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2009年4月 5日 (日)

「シュリ」 文化の力

こちらの作品「シュリ」は僕が初めて劇場で観た韓国映画です。
日本で公開されたのが2000年(制作されたのは1999年)ですから、もう10年も経ったんですね。
考えてみればこの10年で日本と韓国の関係というのも劇的に変わったように思えます。
それまでは互いの国民感情というのは、あまり良くはなかったような気がします。
韓国の人はなんだか日本のことが嫌いなようだし、だから日本の人も韓国のことをあまり好意的には思っていなかったと思います。
僕個人の気持ちとしては好きとか嫌いとかではなく、隣の国なのにあまり感心がなかったというのに近いかもしれません。
でも日韓ワールドカップの開催が決まったりするようなところから変化の兆しがありました。
ワールドカップの開催が決まったときも、これを契機に相互交流を、という話がでましたが、正直難しいのではないかと思っていました。
長年積み重ねてきた国民感情というのは、なかなか一朝一夕にそんなイベントでは変わらないのではないかと。
でも今思えばそれをきっかけにして、スポーツや文化等の一般レベルの交流が始まって、確実に両国の関係は良い方に変わったと思います。
そういう意味では映画も大きな役割を担ったのではないでしょうか。
韓国のテレビドラマをきっかけに「韓流」という言葉が出てきたのは2003年頃からでしたが、それよりも先に韓国映画の実力というのを見せたのが本作「シュリ」だったと思います。
それまではまったく韓国映画が大きく取り上げられることはありませんでした。
僕も「シュリ」を観た時はけっこう衝撃を受けた覚えがあります。
その頃はアジアの映画と言えば、香港映画、せいぜい台湾映画くらいしか観たことがありませんでした。
初めて「シュリ」を観た時、アメリカ映画のようなアクションに仰天しました。
また南北問題というかなりハードなテーマを扱っていながらもエンターテイメント作品として成立させているということにも驚きました。
アジア映画でこれほどのことができるのかと。
邦画でも大規模なアクションとなるとハリウッドには遠く及ばないというイメージがあったのに、隣国の韓国がこれほどの作品を作ったのだと。
なんとなくとっつきにくい国というイメージがあった韓国の印象が変わりました。
とっつきにくいという気持ちの本当のところは「よく彼らのことを知らない」ということだったのですね。
改めて今「シュリ」を見直してみると、脚本や構成、編集でかなり突然感のあるようなところがいくつかあることに気づきます。
でも当時はそのようなところを気にならないくらいの衝撃を受けました。
「シュリ」をきっかけにいくつも韓国映画が日本でも公開されることになり、それらを観れば観るほど彼らの国民性みたいなものがわかり、親しみのようなものが強くなっていきました。
同じ頃、韓国でも日本の映画や音楽が公開されるようになり、日本への印象が変わっていった時期でした。
以前は民間の文化交流くらいで国民感情なんてものが変わるわけがないと思っていました。
けれどこの10年は着実にその交流によって、両者の意識が変わってきたような気がします。
お互いに知るようになれば、次第に気持ちは近くなっていきます。
やはり文化の力は強いのですよね。

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1999年/韓国 (監)カン・ジェギュ(演)ハン・ソッキュ キム・ユンジン チェ [続きを読む]

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