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2008年12月 2日 (火)

「D-WARS ディー・ウォーズ」 模倣以上のものではない

韓国の作品でありながら、L.A.を舞台にして主な登場人物もアメリカ人という新しい試みの怪獣映画です。
僕は未見なのですが、「ゴジラ」にインスパイアされた「怪獣大決戦 ヤンガリー」という韓国では珍しい怪獣映画を撮った監督シム・ヒョンレの作品です。

びっくりするくらいにつまらなかった・・・。
基本的に怪獣映画は好きなので、それだけで評価が高くなりがちな僕ですが、こちらの作品は評価できるところがあまりありません。
まず一番致命的なのが、登場人物がまったく描けていないということ。
特に主人公であるイーサンとサラという登場人物が薄っぺらくてまったく感情移入できません。
イーサンですが、普通だったら何故自分がそこまでにサラを探そうということにこだわってしまうのかということに多少なりとも葛藤があるかと思いますが、それを子供の頃の古物商によって語られる話で説明に疑問なく納得している彼の行動に疑問を感じます。
またイーサンとサラのキスシーンなどもあったりしますが、それも突然で、ほとんどあったばかりのサラがイーサンに惹かれることへの納得性もありません。
あげようとするといくつもあるのですが、すべてを500年前の宿命で片付けてしまう脚本に荒っぽさというか、考え不足さみたいなものを感じました。
もしかすると監督は都会を怪獣が破壊するというシーンを撮りたかっただけであって、人物には興味ないのかもしれませんが。
ただそういった特殊撮影やアクションがこの監督の個性が出て見応えあったかというとそういうことでもありません。
ドラゴン軍が大部隊で攻めてくるシーンはLOTRのようですし、黒い甲冑に身を包んだ軍団は「スター・ウォーズ」の影響で作られた一連のSF映画のようですし、全体的には「ゴジラ」だし・・・。
今までどこかで観たという印象しか残りません。
別に自分が好きな映画へのオマージュが悪いと言っているわけではありません。
タランティーノなどはそういうのばかりですし。
けれどもオマージュというのは、オリジナルを解釈して自分なりの表現で吐き出すからこそ、またそこにオリジナリティを感じるのです。
本作から感じたのはお粗末な模倣以上のではありません。
テクニカルな面でここまで韓国映画もできるぞということは評価できるかもしれませんが、それ以上は評価できるような作品ではありませんでした。
残念です。

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コメント

睦月さん、こんばんは!

つまんなくて「金返せー」という怒りを通り越して、「いたたたた・・・」って感じでした。

そう、「怪獣映画作りたーい」と熱意は感じるんですけれどね。
ビルをぐるぐる巻きにしている大蛇っていうのは、ビジュアル的にはいい感じでしたが。
脚本の才能がないんでしょうねえ。
自分で書かずに、他のしっかりした脚本家に頼んだ方がいいのかもしれないですよね。

投稿: はらやん(管理人) | 2008年12月 2日 (火) 19時21分

こんにちわ。

≫びっくりするくらいにつまらなかった・・・。

はらやんさんの心からの叫びに思わず苦笑してしまいました(汗)。

いやあ・・・つまらなかったですね。
逆に面白く見えてくるほどにつまらなかったですよ、私は(笑)。
エキストラ含む役者の演技も胡散臭くて笑えました。
なんなんだよー!アレは!!

映像も最初、特撮に毛を生やした程度か!?って思うほど
に違和感ありまくりで泣きそうになりましたもん。

この監督さん、残念ながら熱意はあっても
才能がないんだろうなあと強く思いました(涙)

投稿: 睦月 | 2008年12月 2日 (火) 17時43分

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