「釣りキチ三平」 イワナに乗った少年
今日は「釣りバカ日誌」じゃなかった、「釣りキチ三平」を観てきました。
原作の漫画は1973年から「少年マガジン」に連載されていました。
このあたりは小学生でちょうど少年漫画誌を読んでいた時期であったので、まさに「釣りキチ三平」はリアルタイム世代です。
映画の方で描かれていた「夜泣谷の怪物」のエピソードも覚えていました。
ただ読んではいましたが、それほど熱心な読者ではなかったように思います。
それは漫画がおもしろくなかったということではなく、単に釣りにそれほど興味を覚えなかったから。
子供心に釣りのような根気・練習のいるスポーツは自分には向かないとわかっていたからでしょうか。
ですので、あの名作を映画化といった惹句にもさほどひかれなかったのですが、やはり監督があの「おくりびと」の滝田洋二郎さんですから、とりあえず観ておこうと思ったわけです。
滝田監督はそれほど強い個性を押し出すタイプじゃない監督の印象がありますが、本作もやはりそういう感じがします。
どちらかというと淡々と作業をするかように撮ってしまったという印象です。
こだわりのデザイナーズ・ハウスというのではなく、建て売り住宅みたいな感じといったところです。
脚本のストーリー展開も、俳優の演技も、画面の作り方も、どれも標準的な感じがして、それほど強い印象を持ちません。
魚の映像については、「白組」が力をいれてCGで作ったようですが、これはまだピチピチとした魚を描ききれるほどではありません。
どうも作り物めいてしまっています。
漫画の方がもっともっと魚の躍動感が出ていたと思うのですけれど。
強い生命力を持った巨大イワナと、三平の戦いが、この物語のクライマックスですから、これがきちんと描けてないとどうも興ざめになってしまいます。
そのラストが三平がイワナにまたがっての捕獲ですから、どうも画として観ていると現実味がなさすぎていけません。
脚本としても奇をてらったものではなくオーソドックスな内容ですから、もっとコンパクトにできたような気がします。
この物語で2時間はちょっと長いかなあ。
もっと映像的に見所があれば印象が違ったのかもしれませんが。
名作漫画を映画化と言った割には、非常に淡白な作りで、印象に残りにくい作品となってしまいました。
滝田洋二郎監督「おくりびと」の記事はこちら→

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コメント
sakuraiさん、こんばんは!
滝田監督は職業監督な感じがするんですよね。
注文をされた仕事を淡々とするというか。
なので企画が良ければいいし、悪ければ悪いといった感じがあります。
「おくりびと」はやはり脚本のテーマが新しかったんだと思います。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年4月21日 (火) 22時08分
『建て売り住宅』!!お見事。もろにそんな感じ。言いえて妙です。
世で言うほど「おくりびと」って大した映画?と言う感なのですが、とりあえず見ておかないと。。。ですよね。
あれがいつもの滝田スタンスだなあ・・と思って見てました。
これが世界に発信されるんでしょうかね。ちょっと恥ずかしい。
投稿: sakurai | 2009年4月20日 (月) 11時35分
hitoさん、こんばんは!
もの足りなかったですねえ。
映画なので現実に則している必要はないのですが、淡白な演出、作り込みの甘いCGのせいなのか不自然さが払拭できていませんでした。
ほんと「イルカに乗った少年」みたいでしたよね。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年4月 3日 (金) 19時58分
こんにちは~
ちょっと物足りない作品でしたね。
原作の漫画だからか、ちょっと不自然に感じるシーンもありましたし、香椎由宇ちゃんが合っていなかったように思いました。
ラストの魚に乗っての登場は「イルカか!」と笑ってしまいました~
投稿: hito | 2009年4月 2日 (木) 18時31分
KLYさん、こんばんは!
あのイワナのシーンは、とほほな感じでしたよね。
イルカじゃないんだから・・・。
そもそも脚本でああいう内容を書いていたのだとは思いますが、急にファンタジー加減のバランスが崩壊してしまった感じがします。
どうも本作については、滝田監督の主導感みたいな感じはなかったような感じがします。
やらされ感すら感じました。
残念・・・。
投稿: はらやん(管理人) | 2009年3月31日 (火) 21時49分
こんばんは
私はこの作品にがっかりしたクチなんですが、「おくりびと」であれほど映像にこだわった滝田監督が、あの最後、イワナに三平が乗ったシーンの映像をよしとしたことにがっかりしました。
あれは、かなりレベルの低い映像ですから…。引き気味になりがちな自分を奮い立ててそこまで観てきたのですが、そこで完全に切れてしまった感じです。(苦笑)
投稿: KLY | 2009年3月31日 (火) 20時30分