本 「ハリー・ポッターと死の秘宝」
「ハリー・ポッター」シリーズ、とうとう完結しました。
最初の「賢者の石」が日本で発売されたのが、1999年ということですから、10年近く経っているんですね!
そう考えてみるとなんだかあっという間だったような気もします。
「賢者の石」を読んだときは児童向けのファンタジーという感じがしましたが、「秘密の部屋」以降は巻を追うごとにダークな印象が強くなってきました。
それはヴォルデモードという人の負の側面を表した絶対的な悪のキャラクターの存在がひとつ大きな要素になります。
このシリーズが持つダークさというのは、ヴォルデモード自体によるというよりも、彼への恐怖というものによって人が容易く良き心というのを失ってしまうことによると思います。
ハリーも決してものわかりのよい良い子ではなく、両親を殺したヴォルデモードへの復讐心、そして彼と戦うための力への指向など、ダークサイドへ堕ちてしまいそうな危うい道をたどってきました。
最終管を読むと、著者が描きたかったのは、人の心がどうにも弱いものであるということ、けれどもその弱さを自覚した上で、それでも愛や勇気というものも人の心にあるということなのでしょう。
正直、このシリーズの途中でハリーが生意気になっている数巻は話ももたつき感があり、やや読むのが辛かったこともあります。
けれども最終巻で、それらのもたつき感こそが、10代のハリーが迷い、間違いを犯しながらも、自分の良心に従いながら進んできた道のりだったということがわかります。
最終巻の特に下巻は今までとは打って変わって物語の展開のスピードが早くなります。
もっともっと先を読みすすめたいという気持ちになりました。
これは「賢者の石」以来かもしれません。
今まで登場してきた人物が再登場しその役割を果たし、さまざまな伏線も最終巻で決着をつけられています。
ホグワーツでの最後の戦いでは、悲しいこともありますが、「ハリー・ポッター」の最後を飾るにふさわしい大規模なものになっています。
個人的には、あのネビルがとても逞しくなり、リーダーとしてがんばっているところがとても良かった。
10年近くひとつのシリーズにつき合うということもそうそうないですが、その期間新たな巻が発売されるのを待ち遠しく待っていた方にとっては、その期間は無駄ではなかったと思わせるラストであったと思います。
「ハリー・ポッターと死の秘宝<上>」「ハリー・ポッターと死の秘宝<下>」J.K.ローリング著 静山社 ハードカバー ISBN978-4-915512-63-6
| 固定リンク
コメント
ミチさん、こんにちは!
中盤くらいの生意気ハリーはちょっと鼻につきましたが、最終巻で彼がほんとうの意味で大人になるということを描くためには必要だったのでしょうね。
スネイプのことも最後の最後に彼の本当の気持ちがわかってよかったです。
いろいろなところに張ってあった伏線も見事に回収したのもすばらしかったです。
投稿: はらやん(管理人) | 2008年10月25日 (土) 16時23分
こんにちは♪
第一巻から数えて10年近くもこのシリーズで楽しませてもらったんですよね~。
映画の役割も大きかったと思います。
おっしゃるようにハリーが反抗期に入った頃から読むのがしんどい部分もありましたが、やはり最後は上手くまとめられていたなと思いました。
ダンブルドア贔屓だったのですが、最後はスネイプの切ない愛に釘付けになってしまいました。
投稿: ミチ | 2008年10月21日 (火) 09時06分