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2009年1月12日 (月)

本 「黄金旅風」

飯嶋和一氏の作品は初めて読みます。
昨年「出雲前夜」が大佛次郎賞をとって、書店にも飯嶋さんの作品はかなり並んでいますよね。
本作はハードカバーが出版されたときから気にはなっていたのですが、最近文庫になっていたので読んでみました。
舞台となるのは江戸時代初期、将軍家光の時代の長崎。
戦乱の世が終わり、次第に社会は安定していこうとする時代です。
長崎という街は、異国との貿易の開かれた窓口ということで、様々な国の人が暮らす自由な土地柄でした。
けれども幕府の重鎮たちや長崎奉行は統制を強め、また私利私欲に走った行いをするようになります。
そのような中に長崎のために立ち上がる風雲児、末次平左衛門と平尾才介が本作の主な登場人物。
二人の傑物の生き様を描いたのが本作です。

かなり読み応えのある作品でした。
小説というのは、同じくらいのページ数でもサラサラと読める作品と、時間がかかってしまう作品とありますよね。
本作は明らかに後者ですが、難解というわけもありません。
イメージでいうと、しっかりと歯ごたえがある食べ物を何度も咀嚼して食べていく感じに近いです。
食べるということ自体はそれほど難しいわけではないけれど、それを味わうにはしっかりと噛んで食べなくてはいけない。
そうするとその味わいが深く感じられるといった感じでしょうか。
密度が濃いというか、骨太であるというかそんなイメージです。
なかなかうまく言えないのですが、本作を読んだ方はわかると思うんですけれど・・・。
そういう意味では、小説好きの方、玄人好みの作家さんかもしれません。
「出雲前夜」も興味がでてきました。
こんどそちらも読んでみようかと思います。

「黄金旅風」飯嶋和一著 小学館 文庫 ISBN978-4-09-403315-1

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