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2008年10月18日 (土)

本 「花粉戦争」

実はここ数年で花粉症になってしまっています。
どうもスギ花粉ではなく、ブタクサとかハウスダストに弱いらしく、乾燥し始めたこの時期くらいから症状があらわれてきます。
すでに今年はもう症状がでてきていて・・・。
ここから半年くらいこの鼻がズルズル、目がショボショボでつらいのです。

さて本作「花粉戦争」です。
舞台となるのはイギリスのマンチェスター、けれどもこのマンチェスターは我々の住むこの世界とはかなり様相が異なります。
そこに暮らすのは、人間だけではなく、犬人間やロボ人間などの異生物混血種たちです。
そのマンチェスターにある時から、爆発的に花粉症が広がっていきます。
それはただの花粉症ではなく、異世界からの侵略であったのです・・・。

こちらはなんとも形容しがたい作品です。
現実と非現実(夢の世界、物語の世界、ドラッグの世界)が交錯する感じはフィリップ・K・ディックの作品やサイバーパンク小説のような印象があります。
ただ交錯する世界はサイバーパンクのようなテクノロジー的な世界というよりは、もっと人間の奥底にある集合的無意識みたいなものをイメージします。
そもそもこの作品において現実世界を侵略しようとするのは、人間が作り上げてきた物語世界です。
この小説においては「ヴァート」なるもの(装置のようなドラッグのようなもの)で、物語世界に没入することができるようになっており、それらの世界は現実的な世界の一つととらえられているのです。
このあたりは「不思議な國のアリス」のようでもあります(本作の中でもアリスはでてくる)。
ディックとかサイバーパンクとかあまり好きでない人にはあまりおすすめできません。
読みやすいとも言いがたい作品なので、万人向けではないかもしれませんが、現実と非現実が入り乱れる酩酊感みたいなものが好きなかたにはいいかもしれません。

「花粉戦争」ジェフ・ヌーン著 早川書房 文庫 ISBN4-15-011199-5

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