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2008年12月29日 (月)

本 「容疑者Xの献身」

やはり東野圭吾さんは長編の方が合っているような気がします。
さらさらと読みやすい文体なので、短編だと読んだ充足感がちょっと薄いんですよね。
歯ごたえがない感じと言いましょうか。
けれども長編だとその読みやすさによってリズムよく一冊読めるので、そして読書の満足感もあるという感じがします。

こちらは今年の秋に映画化された「容疑者Xの献身」の原作になります。
映画の方はほぼ本作に忠実に映画化したようで、事件のトリックや人物の性格付けなどは変わっていません。
先に映画を観てしまったため結末を知っていたため、本作を読んで驚くことはなかったのですが、こちらの作品を始めに読んだらやはりこの結末はびっくりしたと思います。
ラストのシーンはやはり映画で石神を演じた堤真一さんの演技がどうしてもオーバーラップしてしまいます。

原作と映画が唯一違うのは草薙というキャラクターの扱い。
ドラマ・映画は内海薫という新人女性刑事が湯川と組みますが、原作は草薙が相棒になります。
やはり湯川の相手が年下の女性か、同期で友人である男性かというので、湯川のキャラクターの表現のされ方が変わりますね。
原作で印象深いのは、湯川が石神の犯罪のトリックを見破り、その事実に苦しんでいる場面です。
それを湯川が草薙に話すシーンがあります。
(湯川)「僕は友人としての君に話したわけで、刑事に話したんじゃない。この話に基づいて君が捜査を行うというなら、今後、友人関係は解消させてもらう」
<中略>
(草薙)「もしいつまで経っても花岡靖子が自首してこないのなら、俺は捜査を始めるしかない。たとえおまえとの友人関係を壊してでも」
(湯川)「そうだろうな」
ここは映画でも似たようなシーンがありましたが、やはり草薙というキャラクターだからこそこのシーンが生きていると思います。
湯川の石神に対する友情そして無念に対し、草薙は半端にそれを受け止めるのではなく、刑事として友人としてそれを真正面に真摯に受け止めています。
湯川も草薙が友情にほだされて刑事の職務を全うしないなどとは思っていません。
ああいうひねくれた言い方でないと自分の悩みを口に出せない湯川という人物を、草薙がきちんと受け止めているという気がします。
ここのシーンは原作の方が良かったですね。

ガリレオシリーズは「ガリレオの苦悩」「聖女の救済」と立て続けに単行本が年末に発売されました。
こちらの方もいずれ読んでみたいと思います。

東野圭吾、探偵ガリレオシリーズ長編第二弾「聖女の救済」の記事はこちら→
東野圭吾、探偵ガリレオシリーズ「探偵ガリレオ」の記事はこちら→
東野圭吾、探偵ガリレオシリーズ「予知夢」の記事はこちら→
映画「容疑者Xの献身」の記事はこちら→

「容疑者Xの献身」東野圭吾著 文藝春秋 文庫 ISBN978-4-16-711012-3

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