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2009年3月 2日 (月)

本 「孔子」

孔子と言えば「子のたまわく、学んで時にこれを習う、また説ばしからずや」に始まる「論語」で著名で、その後の日本を始めとした東アジアの政治の考え方の基盤となった儒学の創始者として知られます。
僕が孔子に興味を持ったのは、酒見賢一 さんの小説「陋巷に在り」でした。
この小説は孔子の弟子の中でも最も秀才と言われた顔回が主人公となっていますが、孔子も登場人物として出ています。
孔子というのは身の丈が当時の人々の中でも大きかったようで、またその偉大な知性もあわさり、知の巨人のような存在で描かれています。
「陋巷に在り」という作品は「魔術戦争<マジック・ウォーズ>」的な要素があるエンターテイメント小説ですが、実際の孔子というのはどのような人物だったのでしょうか。
本著ではそれを孔子が暮らしていた時代背景、政治情勢などから浮かび上がらせようと試みています。
なにぶん2500年くらい前の人物ですから、資料も少なく、その正確性も定かではない中での作業ですので、かなりたいへんだとは思いますが、孔子像というものが本著を読むとイメージできてきます。
儒教というと宗教っぽくなりますが、基本的に孔子の考え方というのは、宗教ではなく世の中のシステムについての思索といっていいでしょう。
また江戸時代に封建制の基盤となる考え方とされたため、上の身分に対する下の身分の服従といったイメージがありますが、これも後世の解釈でそうなっているわけです。
孔子が生きていた中国は「春秋時代」と呼ばれる時代です。
周という統一王朝が弱体化し、群雄割拠の状態となり戦争が頻発していた時代になります。
その国の君主の権力が次第に下の身分に奪われていくということ、いわゆる下克上が起こった時代でした。
孔子はそのような混乱時期に生きていたため、それを平和に保つには徳のある君主が治めるべきであると考えたわけです。
つまりは上に立つ者というのは、徳(仁・義・礼・智・信)を持たなくてはならず、ただ単純に身分制度を補強する考え方ではないと思います。
そういう意味では儒学という考え方の基本はいつの時代にも通じるものであるのでしょう。
「論語」が2500年にも渡り、様々な地域で読まれていたということにはそういう理由があるのでしょう。
今の時代、理念がない政治家、官僚、また企業などが多く、様々な混乱が生み出されていますが、それはもしかすると上に立つ者が持たなくてはいけない徳が欠けているということなのかもしれません。
今だからこそ、「論語」という書物をしっかりと読み直す時期なのかもしれないです。

「孔子」貝塚茂樹著 岩波書店 新書 ISBN4-00-413044-1

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