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2008年12月31日 (水)

本 「プレイヤー・ピアノ」

前に雑誌の本の特集でどなたか書評で推薦されていたので読んでみました。
こちら「プレイヤー・ピアノ」は以前より作品名は知っていましたが、もう古典の域に達している(1952年なので)作品ですよね。
舞台となるのは品質・効率・安定を追求し、工業化・機械化が進んだ社会。
そこでは機械の設計者である技術者と機械の管理ができる管理者が社会の中で高い地位を与えられています。
それ以外の人々は次第に機械でその仕事を差し替えられて、軍隊か道路などの修理をするような業務にしかつかせてもらえなくなっています。
作品が書かれた時代には、近未来のことだったと思うのですが、今周りを見渡すとまさにそのような状況に近くなっているような気がします。
この物語で機械に仕事を奪われた人々は何を求めるかというと「働きがい」なんですよね。
自分のやったことが人に役立っていることを味わう実感。
これは仕事をしていくにあたって、もしかするとお給料よりも大切なことかもしれません。
これだけ人間が増え、またグローバルに繋がっている世界において、人は大きなシステムの一つ部品となってしまうのはいたしかたありません。
けれどもその部品がきちんと「働きがい」を持って仕事をできなくてはその大きなシステムも動かないのです。
「派遣切り」「内定取り消し」などいろいろ最近雇用関係で問題が起きていますが、これは企業経営としてはそれを選択せざるをえない厳しい状況であることは重々承知の上なのですが、やはりこれは人をシステムの部品とするという側面でしか捉えていないような気もします。
本質的にはシステム(国や会社など)があるのは人々の豊かな生活のためであるので、それを忘れてしまうと様々な問題が出てくるような気がします。
何十年も前の小説で今の世の中を見越したようなことを書いている本作、未来を予見するというSFというジャンルのすばらしさを実感した作品でありました。

「プレイヤー・ピアノ」カート・ヴォネガット・ジュニア著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011501-X

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