« 「デュプリシティ 〜スパイは、スパイに嘘をつく〜」 脚本家が演出をする弊害 | トップページ | 「劇場版 仮面ライダー超・電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦」 やはり帰ってきた! »

2009年5月 2日 (土)

本 「アメリカナイゼーション -静かに進行するアメリカの文化支配-」

最近では反米主義やアメリカナイゼーションに対する危機感のようなものが盛んに言われています。
個人的にはアメリカ文化が全世界的に広がり単一化しはじめているということに対する懸念みたいなものは持っていますが、ただだからといってアメリカ文化をとりいれることがすべて悪く、日本は純粋に日本文化を守るべきという論調にも賛同できません。
本著は14人の研究者の共著です。
この本は「アメリカナイゼーション」をテーマにそれぞれの著者が書いているために、書いてある意見も様々です。
自分としても読んでいて、「これは極端な考え方だなあ」とか「これはその通りに思う」などいろいろ感想が持てました。
そういみ意味で様々な意見が読めるということから、アメリカナイゼーションというものがまだきちんと整理されず、その功罪についてはっきりしていないものであるということがわかります。
また様々な意見があるので、自分はどのように考えるのかという手助けにもなるような気がします。

個人的には文化というものは、いくつかの文化が段々と混じり合っていくものであり、それは止められないと思っています。
純粋な日本文化というものはありえず、それは歴史的に南方海洋民族、北方騎馬民族の文化、朝鮮文化・中国文化、そして明治維新後・第二次世界大戦後の欧米文化などが何度かの波となって日本文化に影響を与えているわけです。
戦後の欧米文化の浸透は今までにない激しさと早さをもっていますが、それがいけないということにはならないと思っています。
ただそれが多様性を消し去るものであり過ぎた場合は、警戒する必要はあるかもしれません。
それでも個人的には文化というのはよほどの事(強制的に移住させられてたり、言語を変えられたり)するようなことがなければ、従来文化と移入文化というのはある緊張関係にあるために一方的な色にすぐに染められるということはないと思います。
外見だけ同じでもその中身は現地化するようなことが起こってくると思います。

編者の一人の浜名恵美さんの考えが最も私とイメージが近かったので、引用させていただきます。

「アメリカナイゼーションの要素をそれぞれのローカル文化に合うように再解釈し、従来の文化を再構成する。たとえば、アメリカ的な自由や個人主義を、日本の和と集団主義の文化に合うように再解釈すると同時に、和と集団主義にも行き過ぎはあるのだから、日本の文化を変化させてもいく。アメリカナイゼーションの進行によるさまざまなな変化に、私たちの一人ひとりが行動主体として積極的に対応し、組み変え、変化を起こしていく」

まさにこういうことなのだろうし、こういうことが起こっているのだろうと思いました。

「アメリカナイゼーション -静かに進行するアメリカの文化支配-」津田幸男、浜名恵美共編 研究社 ソフトカバー ISBN4-327-37693-0

|

« 「デュプリシティ 〜スパイは、スパイに嘘をつく〜」 脚本家が演出をする弊害 | トップページ | 「劇場版 仮面ライダー超・電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦」 やはり帰ってきた! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 本 「アメリカナイゼーション -静かに進行するアメリカの文化支配-」:

« 「デュプリシティ 〜スパイは、スパイに嘘をつく〜」 脚本家が演出をする弊害 | トップページ | 「劇場版 仮面ライダー超・電王&ディケイド NEOジェネレーションズ 鬼ヶ島の戦艦」 やはり帰ってきた! »