き明かすために証人として確保したいと考えるFBI、そしてジャックと同じ稼業の商品稼ぎ。
隙あらば逃げようとするデュークと逃がさないとするジャック、そして彼らを追う者たちが時には共闘し、裏をかいていくので、物語の展開からは目が離せません。
非常に良くできている脚本だと思います。
本作はシリアスな物語ではなく、どちらかというとコメディといったテイストで、登場人物たちの会話がとても軽妙で、そのあたりのやり取りもとても楽しい。
バディムービーの見所というのは、やはりそれぞれのキャラクターの魅力と、その相互作用。
ジャックは元警察官で、マフィアにはめられて今はうらぶれた賞金稼ぎとなっています。
そのためか、その態度は非常に粗野で乱暴で、人の話はあまり聞かないタイプのように見えます。
けれども状況状況に合わせて瞬時に判断できる明晰さを持っていて、かつ行動力を持った男です。
かたやデュークは会計士という職業からか、万事にきめ細かく、やや神経質そうに見えるタイプです。
弱音を吐いたり、ぶつぶつ言ったりするところが、ジャックのカンに触るらしく彼をイライラさせてしまいます。
対照的に見える二人ですが、物語が進むにつれ、段々と彼らの本質は似ているということがわかってきます。
ジャックは汚職を見逃すことができず、警官という職を追われてしまった正義漢です。
またデュークもその風貌からは想像できないほど意志が強く、頭の回転もよく、そして行動力が伴った男でした。
そうでなければマフィアの裏金を横領しようとすることなどできません。
アメリカを横断していく旅の中で、ジャックとデュークは次第に互いにシンパシーのようなものを感じていきます。
それでもデュークは逃げたいし、ジャックは逃がしたくないという事情があり、そのあたりの緊張感と互いのシンパシーというのが絶妙に表現されています。
ラストはほろりとさせられるところもあって、とても観後感がよい作品になっていると思います。
「See You Next Life」(来世で会おう)
と二人が別れるとき、互いに言います。
彼らは多分二度と会うことはないのでしょう。
けれども一週間という短い期間であり立場も違う間ではありましたが、唯一友と呼べる存在となることができたのですよね。
とても爽やかな印象が残りました。
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コメント
真紅さん、こんばんは!
本作、何度観ても楽しめますよね。
僕も何度観たことか・・・。
デ・ニーロの軽妙な感じが、とても好きなんですよ。
そうか公開されて20年も経っているんですねー。
80年代だもんなあ。
観てみると時代は感じますが、内容は全く古くないですよね。
ほんと時々思い出したように観たくなる映画です。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年5月25日 (月) 19時58分
はらやんさん、こんにちは。
この映画大好きです。何度観ても大好きです。
デ・ニーロが本当に楽しそうです。最高です。
初見から20年経っても、忘れられない大好きな映画です。
また観たくなりました。
投稿: 真紅 | 2009年5月24日 (日) 23時47分