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2008年12月 6日 (土)

「禅 ZEN」 内観

本作は曹洞宗の開祖道元を主人公とした作品です。
同じ頃成立した鎌倉仏教のひとつ浄土宗などは「南無阿弥陀仏」と一心に念仏を唱えれば来世に救われると教え、広まっていきました。
それまでの仏教が貴族のものでしたが、念仏を唱えるだけということがある種のお手軽さをもっていることが庶民にも広がった理由でしょう。
それに対し道元は、末法思想(来世で救われる)ということは否定し、「修証一如」、つまり無限の修行こそが成仏であると称えます。
作品の中でも語られていますが、曹洞宗では「只管打坐」といってただひたすらに坐禅をすることを通じ、心を無の境地に導いていきます。

人生何十年か生きていれば、壁にぶち当たったりする時はいくつかあるものです。
どうしようもないと思うこともあるかと思います。
僕自身もそういうことがありましたが、個人的な経験で言うと、あがきまくったその先でただひたすらに自分を「内観」することによって、ある種達観したような気持ちになることができました。
そうすると、悩んでいる自分、もがいている自分が、冷静に見えてくるようになり、そしてあるがままな自分というのを受け入れられるようになりました。
「悟り」というのにはほど遠いのですが、「不惑」みたいな感じにはなっています。
自分っていうのは、それ以上でもそれ以下でもないというか。

ちょっと道元の言うこととはニュアンスは違うのですが(彼の言っていることは考えることすら越えて無になることなので)、ただひたすらに自分の内面を見つめることというのは己というものを受け入れることに繋がると思います。
おりん(内田有紀さん)が子を失い、坐禅を初めて行ったときに、嗚咽する場面があります。
あれは自分の内面の扉を開けたときにあまり見たくない自分の醜い側面を見たからだと思います。
けれどそういう醜いところ、弱いところということに気づくということはとても大事なのです。
そういうところも自分の一面と受け入れられることが、穏やかな気持ちへの道になります。
作品中で道元が行った北条時頼との問答は内観療法(時頼はノイローゼのような状態に見えた)のようでもあり、道元が時頼を内観へ導いていったように見えました。

今回は悟りきったような偉そうなことを言っていますが・・・(笑)。
まだ悟りまではいたらず、日々あがくことも多いです・・・。

映画としては編集に冗長なところもありやや不満はありますが、主演の中村勘太郎さんはどっしりとした存在感があり、強い意志がある道元に合っていたように思えました。

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コメント

たいむさん、こんばんは!

偉人と呼ばれる人々というのは、彼らが悩み到達した境地というのがあるのですよね。
凡人はなかなかその高みまではいけないですが、著作やこのような映画を通じてそういう考えの一端に触れるというのも、自分なりに考えるきっかけとなりますよね。

投稿: はらやん | 2009年1月24日 (土) 20時24分

はらやんさん、こんにちは。
自分を見つめて認めるって、結構痛いんですよね。普段から自分の不正を知っているのは自分でだけですし(^^:

私も、はらやんさんが言っていること、分る気がします。

改めて感じるところで、地味ながら、良い映画見たなーって思いました。

投稿: たいむ | 2009年1月24日 (土) 16時13分

sakuraiさん、こんばんは!

あ、確かに生臭い感じはちょっとしました。
曹洞宗を布教しようとしているのかしらんといったような、宣伝感みたいなものを。
僕は試写会で観たのですけれど、劇場だと「動員」の方もいたかもしれないですねー。

ヨガとかたしかに迷走にはいいかも。
ジムとかでもあるのですけれど、女性ばっかりな感じがして、なかなか敷居が高い・・・。

投稿: はらやん | 2009年1月23日 (金) 22時29分

道元の人となりは非常に明確に伝わってきたのですが、いかんせん地味でしたわ。
それはそれでいいのでしょうが。
「空海」みたいに劇的な人生で、他の宗派や、弟子たちとの葛藤がドラマになるような人とは違うので、描くものが違うのですが、見に来ている人たちの様子を見ると、生臭さを感じました。
寺の方から動員かけられた・・・みたいな人ばっかで。

最近、ヨガをやってるのですが、基本は自分の内面を見る、心のうちに入る、ポーズがどうのこうのと言うよりも、呼吸に集中して、雑念を払う・・・と言うことなんですわ。
常々、「只管打坐だなあ」と思いながら、瞑想してます。

投稿: sakurai | 2009年1月20日 (火) 08時23分

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