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2009年1月17日 (土)

「ザ・ムーン」 それでも人類は月へ行くべき

僕が物心ついた時には、人類はすでに月に到達していました。
アポロ11号のアームストロングとオルドリンが人類史上初めて月の地に立ったのが1969年。
ちなみに「2001年宇宙の旅」が作られたのが1968年。
僕が子供の頃は、大人になるころには、月に行くことくらいはできるようになっているように思っていました。
けれどもアポロ17号から37年も経っていますが、その間、人類は一度も月に降り立っていません。
本作の中にもあるケネディの演説から10年も経たないうちに月に到達したのに比べ、この40年間は月探査に関しては目立った成果をだせていないのが現状です。
その原因としては米ソの冷戦に関連した宇宙開発競争が、アポロの成功によりアメリカの勝利として一定の決着がついたこと、またその勝者アメリカもベトナム戦争の泥沼化により、莫大なコストがかかる宇宙開発へ資金を回すことができなくなったことなどがあるでしょう。
その後、アメリカは80年代に不景気に突入し、宇宙開発への資金の振り分けは更に少なくなります。
また宇宙開発自体も純粋な研究という視点よりは、より実利のありそうな地球周辺での開発に主軸が移っていきました。
そのために月の探査というものはしばらく顧みられなくなったのです。
ブッシュ政権は再び月基地の建設というものを目標に掲げましたが、政権が変わったこと、また世界的な経済の悪化という状況からして、これもどうなるか不透明と言えるでしょう。
僕が子供のころというのは、科学というのは万能でなにかキラキラしたようなイメージがありました。
未来都市とか、宇宙ロケットとか、ロボットとか。
科学というものには人間の知恵がつまっていて、進歩というものは人間社会を豊かにしていくというイメージです。
けれども現代において、科学技術というものはプラスというよりもマイナスなイメージが多いような気がします。
それはやはり地球温暖化や環境問題が取りざたされたりする中、それの引き金となっている人類の科学というものへの不信感というものがあるのだと思います。
けれども、そういう不信感がありながらも、やはり僕は科学技術というものを信用したい。
それを培っていく中で、人間はよりよく生きるための知恵を編み出すと思うから。
月への探査も、単なるコスト視点や、科学技術へのマイナスイメージで排除されてはいけないと思います。
なぜなら月に人間が立つということは、初めて地球を客観的な視点で眺めることができるからです。
本作の中でも月に行った宇宙飛行士が言っていました。
そこから地球を見るととても小さく見えると。
別の宇宙飛行士は「いやな天気がなくなる」とも言っていました。
たぶん外から見た地球はとても儚げに見えるのでしょう。
そしてそれらがとても愛おしく思えるのでしょう。
そういう地球を客観的に多くの人が見ることができるようになったら、もっともっと地球のこと、人類全体のことを大切に思えるようになると思うんですよね。
だからこそ、人類は月を目指さなくてはいけない、とそう思っています。

本作をご覧になって、人類の月への歩みに興味が出た方へのお薦め書籍があります。
まずは立花隆さんの「宇宙からの帰還」
宇宙飛行士のインタビューをまとめたもので、外から地球を見た人がそれぞれその体験が、その後の人生に大きな影響を与えたということがわかります。
パラダイム・シフトと呼べるほどの体験になるのでしょう。
あとは本作もプロデュースしたロン・ハワードが制作した「フロム・ジ・アース」というドラマの原作「人類、月に立つ」。
こちらは月に立つまでの科学者たち、宇宙飛行士たちの悪戦苦闘がよくわかります。
ご興味ができた方は是非。

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コメント

アイマックさん、こんにちは!

やはり外から地球を見るという体験はその人のものの見方に影響を与えるのでしょうね。
やはり人は進歩するというのを運命づけられているので、科学技術を良き力として活用していければよいですね。

投稿: はらやん(管理人) | 2010年1月31日 (日) 15時05分

こんにちは!
飛行士たちの言葉は重みがあったし、目がキラキラ輝いていたのが印象的でした。
私も科学技術は信じてますよ。人間しかできない知恵と勇気。
冒険は大事ですよね。

投稿: アイマック | 2010年1月31日 (日) 12時42分

sakuraiさん、こんばんは!

アポロ着陸を見ていましたかー!
やっぱりリアルタイムで観ると違うだろうなあ。
こちらの作品観ていて驚いたのは、アメリカでは「月に行ったのはウソ」と思っている人がけっこういるのだなあということ。
わざわざあんな風に説明しないとわかってもらえないんですね。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年5月16日 (土) 19時19分

しっかと見てました、アポロ11号。
やたら時間がかかりましたが、これで大きく世界が変わるんだ!
「20世紀少年」を地で行ってたような・・・。
人間は宇宙を制した・・・くらいまで思ったような気がします。
でも、この映画を見る限り、月に行ったことのいいわけと弁明風に感じました。残念。
作りも下手くそですよね。
NH○スペシャルあたりのドキュメンタリーの作り方って、本当にうまいなあと思いますわ。

投稿: sakurai | 2009年5月16日 (土) 09時11分

hyotan2005さん、こんにちは!

あのあたりに生まれ育った人というのは、宇宙や月への思い入れはたぶん他の世代とは違うでしょうね。
なんというか、フロンティアが指先に引っかかったのを実感した感じと言いましょうか。
宇宙に限らず、人類というのは進歩していって未来は明るいと言うか。
たぶん今の若い人はそういうピカピカした未来というのは見えていないでしょうね。
今の状況からして、人類や地球の未来を楽観的に見ることはできないのですが、とはいえ絶望的に見る必要もないと思います。
未来への希望というのを持ちうる社会になるといいですよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年2月16日 (月) 08時19分

子供のころに夜中?に眠い目をこすりながら、
アポロの月面着陸をテレビで見た記憶があります。
今回映画で当時の様子を見て、
周りの大人たちの興奮振りをかすかに思い出したりしています。
人類が一瞬でも「同じ未来」への希望に燃えた日があったのですね。
CGなどを一切使わず、飛行士たちの真摯な語りと当時の映像だけを組み合わせることで、これだけ心を揺らす作品が出来たこと。
映像革命が進んだ今だからこそ、もう一度原点を見直したいと思わされた作品です。

投稿: hyoutan2005 | 2009年2月15日 (日) 22時28分

ノラネコさん、こんばんは!

>人類が月へ行ったことも知らない子もいますから
ええっ、けっこう驚きです。
僕は子供の頃は、21世紀になったら宇宙に行けると思っていましたからね。
世界全体として科学万能という感覚はあったかもしれませんけれど。
「20世紀少年」の世代ですね。
僕も宇宙を目指すということは、実利といったものだけではなく、自分たちを客観的に見るということにも繋がると思うのですよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年2月 9日 (月) 21時01分

こんばんは。
月への想いって世代もあるんですかね。
私の教え子なんて、人類が月へ行ったことも知らない子もいますから・・・
でも私もアポロの飛行士たちが月で感じた気持ちを知りたい。
冒険て、結局精神性なんだと思います。
そこに実際に立つ事で初めて見えてくる新しいものの見方、価値観、そういう物は本当にプライスレスなんじゃないかという気がします。

投稿: ノラネコ | 2009年2月 8日 (日) 23時41分

コブタさん、こんばんは!

目の前の利益とかもとっても大事なのですけれど、もっと未来への夢みたいなものも大事だと思うんですよね。
アポロが月へ行った60年代もいいことばかりじゃなかったとは思いますが、将来への夢みたいなものはあったような気がします。
最近はどうも閉塞感ばかりがあってどうしても縮小再生産になっているような気もしていて、もっとブレイクスルーするような夢を持てるようになるといいなあと考えたりもします。

投稿: はらやん | 2009年1月21日 (水) 21時24分

こんにちは!
はらやんさんがコチラの作品観ていて嬉しいです!

コチラの作品みると 人が驕ってしまい忘れてしまったものを、思い出させてくれますよね!

宇宙への憧憬、神秘さ、人類にとっての夢や冒険心、なんでそういったものを、人類はなくしてしまったのかな、、と思ってしまいました!

ラストの、宇宙飛行士たちの言葉、心に響きました!

投稿: コブタです! | 2009年1月19日 (月) 20時04分

michiさん、こんばんは!

地球の入りは美しかったですよね。
あれを実際に自分の目で見ることができたら、やはり人生変わると思います。
いろいろな本を読むと、初期の宇宙飛行士たちには強烈なインパクトがあったようですね。

投稿: はらやん(管理人) | 2009年1月18日 (日) 19時37分

元宇宙飛行士の方々の言葉と、
地球の入り(出?)の映像が
とても印象的でした。

投稿: michi | 2009年1月18日 (日) 18時31分

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