« 「マグノリア」 人は自分本位でしか生きられないのか | トップページ | 「地球が静止する日」 We Can Change »

2008年12月14日 (日)

「篤姫」 俳優・脚本が共同で生んだ活き活きとしたキャラクター

この数年のNHK大河ドラマの中でも人気が高かった「篤姫」が終わりました。
大河ドラマをこれほど毎週楽しみにして観るというのは、僕自身も久しぶりだったような気がします。
NHK大河ドラマでは幕末ものはあまり視聴率がとれないと言われていたようですが、それを覆した「篤姫」ブームとなりましたね。
幕末ものというのが人気がとれないのは、一つはその歴史の複雑さだと思います。
江戸時代から明治時代はほんの数十年の中で社会が根底から変わった時代です。
あまりに短い期間でさまざまなことが起こるため、その流れが把握しきれないということだというような気がします。
僕自身も歴史の授業で習って「蛤御門の変」とか「薩長同盟」とか言葉は知っていますが、それぞれの関連となると甚だ怪しい状況でした。
その点、本作「篤姫」はその激動の時代を薩摩藩、幕府という二つの視点から描いているせいか、その流れは非常にわかりやすく、途中で投げ出したくなるようなことにはなりませんでした。
これは脚本の構成の巧みさでしょうか。
また大河ドラマで人気があるのは戦国時代ものだと思いますが、よく知られた人物(信長、秀吉、家康のような)が出てくるということと、さらには大規模な合戦シーンなどのドラマチックな見せ場を持っているからだと思います。
その点、「篤姫」は幕末ということもありますし、また大奥にいる女性が主役ということもあり、その点の見せ場としては分が悪いと言えます。
けれども男たちが肉体を使って戦ういくさの代わりに本作では、篤姫が意志と知恵で激動の時代を戦っていくというところをドラマチックに描いていました。

本作を魅力的に見せた要因で最大のものは、活き活きとしている登場人物だと思います。
史実の人物をとても特徴的に脚色したキャラクター造形が見事でした。
これは脚本だけでなく、演じた俳優陣の功績も大きく、演じることで幅と深みがでてきたキャラクターをまた脚本が活かしていくという、プラス方向のスパイラルができていたと思います。
これは1年という長さである大河ドラマならではの醍醐味と言えるでしょう。
個人的に好きだった登場人物は・・・。

・徳川家定(堺雅人さん)
  堺さんの持ち味を活かしきったキャラクターでした。
  茫洋とした感じと、切れ味を持った感じの二面性を持ったこの役は堺さんのはまり役。
・幾島(松坂慶子さん)
  使命感を持ち篤姫を導いた老女役を松坂慶子さんが貫禄で演じていました。
  最終回近くに再登場してきたときは嬉しかったです。
  これは視聴者からのリクエストがあったからではないでしょうか。
・本寿院(高畑淳子さん)
  本寿院という人物がこんなコメディリリーフになるとは当初は誰も思っていなかったのではないでしょうか。
  これは先ほど書いたような俳優と脚本のプラス方向のスパイラルが働いている例だと思います。

ここにはあげていませんが、他にも魅力的な登場人物がたくさんいました。
もちろん主演の宮﨑あおいさんはすばらしい。
最終回では回想シーンも多くあり、娘時代の篤姫のシーンも出ていましたが、それを観ると宮﨑さんが篤姫が年齢を追って成長していく様を当初より計算して演じていたことがわかります。
今泉家の姫だった頃、少年かと思うほどに勝ち気であった於一が、そして島津本家の姫に、そして江戸で御台所にと立場が変わっていくにしたがい、立ち居振る舞いや声の出し方なども変えていっていることがわかります。
最終回で亡くなる前のシーンでは、背丈すら縮んだようにも見えました(宮﨑あおいさんはけっこう背が高いのに)。
大女優の風格させ漂わせてきている宮﨑あおいさん、来年公開の「少年メリケンサック」では弾けた演技になっているようですが、こういう幅の広さも彼女の魅力。
今後も目が離せません。

NHKの大河ドラマというのは一度観たらそれっきりというのが個人的には多いのですが、本作に限ってはもう一度観たいと思える出来でした。
やはりそれは活き活きとしたキャラクターにあるのかもしれません。

07年NHK大河ドラマ「風林火山」の記事はこちら→
09年NHK大河ドラマ「天地人」の記事はこちら→
宮崎あおいさん主演「初恋」の記事はこちら→

|

« 「マグノリア」 人は自分本位でしか生きられないのか | トップページ | 「地球が静止する日」 We Can Change »

コメント

ミチさん、こんにちは!

幕末というのは価値観が短い間で激変する時代なので、そこに様々なドラマがありますよね。
本作は女性の視点でもあり、また薩摩・幕府の両方の視点を持つ篤姫が主人公であったということで、とても見応えありました。
最近の中ではかなりランクの高い作品でしたよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年12月28日 (日) 07時43分

こんばんは♪
一年間の視聴お疲れ様でした~!
以前は幕末モノは難しいという先入観がありましたが、4年前の『新選組!』にハマっていろいろ本を読んだりしたので今では大好きになりました。
歴史は視点を変えると見え方が全く違ってくるのが面白いですよね。
『篤姫』は老若男女問わずに受けそうな内容とキャストで、たくさんの人に愛されるドラマでした!

投稿: ミチ | 2008年12月27日 (土) 23時49分

真紅さん、こんばんは!

僕もこちらの作品を観るまではあまりこの時代の人物については知りませんでした。
まさに歴史が動くというダイナミックな時代であったのですよね。
僕も原作を読んでみたくなりました。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年12月17日 (水) 21時31分

はらやんさん、こんにちは。
私は『篤姫』チラ見程度だったのですが、大河ブロガーさんの記事で補填してました(笑)。
ハンデがあるという幕末もの、しかも若いキャスト中心で、これほど人気が出たというのは凄いですね。
実は私、篤姫も小松帯刀も、今まで全くその存在を知りませんでした。
宮尾登美子さんの小説は大好きなので、原作を読んでみようかな?と思ったりしています。

それから、拙映画記事にTBをありがとうございました。
こちらからもいつもトライしているのですが、滅多に反映されなくて残念に思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
また寄らせていただきますね、ではでは~。

投稿: 真紅 | 2008年12月15日 (月) 11時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/186553/43422093

この記事へのトラックバック一覧です: 「篤姫」 俳優・脚本が共同で生んだ活き活きとしたキャラクター:

» "松坂慶子" に関する話題 [話題の女性にズーム・イン]
"松坂慶子" について書かれたエントリを検索してみました。 SEEDS通信~昭和系ガーデンデザイナーの日記:篤姫・最終回で号泣篤姫=宮崎あおいが主役ですが、主役をしっかりとうけとめる 周りの俳優さんの演技が、皆さん素晴らしかった! 長塚... [続きを読む]

受信: 2008年12月20日 (土) 07時43分

» 大河ドラマ「篤姫」 最終回 [ミチの雑記帳]
「一本の道」 最終回は特別編集のオープニングがとても豪華でしたね〜{/kirakira/} 一回っきりなのに贅沢〜。 これも高視聴率御礼ってことかしら。 さて、最終回はこれまでの“まとめ”ですから、アノ人コノ人懐かしい顔ぶれが総出演! 再会その1:薩摩から母親・お幸と兄が上京{/m_0032/} 何年ぶりの再会だったんでしょう。 お幸は思わず「於一!!」と呼んでしまいましたねぇ。 あのまま江戸城にいたら会うことも叶わなかったかもしれないのに、こうして会えたのは時代が変わったからと言えるのでし... [続きを読む]

受信: 2008年12月27日 (土) 23時47分

» 篤姫 [Akira's VOICE]
最終回の感想  [続きを読む]

受信: 2008年12月28日 (日) 10時16分

» 篤姫 最終回「一本の道」 [みはいる・BのB]
「篤姫」のお時間です。 今年(2008年度)の大河ドラマも、今回で終了です。 [続きを読む]

受信: 2008年12月28日 (日) 12時09分

» 『篤姫』第50回 [悠雅的生活]
〜一本の道〜 [続きを読む]

受信: 2008年12月28日 (日) 22時22分

« 「マグノリア」 人は自分本位でしか生きられないのか | トップページ | 「地球が静止する日」 We Can Change »