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2009年3月15日 (日)

本 「雑誌よ、甦れ -「情報津波」時代のジャーナリズム-」

以前、仕事で雑誌広告のバイイングを担当していたことがあります。
というからではないのですが、元々本は大好きなので、雑誌も今もよく購入するんです。
本屋でも雑誌のコーナーを流して、パラパラとおもしろそうな記事を物色するのも楽しかったりします。
定期的に買っているのは、コンピューターのMacの雑誌(Mac Fan)、映画の雑誌(Cut)、情報誌(ぴあ)あと特撮関連の雑誌(宇宙船、特撮ニュータイプ、東映ヒーローMAX)、記事によって買っているのはグルメ誌(dancyu、食楽)、スポーツ誌(Number)、情報誌(Pen、東京人など)・・・。
かなり買っている特異な方だとは思います。
けれども世間一般の流れとしては雑誌の販売数は10年以上も連続で下がっています。
かなり出版社の方も苦しい状況で、最近は名門雑誌の廃刊、創刊されたばかりの雑誌の休刊などが相次いでいます。
出版不況と呼ばれて久しいですが、この原因としてよくあげられているのが、インターネットの普及です。
情報が無料で迅速に大量に手に入れることができるインターネットの普及により、確かに既存四媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)にかけられる広告費も大きく減っており、たぶん今年中には新聞を抜きインターネットがテレビに次ぐ広告媒体となるのは確かだと思われます。
では雑誌というメディアはインターネットによりどんどん必要となくなっていくメディアとなるのでしょうか。
個人的には雑誌という媒体の良さというのは、インターネットの存在により、より明確になると考えています。
著者も同様の意見のようです。
サブタイトルにある「情報津波」という言葉は最近使われるようになってきました。
さきほどあげたように、インターネットの普及により、大量の情報が速いスピードで流れるようになりました。
けれどもそれはあまりに大量で早く、また玉石混合のため、欲しい情報がかえって手に入りにくいという状況が起きています。
検索エンジンが発達したとしても、それはキーワードの一致でしかありません。
自分の趣味嗜好のようなものというのはそこには反映されていません。
検索エンジンを使ってもどうも欲しい情報と違うという感じを受けた方も多いのではないでしょうか。
その点、雑誌というものはもともと編集という作業により、情報がある程度整理され、色づけがされています。
その色づけは雑誌の個性ともいえます。
例えば、同じ女性ファッション誌といってもCamCanとJJではちょっとテイストが違います。
男性からみるとほとんど同じでしょうけれど、どちらの雑誌を選ぶことが、すなわち自分の趣味嗜好を反映させているということなのです。
ですので自分が選んだ雑誌に載っている情報、記事は自分の欲しいものである確率が高い。
わざわざ自分の趣味に合う情報を津波のような情報の中で探さなくてもよいわけです。
これは特にマイナーな趣味嗜好を持っている方にとって、効力を発揮します。
例えば僕はWindowsに対して圧倒的にシェアが低いMacのユーザーですが、それほどコンピューターに強いわけではありません。
けれども情報は欲しい。
でも自分で探すのは面倒。
そういうときに雑誌は便利なのです。
ちなみにMacの雑誌では僕が買っている「Mac Fan」と別に「Mac People」という雑誌があります。
けれども僕が買うのは前者。
なぜかと言われると説明しづらいのですが、性に合うとしか言えません。
とりあげてくれる情報の切り口が自分の考え方、スタイルにあっているのでしょう。
これが雑誌というメディアが持っている特徴なのです。

インターネットでタダで情報が手に入れられるので、雑誌なんて買わないというみなさん、ちょっと雑誌売り場を覗いてみてください。
自分の趣味に合う雑誌が、必要な情報を整理してくれて待っていてくれるかもしれませんよ。

「雑誌よ甦れ -「情報津波」時代のジャーナリズム」高橋文夫著 晶文社 ソフトカバー ISBN978-4-7949-6740-4

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