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2009年2月 8日 (日)

本 「ターミナル・エクスペリメント」

たびたび本ブログで紹介しているロバート・J・ソウヤー。
彼の作品の魅力について今までいろいろ書いてきましたが、本著の解説で瀬名秀明さんがとてもわかりやすく書いていらっしゃっいました。
ソウヤーの作品が読者をとらえている理由として三つほどあげています。
ちょっと引用します。

 「SFファンと一般の小説好きを同時に満足させるエンターメイント性」
 「徹底的なスペキュレーションとシミュレーション」
 「読み終えると必ず疑問が湧いてくる」

一番目の理由は、これは読んでいただくとすぐわかります。
SF小説というとマニア向けという感じがあってとっつきにくいところがありますけれど、ソウヤーの作品はそういうところはなく、一級のエンターテイメントとして読めます。
だからといって、SFファンから見ても読み応えはあってこの二つの異なる読者に答えられる作品になっています。
二番目は僕も今までの記事で書いていますが、その荒唐無稽な発想のユニークさ、そしてそれを突飛なものにせずにその設定での考えられたシミュレーションを行っていることです。
瀬名氏も指摘していますが、そのアイデアの元は異星人とか恐竜とかタイムトラベルとか、今までのSF小説で使われているおなじみのもの。
けれどそれらを上手に組み合わせて、とてもユニークなアイデアにしているところがソウヤーならではなのです。
三番目の理由はわかりにくいですけれど、二番目にも関わるのですが、瀬名氏によればそのアイデア、その結末に何か穴が開いているように思えることだということです。
何かそこに疑問が生じるから、誰かと話したくなる、そこが人気を広げるということですね。

二番目の理由にあげられている、本作におけるユニークなアイデアの組み合わせのスペキュレーション、シミュレーションは、臨死体験と人工生命、そしてコンピューター上の人格の複製についてです。
特に臨死体験といった多少オカルティックなもの(今では科学的に研究される題材にはなっているけれど)、とSF小説や映画では使い古された感のあるコンピューター上の人格複製といったものの組み合わせはソウヤーならではの味付けがなされています。
三番目の理由にあげている疑問みたいなものも、やはりわき上がってくるのですが、それでも最後までおもしろく読むことができます。
瀬名氏があげた第一の理由にあるように、SFに苦手意識のある読者でもOKの作品なので、興味のある方は本作を手にしてみてはいかがでしょうか。

ロバート・J・ソウヤー作品「占星師アフサンの遠見鏡」の記事はこちら→
ロバート・J・ソウヤー作品「さよならダイノサウルス」の記事はこちら→
ロバート・J・ソウヤー作品「イリーガル・エイリアン」の記事はこちら→
ロバート・J・ソウヤー作品「フラッシュフォワード」の記事はこちら→

「ターミナル・エクスペリメント」ロバート・J・ソウヤー著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011192-8

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