「純喫茶磯辺」 愛おしい不器用さ
最近はお洒落なカフェが隆盛で、純喫茶と言っている店はめっきりと少なくなりました。
もともと大正時代から広まってきた「カフェー」は女給さんがいてお酒も出したりするお店ですが、それに対して種類を扱わないお店を「純喫茶」と呼ぶようになったようです。
現在は「純喫茶」はすっかり死語になっているような感もありますが、この言葉からはなんというか昭和の香りみたいなものを感じますね。
今の時代に「純喫茶」と言っているお店というのは、頑固にそれを守っているというよりも、時代の流れに無頓着なのか、なんかいつの間にか周りが変化してしまっていたという感じがします。
それは遅れているといったネガティブな感じというのではなく、時代に合わせるような器用なところがない印象があって、なんだかそれが微笑ましい感じもするんです。
本作の中で登場人物がよく使っている言葉があります。
それは「アレ」。
「いや、その、アレだよ・・・。」
「実はアレなんですよね・・・。」
みたいな使い方。
よく考えてみると「アレ」って言葉はなんとも言えない、いい加減さと便利さというものを持っているような気がします。
言いたいことがあるんだけれど、なんとなくはっきりと言いづらいようなこと。
「ちょっとそこのところ察してくれよ」みたいな時に使ってしまう言葉のような気がします。
この察せるか察せないかというのも微妙なところなんですけれどね。
察するにはそれなりに相手のことをわかっていなくてはいけない。
言っている方は察してくれるだろうみたいなところもあるけれど、それを聞いているほうは「?」となたりもしたりして。
「アレ」って言葉を使う時っていうのは、自分がこの相手だったらわかってくれるだろう、わかってほしいという時に使うものなのかもしれませんね。
こちらがそれなりに親しいと思っている(期待している)関係のときしか使わない言葉なのかも。
親しいけれど、言いづらかったり、なんかかっこ悪そうなときに使ってしまう、照れ隠しの便利な言葉。
なんていうか、この言葉とっても不器用な感じがするんですよね。
微笑ましい不器用さ。
「純喫茶」という存在にも通じるような不器用さ。
このなんとも言えぬ不器用な感じはこの作品全体の雰囲気にもよくでていて、なんか登場人物がとてもどうしようもないほど人間くさく、愛おしく感じてしまいました。
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» 【純喫茶磯辺】 [日々のつぶやき]
監督:吉田恵輔
出演:宮迫博之、仲里依紗、麻生久美子、近藤春菜、ダンカン、濱田マリ
「両親の離婚以来父と二人暮しをしてきた高校生の磯辺咲子。それなりに仲良くやってきていたが、祖父の急死で遺産が入り父が仕事に行かなくなってしまった。
ある日入った喫茶... [続きを読む]
受信: 2009年2月 9日 (月) 15時55分
» 映画 【純喫茶磯辺】 [ミチの雑記帳]
映画館にて「純喫茶磯辺」
吉田恵輔監督によるハートフルコメディ。
おはなし:妻と別れてから娘のの咲子(仲里依沙)と暮らす磯辺裕次郎(宮迫博之)。親の遺産を手にした彼は突如喫茶店経営を思いつき、“純喫茶磯辺”を開店させる。
純喫茶とは、酒類を扱わない純粋な喫茶店のこと。
いや〜、最近“純喫茶”っていう名前のついたお店は見かけないな〜。
スタバやタリーズなどの、エスプレッソを主体とする「シアトル系コーヒー店」が手軽で便利ですが、静かな環境とこだわりのコーヒーを提供する玄人好みのお店も捨てがたいです... [続きを読む]
受信: 2009年2月11日 (水) 16時57分
» 『純喫茶磯辺』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「純喫茶磯辺」□監督・脚本 吉田恵輔 □キャスト 宮迫博之、仲里依紗、濱田マリ、麻生久美子、近藤春菜、和田聰宏、ミッキー・カーチス、斎藤洋介、ダンカン■鑑賞日 7月19日(土)■劇場 テアトル新宿■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> 漫才で少々まとまった金が貯まったら、鬼嫁の反対を押し切ってこの映画のように宮迫が辿る人生を描いたようなのような、まさに主人公の磯辺に似ただる〜い人生を生きるのではないだろうか(笑) 人間、汗水垂らして働かないで、急にまとま... [続きを読む]
受信: 2009年2月13日 (金) 08時38分
» 「純喫茶磯辺」 [心の栄養♪映画と英語のジョーク]
最近“純喫茶”ってあんまりみないなぁ〜・・ [続きを読む]
受信: 2009年2月13日 (金) 09時19分
» 196「純喫茶磯辺」(日本) [CINECHANの映画感想]
中年だって、青春したい
8年前に離婚し、高校生の一人娘・咲子と二人暮しの磯部裕次郎は、多額の遺産を手にしたことから何の計画もなく、女性にモテたい、というだけで、近所の商店街に喫茶店を開く。あきれる咲子だったが、渋々店の手伝いをすることに。案の定客の入りはさっぱりだったが、美人の菅原素子がアルバイトをするようになってから状況は一転する。素子を目当てに客が入り始め、ほどなく店内は常連客でいっぱいになるのだった。
そして裕次郎も素子にどんどん惹かれていくのだった。... [続きを読む]
受信: 2009年2月15日 (日) 01時14分
» 「純喫茶 磯辺」 [ひきばっちの映画でどうだ!!]
宮迫の軽薄なノリがいい味を出している。
誰しも一生に一度くらい考えたことはないだろうか、「喫茶店のマスターになりたい」「自分のスナックを持ちたい」・・。
私はある(笑)!喫茶店のマスターになりたかった。だからこの映画の磯辺裕次郎の気持ちが解る。やってみたいんだよね〜・・!
そんな夢を叶えてくれる、ハッピーで、ちょっぴりほろ苦い大人の青春映画である。
磯辺裕次郎(宮迫博之)は8年前に妻と別れて、娘の咲子(仲里依紗)との父娘二人暮らし・・。水道工事の仕事で生計を立てている。
そんな時、裕次郎の父... [続きを読む]
受信: 2009年2月15日 (日) 01時59分
» 『純喫茶磯辺』 [ラムの大通り]
※一部、見どころに触れています。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。
----邦画週間第2弾は、また変なタイトル…。
「そう。この“純喫茶”というのが
なんとも古めかしい。
でも、いまでこそスターバックスとかドトールとかに押されてるけど、
その昔は、この純喫茶というのは、
ちょっと背伸びした高校生なんかのたまり場。
ぼくなんか、高校だけでなく大学の頃、
部屋が暑くて
この純喫茶で試験勉強していたもの
クーラーなんか学生が買えない時代だし…」
-----で、その純喫... [続きを読む]
受信: 2009年2月15日 (日) 21時38分
» 純喫茶磯辺☆独り言 [黒猫のうたた寝]
宮迫さん扮する父、濱田マリ扮する母・・・うーーん、どっちにしてもこのひょうひょうと我が道を行く親にして・・・この娘ありなんだ(笑)『純喫茶磯辺』観てきました。こーいう喫茶店・・・いまじゃカフェなんて小洒落たお店が増えていますけど・・・懐かしすぎる(笑)『僕た... [続きを読む]
受信: 2009年2月18日 (水) 23時36分
» 純喫茶磯辺 [お花と読書と散歩、映画も好き]
好みの映画でした
8年前妻にに家出されたダメオヤジに宮迫さん
そんな父親に悪態をつきながらも放っておけない高校生の娘・咲子に仲里依紗さん
父親の遺産が転がり込んできて思いつきのように喫茶店を始めるオヤジ
夏休みで店を手伝う咲子
バイトの素子と父親の接近が面白くない咲子
店の常連・安田と咲子の接近が気に入らないオヤジ
不器用なダメ人間ばかり登場しますが
それなりに皆一生懸命生きています
最後
咲子が、つぶれた店の前で泣いているところに偶然(を装って?)通りかかった自転車に乗ったオヤジ
... [続きを読む]
受信: 2010年2月14日 (日) 14時22分
» 映画『純喫茶磯辺』(お薦め度★★★) [erabu]
監督・原作・脚本・編集、吉田恵輔。テーマ曲、クレイジーケンバンド「男の滑走路」。 [続きを読む]
受信: 2010年2月15日 (月) 21時22分
» 純喫茶磯辺 [にわうたぶろぐ]
もう連休が終わってしまうので、ゆる〜い作品を観たいなと思ってこれをチョイス。あと仲里依紗ちゃんの演技が好きなので。 [続きを読む]
受信: 2010年4月20日 (火) 23時43分
» 映画 「純喫茶磯辺」 [ようこそMr.G]
映画 「純喫茶磯辺」 を観ました。 [続きを読む]
受信: 2011年8月 5日 (金) 22時56分
» 純喫茶磯辺 [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
ノスタルジックだけど新らしい。可笑しいのに、なぜか切ない。一杯のコーヒーから何かが変わる、不器用な父娘のハートフル・Cafe・コメディ!物語:今朝も無愛想な表情で、工 ... [続きを読む]
受信: 2011年8月 8日 (月) 19時07分
» 純喫茶磯辺 [rambling rose]
妻に逃げられ高校生の娘と二人暮らしの裕次郎は、親の遺産を元に思い付きから喫茶店をオープンさせる。 [続きを読む]
受信: 2013年3月13日 (水) 20時57分
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