本 「マーケティング企画技術 -マーケティング・マインド養成講座-」
僕は会社に入ってずっとマーケティング関連業務の周辺で仕事をしています。
デザインであったり、広告であったり、製品開発であったり。
そういう仕事の中で「マーケティングとは?」ということに対して自分なりの考えみたいなものを持つようにはなってきています。
正直、特に体系的な勉強をしてきたわけではなく、実地での経験によるものなのではありますが。
薦められてコトラーのマーケティングの本なども読んでみましたが、あっさりと挫折しました。
コトラーなどのマーケティング関連の本は、あまりに一般化されていて、また学問になっているため、実際のところそれが現実の具体的な問題に対処できるのか、個人的には疑問です。
これらはあくまでも「今まで起こったこと」の体系化でしかないのだと思います。
それとは逆にちまたには様々なマーケティングスキルについて書かれた本があります。
ある種のハウツー本ですが、これらもいわゆるテクニックだけについて書かれているものが多く見受けられます。
さまざまな技法はもちろん大切なのですが、それはやはりしっかりとしたマーケティングの骨子があってこそ初めて活きるのです。
スキルだけ身につけてもそれを適切に使いこなせなくては意味がありません。
そういう意味で本著は、実務に使え、そしてマーケティングとは何なのかということについてかなりわかりやすく書いてある内容であり、マーケティング初心者に強くお薦めできる本となっています。
先に書いた僕自身の「マーケティングとは?」という考えにも、非常にシンクロするものがありました。
例えば、本著では「虫の眼」「鳥の眼」という言葉が出てきます。
いわばミクロの視点とマクロの視点ということなのですが、これの切り替えをできるということがマーケターにとって大事であると書かれています。
これについては僕も同じように思っております。
マクロの視点というのは、具体的にいうといわゆる数値データの類いです。
人口統計やら、n数何百の数値データです。
これらは説得力も持つためにマーケティングプランを組み立てる際に、非常に重要になります。
ただこれらは現実に起こったことを数値化したもので、言わば過去についてまとめたもの以上のものではありません。
実はこれだけに頼ると、画期的な企画・商品などはほとんど出ることはないでしょう。
そしてミクロの視点というのは、1ユーザーの意見など個人の意見を元にした視点です。
nが限られているため、なかなか説得力がないと言われがちではありますが、僕個人としてはこの個人的な意見の中から何を抽出できるかというのが、実は大事だと思っています。
実際にモノを使う方の何気ない一言の中には、他の方にも共通する真実が含まれていることがあります。
この一言を見つけ出すのが、マーケターのセンスなのではないかと思います。
ただしこの一つの意見にこだわりすぎるのも危険です。
ほかの大多数の人はそう思っていない可能性もあるのです。
その実証にマクロの視点を使えばいいのです。
このミクロとマクロ、「虫の眼」と「鳥の眼」を行き来してそれぞれの視点の良さを使うこと、これが優れたマーケターに求められる点だと思います。
その他にもこの本ではマーケターに求められるものの考え方がいろいろと紹介されています。
マーケティングって何なんだろう?という疑問を持っている方にはこちらの本はお薦めです。
「マーケティング企画技術 -マーケティング・マインド養成講座-」山本直人著 東洋経済 ハードカバー ISBN4-492-55531-5
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